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未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す  作者: Edf
第六章 反撃の狼煙をあげよ
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第三十五話 年末ですよ皆さん

 大輔です。気がつけば1987年も暮れ、大晦日となりました。


 日経平均は二万一千円台で足踏みしてますが、来年年初から反発するのを俺は知っている。


 だからこそ、いまのうちに四国電社やSomyをはじめとする銘柄をしっかり仕込んでおきました。ククク……こいつらが来年火を噴くとは、市場の誰も気づくまいて!


 ――っと、取り乱しました。本日は大晦日。買い出しに奔走中です。なにせ今日は由佳さんが久々に帰ってくる日。年越し蕎麦に正月用のお雑煮の準備と、やることが山ほどあります。


「よう、大輔! 久しぶりだな」


「お帰り、由佳さん。他のメンバーは?」


「みんな実家に顔出さなきゃでな。こっち着いた時に別れたよ」


 彼女はバンを昴さんの家に置いてきたらしい。久々に師匠や仲間たちにも会いたかったけど、年末は仕方ない。


「ま、いいじゃねぇか。それとも私の顔だけじゃ物足りないってか? おぉ?」


 けっ、相変わらずウザ絡みしやがって。


「いやいや、そんなことないっすよ。……それより今どの辺回ってるんです?」


「広島あたりだな。世の中広いわ、すげぇ奴らがゴロゴロいる。楽しくて仕方ねぇ!」


 目を輝かせる由佳さん。


あ〜らま、顔キラッキラにしちゃってまあ〜



「曲の売れ行きはどうなんです?」


「やっぱり『逆境』がダントツ。けどミーコの新曲もじわじわ売れてて、あいつ今ホクホク顔だぜ」


 ああ、師匠……あの必死な表情が報われて良かった。もうあんな火のつきそうな目で見られずに済む。


「そうだ、『逆境』の作詞作曲料とか本当にいいのか? あとクレジット名、どうする?」


「いいんですよ。あれは由佳さんが願ったからこそ、未来から知っていた曲を教えただけですし。名前は……そうだな」


 誰かの本名を出すのはまずい。少し考え、口にした。


「“D”でお願いします」


 イニシャルDだ!


「それでいいなら、そうしとくよ」


 そんなやり取りをしつつ家に到着。家族と一緒に由佳さんを迎え入れ、皆で食事の準備を進めた。


「「「「いただきます!」」」」


 食卓には年越し蕎麦やご馳走が並び、賑やかな声が弾ける。食後はゲーム大会。ポップマンのバクダンマンステージで由佳さんが本気でブチ切れてコントローラーを投げそうになるのを、小次郎と二人がかりで必死に止めたり。


 やがて小次郎が眠気でふらふらしはじめ、なんとか除夜の鐘まで持ちこたえさせる。


 そして――。


「「「「明けましておめでとうございます!」」」」


 笑顔と笑い声に包まれて、1988年の幕が上がった。

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