表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す  作者: Edf
第十二章 アメリカにて大勝負
80/195

第七十一話 テーマパークに行こう

 ガイドの案内でアメリカ・カリフォルニア州アナハイムに到着した大輔です。


 国際会議までまだ三日ほど猶予があるので、まずは観光を楽しむことにしました。


「ちぇっ、俺もラスベガスに行きたかった!」


「仕方ないだろ、未成年なんだから」


 そう、爺さんと美和子さんは俺たちを置いて、憧れの大人のテーマパーク――ラスベガスへ。

 爺さん曰く「死ぬまでに行きたかった場所ランキング第一位」だそうで、護衛契約の条件にまで組み込まれていたらしい。美和子さんも「一度は行ってみたかったの」とノリノリ。2人は今日から一泊で向こうを満喫するらしい。


 結果、俺と健太は“お留守番組”になったわけだが、ガイドのジョージさんの娘――キャシーさんが気を利かせて案内役を買って出てくれた。


「今日はユニバーサル・スタジオに行くわよ!」


 ……というわけで、俺たちは夢のハリウッドテーマパークへ向かうことに。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆


『大輔、健太、ユニバーサルに着いたわよ!』


『キャシーさん、今日はよろしくお願いします』


『任せて! 私の大好きな場所だから絶対楽しませてあげる』


 ここに来るまでの車中で、キャシーとはかなり打ち解けた。彼女は父親ほど訛りが強くなく、英会話の練習にもなった。おかげで俺と健太もだいぶ耳が慣れてきた。


『それで、今日は大輔のおごりなんでしょ?』


『ああ。だから面白いとこ全部連れてってくれ!』


『ワオ! 太っ腹! じゃあ最初から飛ばすわよ!』


 そうして俺たちはキャシーの案内で次々とアトラクションへ。


 キングコングライドでは炎と水の洗礼を浴びた直後、巨大なコングが目の前に現れ度肝を抜かれる。セット見学では本物さながらの街並みに圧倒され、さらにガンマン姿にコスプレして記念写真も撮影。健太はノリノリで、俺はちょっと照れながらも一緒にポーズを決めた。


『いや〜やっぱハリウッドすげぇ!』


『ヘリが落ちてくる演出は本当にビビったよな』


『ふふ、でしょ? これがユニバーサルスタジオなのよ』


 昼食を取りながら、体験したアトラクションの感想を熱く語り合う。異国の地でこんなふうに盛り上がれるなんて、ちょっと不思議な気分だ。


 午後も各アトラクションを満喫し、健太は早苗へのお土産、俺はブラザーズにゲームグッズを購入。こうして俺達のユニバーサル観光の幕は降りた。


『今日は楽しかったわ。また会いましょうね!』


 別れ際、キャシーは俺たちに勢いよく抱きつき、両頬にキスマークをべったり残して笑顔で去っていった。


「……なあ健太、これ早苗に報告していいか?」


「大輔、それをやったら戦争だからな」


 2人で苦笑しながらホテルへ戻った。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 翌朝、待ち受けていたのは魂の抜けた顔をした爺さんと、苦笑いの美和子さん。


「どうしたんだよ、その死人みたいな顔」


「……聞くんじゃないわい!」


 話を聞けば、爺さんは当初順調に勝ち続け、ラスベガスで20万ドルほど稼いだらしい、だが調子に乗って最後の一勝負でルーレットに全額ベット。結果見事にスッテンテンになった模様。


「アレはインチキじゃーーっ!!!」


 爺さんの絶叫がホテルの廊下に木霊する。どうやら彼にとってラスベガスは“夢のテーマパーク”どころか、“地獄の遊園地”になってしまったようだ。


 俺と健太は顔を見合わせ、肩をすくめる。俺たちのユニバーサル観光と、爺さんのラスベガス大破綻。対照的な結末に笑うしかなかった。


 さて――。明後日は、いよいよ本番の国際会議だ。気を引き締めないとな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ