表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す  作者: Edf
第十一章 目標へ向け日々彼是
75/195

第六十七話 1988年から1989年へ

 気がつけば大晦日。年の瀬の空気を肌で感じながら、ブラザーズを引き連れて買い物に出ている大輔です。


「今年は景気がいいせいか、人の多さが尋常じゃないな」


「兄貴、帰りにゲームソフト買っていこうよ!」


「小次郎兄はまたゲームなのね〜」


「阿呆。まずは年越し蕎麦やおせちだ。年始は店が閉まるんだから、食料品の確保が最優先だぞ」


 今年は人数も多い。蕎麦に雑煮におせちと、準備すべき物も盛り沢山。そうして近所のスーパーに向かった俺たちだったが――店内で、どこかで見覚えのあるカップルの姿を見つけてしまった。


「おせちはこれでいいかな」


「あら、蓮根がまだよ。私、辛子蓮根って好きなの」


「辛いのは苦手なんだけどな〜」


「あら、辛いからこそ美味しいのよ?」


 あはは、うふふ。……完全に新婚夫婦状態である。俺と誠司は目配せし、健太の背後に回り込む。クロスボンバーを放とうとしたが――ギリギリで避けられた。


「なにをするんだ!」


「「うるさい、バカップル!」」


 赤くなった早苗に事情を聞くと、正月に師匠宅でお祝いをするため、二人で準備しているらしい。何年もまともな正月を過ごしていない師匠へのサプライズだとか。


「お世話になってるからね。少しでも恩返ししないと」


 ……まあ、あのジジイも照れながら喜ぶだろう。


 その後立ち話を切り上げて帰宅。小次郎の「ポップマン2が欲しい!」という駄々に根負けして買ってしまったのだが――あれほど後悔することになるとは、この時は夢にも思わなかった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「「「「ただいまー!」」」」


「「おかえりなさい」」


 玄関を開けると、美和子さんと晴彦さんの声が出迎えてくれた。晴彦さんは昨日で仕事納め。今日は山名家全員が揃っている。永遠ちゃんは真っ先に父親のもとへ走り、買い物中の出来事を楽しそうに報告していた。


 俺たちは台所に立ち、夕食の下拵えに入る。年末くらいは二人を休ませてあげよう――そんな相談をしていたのだ。リビングからは特番を観ながら談笑する二人の声。……ちょっと距離感が近いように見えるのは気のせいか? 気になった俺は、わざと二人の間に割り込むように料理を並べていった。


「それじゃあ、みんな――いただきましょう!」


「「「「「いただきます!」」」」」


 にぎやかな夕食。食後は年越し蕎麦をすする。紅白を横目に、眠そうな永遠ちゃんを励ましつつ迎えた除夜の鐘。


「わかってるな、小次郎、誠司、永遠?」


「「「もちろん!」」」


 カウントダウン開始。3、2、1――それっ!


 四人そろって大ジャンプ。空中で新年を迎える俺たち。着地と同時にハイタッチしながら声を揃える。


「「「「「あけましておめでとうございます!」」」」」


 こうして激動の1989年が幕を開けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ