自分の癒し方
もう十数年以上前になるけれど、原因不明の体調不良とアトピーのような症状に悩まされていた時、一時スピリチュアルにハマってしまったことがあった。
病院では治らないし、痛痒さと、顔や首に発疹が出てしまい外に出るのも煩わしくなっていた。
眼のまわりと首が最も酷く、仕方なく夏でも長袖を着、スタンドカラーの襟で見えないように気をつけた。外出する時は似合わないサングラスと日傘が手放せなくなった。
カイロプラクティックでアレルギーを治す特殊な治療を受けてみた時に、食事療法以外にも、「 三年前に○○のようなことがありませんでしたか?」とか、「数年前に職場の男性と揉め事があったのでは?」とかの心理的な要因を探していくもので、かなり当てはまっていた。
(ええ?体の反応でそんなことまでわかるの?)
それがまるで霊視のような状態で驚いてしまった。
食生活を見直し、ヘアカラーをやめ、肌に触れるものはオーガニックなものを身につけるようになった。
それでもまだ症状は収まらなかった。
占いや霊能には多少興味はあったので、不調の原因を突き止めるために、スピリチュアルカウンセリングというものを初めて受けてみることにした。
半信半疑ではあったけれど、セラピストに言われることは、心当たりもあり、なるほどと納得が行った。
そのお陰なのか症状が軽くなって来たので、私は嬉しくなった。
「浄化ですね」
そのセラピストも、以前私と同様の状態になって苦しんだことがあったという。
「もう少ししたらスッキリしますよ」
それは本当で、目に見えて治りはじめた。
そのセラピストが施術しているのは前世療法で、過去世を見て不調や人生の不具合の原因をセラピストをガイドに自分で探って癒すというものだった。
私はまな板の上の鯉のように、100%施術者に治してもらうやり方よりも、自分も参加しながら探って癒す、自分で治して行くやり方が気に入った。
八割ほど治って、あとは時間が治癒して行くだけになった頃には、スピリチュアル的なヒーリングにすっかりハマっていた。
それでセルフヒーリングをいくつか習ってみた。
伝授とか皆伝とか多少怪しげなものはあったが、自分に役立つものならばと楽しみながら学んで行った。
多分その時が最も純粋に楽しめた時期だと思う。
ヒーリングやスピリチュアル系のものを学ぶ人にも様々な人がいて、一般社会よりも癖の強い面倒で迷惑な人、問題の多い人もかなりいることがわかって来てからは、そこがどうにもやりにくくて嫌になって来たのだ。
『焼きそば、おにぎり、ラーメン、蕎麦、焼きそば、エトセトラ······』
私はあるヒーラーから渡された自分の健康回復のための必要な食品リスト見て唖然とした。
(なんだこりゃあ?!)
心の中で叫んでいた。
なぜに炭水化物ばかり?!しかも焼きそばをリピート。
帰国子女で語学堪能なその人は、海外からヒーラーを招いてワークショップやセッションを開催し、コーディネーターと通訳をしていた。
でも、翻訳もかなり適当で杜撰、平気で嘘もつく人だったのだ。
最も不信感を抱いたのは、自分はヒーラーではないのに、自分がヒーラーみたいに上から言うとか、ヒーラーの許可もなく勝手なことをやりだしてしまうところだ。
食品リストも、こんなこと先生は本当は言ってないよね?
というのがバレバレで、同じ講座を受けている他の人達からも不満が上がり、問題視されていた。
私はもうここは無いな、この人は無いなと見切りをつけて辞めた。
その後その人はトラブルを起こして廃業した。
この人に限らず、この界隈は何でもありの無責任、玉石混淆の無法地帯だと気がついて、ようやくスピリチュアル系のものから離脱した。
その頃、丁度夫の転勤が決まり、私も仕事を辞めてついていくことにした。
あと少しがなかなか治らずにいた症状は、引っ越したら、嘘のように治ってしまった。
物理的な環境を変えたら、完治したわけだ。
私が不調で症状が酷い時ほど、そんな私とやけに会いたがり、家から連れ出そうとするフレネミーから縁が切れたせいもあると思う。
他人の不幸は蜜の味な人達、エナジーバンパイアから距離を置いたことが効果覿面だったのではないかという気がしている。
長年の交遊関係を見直し、負の存在や負の場所とは接点を減らし、不当にエネルギーを奪う人達から解放されたら、心身ともに健康になるのだということを実感した。
私は、住まいと職場を変え、交遊関係を変えたら元気溌剌になってしまったのだ。
慢性的なストレスフルな人間関係、惰性的な付き合いを止めたら、これ程軽く自由になれるものなのだと実感できた。
「あなたは忍従が過ぎる」「無理に耐えなくてもいい」「尽くし過ぎている」「ターゲットにされやすい」
というカウンセラーやセラピストのアドバイスも手伝って、私は心と体のデトックスと回復ができた。
私自身の気の巡りが良くなったようだ。
病は気からというけれど、自身のストレスマネジメントを怠ると不健康になってしまうのは本当だ。
スピリチュアル系のものを学んで、私は自分が避けるべきもの、気をつける方がいいものは何かを学んだ。
それが最も大きな収穫だったと思っている。
自分を癒す方法は様々なやり方があるのだろうけれど、自分に無理無くできるものを試して行けば、人は自分で自分を癒せるものなのだ。
自分ではやろうとせずに、受身で何もかもを他力本願で他者にやってもらおうとする人は、スピリチュアルではなくて精神科医を頼る必要があると思う。
その方が適切なものを得られる筈だ。
自分を客観視できない状態ではスピリチュアルは役に立たないよね。
ナルシストはスピリチュアルでは治せない。
自己愛中毒は、既に精神科医を頼る必要があるという目安だと私は思っている。
頼る場所を間違えない方が自分をより癒せる筈だ。
(了)




