黒玉事件・裏
某日 T国大使館にて
『何だと! 馬鹿な、日米両国からの介入が入っただと、それでは話が違う……もしもし!もしもし!』
『クソ! これでは私の立場が』
受話器を切り呆然とする私の背後で扉が開く。
『誰も入って来るなと言っ……李前総裁!』
『やあ、久しぶりだね』
『お、お久しぶりです、本日は一体どのようなご用件で』
『なに、この国にいる害虫の駆除を依頼されてね』
『そ、それは……』
『ようやく尻尾を掴めたよ、やれやれ、玉玲には苦労をかけたが、まさかC国に繋がっていた【顔の無い男】が君だったとはね……』
『……』
『本国には既に通達してある、潔く身を処したまえ』
全てが終わったと悟った彼が、突然襲い掛かろうとするが、横から現れた大男があっという間に制圧する。
『あまり前に出て欲しくは無いですな〜』
『龍君、助かったよ、それはそれとして玉玲はどうしたのかね?』
『それが、日本のボーイフレンドと約束があるそうでして』
『ほほぅ、何処の馬の骨かね、そいつは!』
冷や汗をかきつつ、どうやって宥めようか考える龍であった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
某日 日本国 国務大臣室
「はい、……はい、そうですか、わかりました、そちらにもよろしくお伝えください、それでは。」
そうして彼は受話器を切る
「ふ〜っ、どうやら上手くいったようですよ」
「お手数をお掛けして申し訳ありません、原国務大臣」
「なに、君に恩が売れたのも悪くない、次の次くらいには、君が国家公安委員会の1人になっててもおかしくはないだろうからね〜」
「恐縮です」
「しかし、君の甥っ子も中々にユニークな子だね、極東アジアのバランスを質にかけ日米両国に脅しをかけるなんて」
「ユニーク過ぎますわ!」
「いやはや何とも興味深い子だよ、米国側とのコネクションも持ち、日本の政治家とも関係が深い、是非会ってみたいものだね」
「本人は政治を毛嫌いしてるので、無理かと存じますわ」
「そいつは残念、はははは!」
もう、本当に貸しが高くついたわ、色々搾り取ってやらないと割に合わないわね。
こうして裏では叔母の怒りを買いながらも、国内のイザコザは片が付いたのである。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
某日 どこかの白い屋敷にて
『ふむ、C国の思惑は防げたようだね、ご苦労だった』
そうして彼は受話器を切る
『やれやれ、極東方面も中々に厄介なようだね、ビル、礼を言うよ』
『いえ、こちらこそ感謝します、Mrプレジデント』
『Ha!Ha!Ha!何、久しぶりに現れたアメリカ経済界のNewヒーローの頼み事だ、最大限力を貸すとも』
『恐縮です』
『君の友人にも感謝してると伝えてくれ』
『了解致しました』
『確かMrセブンだったね、MSの7%の株を保有する個人筆頭株主とは中々興味深い、今度合わせてくれたまえよ』
『……本人に聞いておきます』
『それは楽しみだ!』
やれやれ、色々バレてるぞ大輔、これは平穏無事にとはいきそうにもないな
こうして、世界最大の権力者にも目をつけられる事になった事を彼はまだ知らない。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「クシュん! 風邪引いたかな?」
「それよりも、早く経過を報告しなさいな、大輔」
「はいはい、そう慌てなさんなって花蓮、そうだな〜、あの時大吾さんからポケベルで連絡がきた後だな〜」
そうやって花蓮に時系列を語ろうかとした時
コンコンコン! 「失礼します」
「室長、この間お会いした警察の方がまたお会いしたいと」
「ふむ、来たわね、良いわ入って貰って頂戴」
「かしこまりました」
さて、解決編といきますか。