表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す  作者: Edf
第六章 反撃の狼煙をあげよ
47/195

第四十話 仲間?が増えたよ

 寒風吹き荒ぶ季節もようやく過ぎ去り、柔らかな陽射しが差し込む春となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか、大輔です。


 さて、この前の円福寺事件の後。早苗と誠司の二人とは色々と話をする機会がありました。最初は互いにぎこちなかったのですが、不思議なもので、事件を共にした仲というのは思った以上に強い縁を生むようです。気が付けば一緒に昼を食べたり、休日に顔を合わせて遊んだりと、いつの間にか仲間の一員といった雰囲気になっていました。


 ……まあ、早苗の本当の目的は少し違うようですが。


「いい加減に藤林先生を紹介しなさいよ!」

「勘弁してくれよ、俺が師匠にどやされちまう!」


 校庭の片隅で、早苗と健太が軽い組み手をしながら口論している。軽いと言いつつ、その動きは常人の目にはまるで舞うようで、目で追うのも難しいほどの速度と鋭さだ。


 藤林先生――それが健太の師匠の名前らしい。武道界隈では実戦派として伝説的な存在で、数々の修羅場を切り抜けてきた人物だとか。


 早苗は、自分が習っている合気道の師範からその名を聞き、どうしても弟子入りしたいと健太に詰め寄っているのだ。だがこの藤林先生、弟子を取らないことで有名で、健太がどうやって弟子になったのかを知りたがるあまり、こうして日常的に絡むようになってしまったのである。


「はぁ〜、二人ともすごい動きだねぇ」

「ふん! 俺には子猫同士がじゃれ合ってるようにしか見えんがな!」


 横で見ていた誠司が茶化す。彼はというと、事件以来なぜか俺に懐き、暇さえあればこうして顔を出すようになった。


 ちなみに彼を裏切った元仲間二人組、どうやら彼への報復を考えていたらしいのだが――。


「今後も誠司に絡むようなら、また“隠密”を連れて挨拶に行くのでよろしく!」


 健太から忠告を受けていた俺が、こう脅しつけてやると、効果は覿面。二人は相当ビビったらしく、その後誠司にちょっかいを出すようなことはなくなった。


 どうやら誠司はどこからかこの話を聞きつけたらしく、それ以来さらに俺達に懐くようになってしまったのだ。


 ……まあ、俺としてはそこまで悪い気はしない。こうして仲間が増えていくのは素直に嬉しいからな。


「おい二人とも、その辺にしとけよ。そろそろ昼休み終わるぞ」


 俺が声を掛けると、健太と早苗は同時に動きを止めた。


「ふぅ……でも絶対、藤林先生には会わせてもらうから!」

「だから絶対相性最悪だって……」

「じゃ、また後でね」


 そう言って三人はそれぞれ教室へと戻っていく。


 こうして俺たちの日常は少しずつだが賑やかになっていく。事件で繋がった縁が、今では日々の笑い合いに変わっている。


 これが、最近の俺たちの“日常”かな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ