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未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す  作者: Edf
第六章 反撃の狼煙をあげよ
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第三十三話 ネクスト拡大

 大輔です。暦も十二月、冬の冷え込みが骨身に染みる季節になりました。今日はネクストの新しい拠点を訪ねています。


「こ、これ……買っちゃったんだ(驚愕)」


「そうよ。かなり安く手に入れられたわ〜♪」


 目の前にそびえるのは、つい先月まで某企業が本社として使っていた堂々たるビルだ。


 だがその会社は経営に行き詰まり、不渡りを出して倒産。そこを美和子さんがすかさず買い取ったというわけだ。


「従業員も増えたし、最上階をうちの新しい事務所に。他のフロアもすぐにテナントが埋まったから、本当にお買い得だったわ」


「立地的にも良さそうだけど、良く安く手に入ったね?」


「あら、大輔君が教えてくれたじゃない、不渡り出して倒産するって」


 それを聞いて俺はあの美和子さんに殴られた馬鹿の事を思い出した!


「あ〜! あのぶん殴られたアホの会社のビルじゃん!? 乗っ取っちゃったの?」


 確かに末路を話をして大笑いしたものの、聞いてた時はジト目で俺を批難してたのに


「人聞きの悪いこと言わないの。必要な拠点を確保しただけよ」


 この抜け目のなさ。冷静に好機を逃さない大胆さ。


「美和子、恐ろしい子!」 久々に白目になった俺であった。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 中へ足を踏み入れると、事務所は熱気でいっぱいだった。新しく雇われた社員たちが一斉に電話を取り、パソコンを叩き、資料を確認している。その姿はまるで株式市場のフロアさながら。この会社が数年前まで小さな投資コンサル会社だったとは、とても信じられない。


「あら、大輔君、いらっしゃい」

「お疲れさまです」


 声をかけてきたのは優子さんと奈々さん。旧来のメンバーはやはり頼もしい。


「いやぁ……すっかり大所帯になったね」


「増えた分、教育する側は大変よ」

優子さんは変わらず冷静だが、その表情の奥に忙しさが滲む。


「でもでも、パソコンも増えましたし! これなんて最新型なんですよ!」

奈々さんは新品のマシンに抱きつかんばかりの勢いで頬を緩めていた。完全に猫にマタタビ状態である。


 そんな二人に手を振り、俺は社長室へ。重厚なドアを開けると、美和子さんが待ち構えていた。


「さて、大輔君。まずはお返しをしないとね」


 彼女は机の引き出しから通帳を取り出し、俺の前に差し出した。


「ん? なになに?」


 軽い気持ちで通帳を覗き込んだ瞬間、思わず声が裏返る。


「ね、ねぇ美和子さん!? ここに“三億円”って書いてあるんだけど?」

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