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未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す  作者: Edf
第六章 反撃の狼煙をあげよ
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第三十四話 資金が増えちゃったぞ!

 目の前の通帳に並んでいる数字のゼロの数は00000000、算用数字で八つ。自分でも“億り人”になったと自覚はしていたものの、こうして現物を突きつけられると改めて衝撃が走るな。


「ってどうでもいいわい、僕が貸したのは八月に一億六千五百万だよね? 三億って倍近いじゃん! 一体どう言う事?」


 問い詰めると、美和子さんは得意げに微笑んだ。


「大輔君に言われて関西圏の土地に資産を移しておいたでしょ? ほら、あの時“東京はもう天井だから、次は関西”って教えてくれたじゃない」


「あ、あぁ……」


「ブラックマンデーの直後から世界中の資金が安全な投資先を探していて、その流れで関西の土地の投資に資金が一気に流れ込んできたの。おかげで関西の地価は跳ね上がって、うちの資産は一気に五億を超えたのよ」


 ……会社の拡大スピードが、速すぎるんですけど!?


「この機会に会社の資金繰りも大きく改善したし、来季には銀行と提携して投資信託業務をスタートする予定よ、同時に株式上場も視野に入れているの」


「ちょ、ちょっと待って! いくらなんでも急ぎ過ぎだよ!」


「いいの。大輔君の知識が活かせるうちに先行利益をかっさらって、会社を一気に大きくするんだから!」


 ふんす! と鼻息荒く胸を張る美和子さんその勢いは止まりそうにない。


 けれど、ふと彼女の瞳が揺れた。


「……ねえ、大輔君。過去の私が、あなたと小次郎を育てきったのは確信してるし私の誇りよ。でも……その後の私は、本当に今の生活に満足していたのかしら?」


 確かに俺達、俺と小次郎の二人共に母ちゃんはしっかり社会人として、苦労しながらも俺達を送り出してくれた。

 そこに間違いはない、でも送り出した後の母ちゃんは、ふと寂しそうな表情をしてた事を思い出す。


「二人を育てたことに満足はしてたと思う。でも……その後に何かやりたいことはあったのかしら?」


 俺が答えを口に出せないでいると、表情を変えた美和子さんが


「でも今の私は違うわ。仕事が楽しくて楽しくて仕方ないの。大輔君が“起業してみない?”って私の背中を押してくれたからよ」


 その笑顔は、眩しすぎるほどに輝いていた。


「だから、この三億は大輔君が好きに使って良いの。今の私がいるのは、大輔君のおかげなんだから」


「……そんなの、ずるいよ。そんなこと言われたら断れないじゃんか」


「ふふっ」美和子さんはにんまり。


「それに、投資するならちゃんと伝票を切ってね。会社の運用実績として計上するんだから、実質的にはネクストの資産よ」


「それって……結局俺が仕事してる様なもんじゃん!?」


「いいのよ、高校卒業のときに、しっかり“お給料”として渡してあげるわ。だから今は思いっきり稼ぎなさい!」


 こうして俺の手元には、三億円という新たな資金が舞い込んだ。

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