第十七話 ネクスト大地に立つ!
暦も四月。桜が散り始める頃、僕と健太も無事に中学二年生に進級した。歴史通り、三年間は同じクラスになるはずだ。
「あ〜あ、おはよう。今年も一緒かよ〜」
おや? 健太君は何やら不満そうな声色だね。ふむ、ここは少々喝を入れてやらねばなるまい。
「残念だったな! 俺のサポートを完璧にこなせるようになるまで、貴様に平和な時など訪れんのだよ!」
「……orz」
机に突っ伏す健太。よしよし、納得したようだな。問題なし!
そうそう、小次郎君も小学六年生。来年には僕らの後輩として中学に入学してくる。今から楽しみだ。
一方、《ネクスト》の方も予定通り四月に新スタッフを迎えることになった。新メンバーは五人。いずれも美和子さんが厳選した逸材揃いである。
まず一人目――
田中美香子さん(28歳)。積極的でリーダーシップがあり、分析力に優れた頭脳派。彼女が美和子さんのサポート兼サブリーダーを務める予定だ。
二人目は、
佐藤真理子さん(24歳)。明るく社交的で、人間関係の構築が得意。クライアントとの円滑なやり取りに強みを持つ。営業担当として期待大の新人だ。
三人目は、
鈴木悠子さん(30歳)。知識欲が旺盛で、市場動向に敏感。戦略的思考に優れ、いわば軍師役を任せたい人物だ。
この三人に美和子さんを加えた四人が営業陣――つまり《ネクスト》のFWとして前線を担う。
続いて四人目は、
高田奈々さん(19歳)。唯一の十代スタッフで、柔軟な発想力を持ち、経理とPCの達人。彼女の存在は会社の頭脳そのものになりそうだ。
そして五人目、
木村優子さん(29歳)。プロジェクト管理に長け、誠実で仲間からの信頼も厚い。既婚者で六歳の娘さんがいるという。彼女は後方支援――DFの要としてチームを支えるだろう。
流石は美和子さん。バランスの取れた布陣で、会社は一気に戦闘力を増した。これからはこの六人が《ネクスト》の中核となっていくのだ。
「田中さん、佐藤さん、鈴木さん、高田さん、木村さん。これからよろしくお願いします!」
「「「「「よ、よろしくお願いします!」」」」」
緊張しつつも意気込みを感じる声が返ってくる。僕はにっこり笑って、ポケットから名刺を取り出した。
「あっ、自己紹介がまだでしたね。僕、アルバイト兼投資アドバイザー担当の風間大輔と申します。以後お見知りおきを」
名刺にはきちんと「アルバイト兼」と手書きで追記してある。
次の瞬間――
「「「「「ええええええええ!?」」」」」
揃ってあがる悲鳴。そりゃそうだろう。中学二年生のガキが名刺を差し出すなんて、普通はありえないのだから。
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