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婚活は修道院で

私の婚約者には恋人がいるという噂を、この目で確かめに来た。


お互いの領地が離れているので滅多に会うことはなく、同じ学園にも通っていないため、四年前の婚約式以後は夜会で一度会ったきりでほぼ会っていない。

手紙のやり取りと贈り物はしてきたが、最近は返事すらも来ない。


真相を確かめるために先触れはわざと送らずにやって来た。いつも通りの姿を見なくては意味がないから。

狼狽える家令らを振り切って、歓談中という四阿へ護衛騎士と共に向かった。


美女に膝枕をされながら、ついばむようなキスをし合っているのが私の婚約者様だ。

この人は学園にも行かずに何してるのだろうか?


見事に噂通り。


(よっしゃあああ!これで婚約解消ね!)


私はこの婚約者様にはもう用はないので、声もかけずに踵を返して護衛騎士と直ぐ様伯爵邸を去った。



「お嬢様、本当に修道院に行かれるのですか?」

「ええ、そうよ」


この婚約が上手くいかなかった時には、私は修道院に行くことが決まっていた。


それは義母が勝手に決めたことだ。


父は表向きは義母に賛同したが、修道院には修道女になるために行くのではなくて、客人として逗留しに行けばいいと言ってくれた。

私は結婚が決まるまで客人として滞在させてもらうのだ。


こんなこともあろうかと、既に学園は飛び級で卒業済みだ。

素行も成績も悪いのに、コネと金でなんとか卒業しようとする未来の夫なんて御免だわ。

由緒ある伯爵家も随分堕ちたものね。



婚約破棄してからが、私の正式な婚活がやっと始まるのよ。


「婚約破棄したら、是非私と」


という殿方からの申し込みは既に来ている。


私と我が侯爵家がそれなりの優良物件だと認識されているからだ。

修道院に行くのは義母と義妹へのカムフラージュ。義母達は嬉々として私を送り出してくれた。

義母達の監視からこれで自由になれる。


私は自分の伴侶は自分で選ぶわ。



「シルヴィア嬢、お待ちを」


修道院へ到着すると、待ったをかける令息達が待ち構えていた。


「本当に婚約破棄されたのですね?」

「私に貴女を娶るチャンスを」


あの婚約は有名無実のようなものだったから、誰も本気にしていなかったのかしら?


「専用の窓口を設けますので」


修道院近くの別邸で執事が対応することになった。


私は一応修道女見習いを受けることにした。行儀見習いに来ている令嬢もいるからだ。

結婚するまではこの非日常を楽しむのも悪くない。


そして別邸の婚活窓口は他の令嬢達にとっても思いがけず有益なものになった。

私同様に義母に疎まれて等、不本意で修道女にさせられそうな令嬢達には、私との婚姻を結べなかった優良物件達を引き合わせて縁付かせた。


お陰でこの修道院へ行儀見習いに来ると良縁を得られるという評判が立ち、修道院も潤ったので感謝された。


父は横暴な義母と離婚して、新しい妻を迎えた。

翌年嫡男も産まれて順風満帆だ。



そして私シルヴィアは、あの後実家の爵位を兄の代わりに継いだかつての護衛騎士から求婚されて、公爵夫人になったというわけ。


気心の知れた長年の信頼関係のある人の妻になるのは本当に良いものね。


そういうことで、めでたし、めでたし。



(了)


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