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未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す  作者: Edf
第十二章 アメリカにて大勝負
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第七十四話 穏やかなる晩餐?

 ビル=ゲイツ氏とマイクロンソフトとネクストとの提携に漕ぎつけた俺たちは、その夜アナハイムの超高級ホテルでの晩餐に招待された。急遽ディナー用の服に着替えることになり、部屋の鏡の前で右往左往している。


「とりあえずタキシードでいいと思う」

「ドレスコードって意外と面倒だね〜」

「昼のスーツよりはまだ楽じゃの」


 俺も健太も爺さんも、それなりに格好はついてきた。そこへ背後から声が。


「どう、似合う?」


 振り返った瞬間、息を呑んだ。イブニングドレスに身を包んだ美和子さんが、まるで舞台の女優みたいに立っていたのだ。


「完璧」

「綺麗」

「お〜美しいの〜」


 口々に褒める俺たちに、美和子さんは頬を染めて咳払いし、そっと微笑んだ。


「そ、それじゃ行きましょう」


 こうして準備を終えた俺達は、ビルが待つホテルでの晩餐会へと向かった。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


『ピューッ!』

『Oh! ビューティフル!』


 ホテルのエントランスからホールまで、美和子さんは注目の的だった。欧米の紳士淑女たちが口笛を鳴らし、拍手を送る。


『ハハ、ミワコはずいぶん素敵じゃないか』


『いやですわビル、揶揄わないでくださいな』


『いやいや、皆もそう思うだろう?』


 俺たちも頷くしかない。美和子さんは耳まで赤くしながら「さ、食事をお願いするわ」と会話を切り上げた。


 それからは絶品のディナーの数々。


「この海老たまんない、プリップリだ」

「お肉もすごいよ、和牛だよこれ」

「ほう、このワインもなかなかじゃの!」


 爺さんもご満悦。俺は、誠司も連れてきたかったなと心の中で思いつつ、皿を平らげていた。美和子さんは終始ビルと会話を弾ませ、互いに笑顔を見せていた。


 食後はラウンジに移動し、ゆったりとした空気の中で歓談が続いた。だが、不意にビルが俺を見てにやりと笑う。


『さて、ダイスケ。それでは例の話を聞かせてもらおうか』


 やっぱり来たか。テーブルの視線が一斉に俺に集まる。


『現在、我が社が公開している情報はバージョン3.0まで。カーネルの件はまだ表に出ていないはずだがね?』


 眼光が鋭い。歴史に名を残す男の威圧感は半端じゃない。


『漏れない情報などありません。隠せば隠すほど、情報とは暴かれるものですよ』


 俺はできるだけ平静を装い、答えを返す。


『ふむ……それでも情報のソースは確認したいのでね!』


 ビルが指を鳴らすと、背後の護衛が懐に手を入れ此方を圧迫して来た、場の空気が一気に張り詰める。


『すいませんがビル、私にも秘密にしなければいけない事情もありましてね』


 だが俺も負けてない。今度は俺がフィンガースナップを鳴らす。すると、別の影が音もなく動いた。健太と爺さんが、護衛の首筋にナイフのようなものを当てている。


 沈黙の中、ビルは目を丸くし、そして両手を上げた。


『HAHAHA! 参った、参った。降参だよ。まさかここまで対応されるとはね』


『恐れ入ります。ただの脅しとわかっていましたが、こちらとしても舐められるわけにはいきませんでしたので』


 その瞬間、張り詰めていた空気も和み、双方の護衛も武器を収めた。


『ミワコ、どんな教育をしたんだい? 僕の部下に是非とも欲しいくらいだ』


『申し訳ありません、ビル。手に負えないヤンチャに育ってしまって……』


 美和子さんが俺の頭を軽く叩く。いてて。


 それでも俺は口を開いた。


『あ〜、ビル一つだけ、カーネルの方針に間違いはないと思います、色々言われるでしょうが、MSの未来の為にも応援しています』


 ビルは驚いた顔をし、そして口角を上げた。


『ありがとう、ダイスケ。その一言で百万の味方を得た気分だよ』


 こうして、ビルとの晩餐の席は穏やかに終わりを告げ。これによりMSとネクストとの提携騒動は幕を下ろしたのだった。


 MS社はNTカーネルにて既存のOS/2陣営と手切する事でWindowsの躍進に繋げます

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