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地球の癒し人

遥か遠い昔から、地球を癒し続ける一族はいる。その一族はほぼ無名で、表に出てて来ることはない。


ここは私が浄化しました!

この結界は私が張ったのです!


なんてわざわざアピールはしないし、ドヤるようなこともしない。


そんな承認欲求が強いうちは一人前ではまずない。


癒しの力は、人知れず使わないと、地球を瀆したい勢力、壊したい奴らに見つけられて存在を消されてしまうから、可能な限りひっそりと目立たずにやるものなんだ。


目立って注目を浴びたら、一族を危険に晒すことになるのだから、目立ちたがり屋には一族の仕事はさせられない。

修行中にそのような馬鹿をやる奴は一族を追い出されるか、能力を抹消されてしまう。

スターやアイドル、教祖みたいに崇めてもらわないと気が済まないような奴ではまず無理だろう。

切磋琢磨のための競争ならばまだしも、自分のマウント狂いに陥るだけなら、そいつも失格だ。

技術や能力だけでなくて一族を率いて、未来に引き継ぐ素質が備わっているか、地球への奉仕の精神がちゃんとあるかなどを厳しく判断されていく。


そんな一族に生まれた俺、コルマも次代の長を補佐する役を担っている。もしも長に何かあれば、代行し跡を継がなければならない重要な役だ。

その補佐役は全部で三人が選ばれたが、そのうちの一人が、二人の長候補を言い争いから殺めてしまった。

そして一族を出奔して逃亡中だ。


補佐役の三人の中から一人を長に繰上げて、俺は引き続き補佐役を預かった。もう一人新しく補佐役を選出した。

俺は長よりも、ナンバー2として、長を支える立ち位置の方が動き易くて好きだ。

長らの手を汚させずに自分が汚れ仕事を請け負うことができるのは、火を統べる俺の能力に適しているからだ。


殺められた長候補二人は、一人は俺の従兄弟コガタイで、もう一人は幼馴染みだった。彼らの仇を討つには俺が最適だ。

幼馴染みの妹オルジェも仇を討ちたがっていて、二人で仇討に協力することにした。


仇を討つといっても、そいつを殺すわけではない。拘束して牢屋に入れておくわけでもない。

彼の能力を抜き取り、未来永劫、地球の癒しに奉仕させるのだ。

彼が生まれ変わっても、もう彼の能力は戻ることはない。

物理的に地球と同化させて、地球の一部とするということだ。

それだけ地球を癒す一族を殺めた罪は大きいのだ。

地球にとっても損失なのだから。


当代の長と補佐役の指導のもと、俺とオルジェは神殿の中に魔方陣を描き、そこに込めるため持てる力を全て放出した。オルジェも強烈なパワーを持っていた。


仕上げは長と補佐達に任せた。


長候補達を殺めたのはジュチという一族と他の一族の混血の青年で、その自分の出自に劣等感を強く持っていた。

それでも彼は補佐役として十分なパワーは備えていたのだから、このような罪を犯しさえしなければ、順当な未来があった筈だ。


強い能力やパワーをいくら保持していても、それを適切に使う人格がなければ、害にしかならない。

ジュチは自分の力の価値を見誤ったのだ。



長達の込めるパワーを見守っていると、死した長候補らの魂が集まって来た。


『我らの力も共に』


従兄弟と幼馴染みのエネルギーも魔方陣に注がれた。


地球の癒し人は、死しても尚、自分の役目を果たそうとするのものだ。


それは使命などではなくて、地球に対する無私の慈しみだからだ。



(了)

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