第四十八話 山名家の面々
今回の地震で被害に遭われた被災者の皆さんに心からお見舞い申し上げます
そろそろ梅雨入りも近い。湿った風の中にも夏の匂いを感じる季節となった。大輔です。
山名家の暮らしもようやく落ち着きを見せていた。
誠司は料理のコツを掴み、事前準備の大切さを理解したようだ。切る、下味をつける、仕込みを済ませておく――そのひと手間でどれだけ楽ができるかを身をもって知ったらしい。いまでは自分でバランスを考えた献立を立て、見事に食卓を彩っている。味もなかなかのもので、師匠としても鼻が高いです。
妹の永遠ちゃんはというと、どうやら俺よりも小次郎に懐いたようだ。いつも甲斐甲斐しく世話を焼く姿にほっこりします、小次郎もそんな永遠ちゃんを妹のように面倒を見ています。お互いに良い情操影響を与え合っているのでしょう良かった。
また晴彦さんの方ですが、警備の仕事をしながら昔齧っていたらしい弁護士の勉強を再開したそうで、今年の司法試験を受けるとの事、美和子さんも信頼出来る人がネクストの顧問弁護士になってくれるのは有難いとの事で、試験が通ったら弁護士事務所の件を含めて、猛プッシュして行くそうです
そんな晴彦さんは、子供達の作った弁当を手に、にこにこと笑顔を浮かべながら今日もいつもの警備の仕事に向かいます。
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◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「――という感じだ。誠司君も大分余裕ができて、やっと学校生活を楽しめるようになった!」
昼休み、恒例の“シックル会議”で俺は皆に報告した。
「本当に大輔には頭が上がらないよ。感謝してる」
「良かったじゃない」
「そうだね〜」
健太と早苗の2人は会話をしながら、現在は思考速度のアップの訓練の為か超高速でトランプのスピードを行ってる。コイツら並列思考の訓練もやってるっぽいな、早苗もどうやら藤林流のやり方に慣れたのかね余裕を感じる
「そういや話は変わるが、夏休みどうするよ?」
「僕たちは師匠のもとで修行かな」
「そうね。ようやく武術らしい稽古もさせてもらえるようになったし」
「僕は料理かな。面白さが分かってきたから、もっと学びたい」
皆が思い思いに答えるのを聞きながら、俺はにやりと笑った。
「ふむふむ。そんな皆にサプライズだ。沖縄旅行、興味ないか?」
「「「えっ!?」」」
三人の声が見事に揃う。
「費用は全部俺が持つ。ついでにあのジジ……藤林師匠も連れて行こう。沖縄空手の知り合いくらいいるだろうし、弟子の二人には絶好の経験になるはずだ」
「誠司君は沖縄の料理文化を学ぶチャンスだぞ。国内であれほど独自の文化を持つ土地は珍しいし」
健太は大きく頷いた。
「面白そうだな。俺は賛成に一票!」
「私も賛成。沖縄空手には興味あるし」
「もちろん僕も。沖縄料理ってどんな味なんだろう?」
それぞれの目が期待に輝いている。よし、全員の賛成も取り付けた。
「じゃあ決まりだな。今年の夏休みは沖縄旅行と洒落込もう!」
よし、皆の意見も取り付けた事だし夏は南の島でバカンスと洒落込みますか!