表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/162

人の心を覗いて見たら

読心術みたいな能力があれば、あの娘の心を覗けるのに···なんて願望を抱いていた。

彼女が最近よそよそしくて、何か隠している感じがしていたから、それを知りたかった。

そのせいなのかわからないけれど、突然他人の心の声が聞こえるようになってしまった。


そして俺は一瞬で後悔した。人の笑顔の裏を知ってしまうからだ。本音と建前は誰でもあるけど、言っていることが嘘ばかりの奴って結構いるものなんだな。

俺だって聖人君子ではないから、腹黒い部分も多少はあるし、身を守るための咄嗟の嘘くらいはついている。

でも、誰かを利用して踏み台にしようとか、誰かを陥れようとか傷つけるような嘘などは決してつかない。

だけど、世の中にはそんなことを平気でする奴らはいるんだ。


彼女がスマホでメールを打っている。メールを見るまでもなく、今打っている言葉が嫌でも耳に入って来る。

頼む、俺が嫌いになるほどの嘘はつかないでくれよと願いながら···。


浮気や他に好きな男ができたから別れたいとかだけならばまだよかったのに。俺は慄然とした。

彼女は俺の同僚と浮気していたばかりか、そいつと一緒にグルになって仕事上のミスを俺に濡れ衣をきせようとしていたんだ。

たった今彼女は、その計画をそいつに送信していた。

彼女はメールでは俺を「あいつ」呼ばわりだったことに幻滅した。他の文面も普段の感じの良い上品さからは想像もつかない言葉使いだ。

すぐに手を打って対処したから、冤罪は免れた。

失恋はしたが、冤罪にならなかったのは不幸中の幸いだ。


「君、浮気しているよね」と別れ話を切り出すと、「あっそう、じゃあね」というにべもない返事には多少傷ついた。

こいつなら騙せると思ったのにと心の声は言い、舌打ちまでした彼女は、最早俺の知らない別人に見えた。

その後データ改竄の責任を問われて彼女は退社、浮気相手は左遷された。


心の声が聞こえるようになって散々だったが、いいこともあった。

非情な上司だと思っていた人からは俺は好意的に見られていたこと、後輩の女性社員から好意を寄せられていることを知った。

でも残念、俺はその娘はタイプではないんだよね。付き合ってくれるなら誰でもいいというほど、女には飢えていないのだ。

それに今は少し女が怖い。あんな心の声をまた聞いてしまったら···。

恋愛をするなら、俺は女を見る目をもっと磨いた方がいいな。


あんな怖い女は懲り懲りだ。


誰にでも裏表はある。だから許容範囲ならばいい。

純真無垢な女性なんてほぼいないというのが俺の結論だ。

愛想が良すぎる人も裏表が激しい。

おとなしそうだからといって気が強くないわけではない。


人って本当に見かけによらないものだ。


女同士の会話の裏表がとにかく怖い。

そ、それは友人じゃあないだろう···、友人のふりをし合う寒々さ。


なんだろう、男同士は嫌いな奴には近寄らないものだけど、女性ってどうもそうじゃないみたいだ。


いやなら、嫌いなら距離をおいて、関わらない、近寄らなければいいのに。


友達ごっこ、仲間ごっこの空恐ろしさよ。


いやあ、女って怖いな。



(了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ