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未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す  作者: Edf
第2部 第11章 またもや襲いかかる政治のお話
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黒玉事件⑨

大輔視点



「大輔、一歩も動くなよ」


「う、動きたくとも動けねーよ!」


 2人の獣が気配を膨張させた直後、部屋に入ってきた健太のセリフに掠れた声で返事を返すのがやっとである。


 何だよこれは、いつから俺の未来知識でウハウハ生活編は、血みどろの格闘漫画編に突入しちゃったの?


 緊張する俺達をよそに、先程室内に入ってきて爺いの初めての本気を見る早苗は、震えながらも歓喜の表情を浮かべてるし、これだからバトルジャンキーは……


 そうやって一瞬目を離した隙に、2人の老人の距離が縮まり、目にも追えない程の攻防を繰り広げ、直後再度距離をとる。


 爺いの左手にはいつのまにか十手のような打撃武器が、向こうの達人の右手には匕首のような武器が手に添えられていた。


『腕を上げたな、戦鬼』


『老いてもいささかも衰えておらんの、崙殿』


 そうやって軽口を交わした直後、再度接近した両雄は刹那の攻防を繰り広げる、遠くから見てるのに動きを追うのがやっととか、2人共化け物かよ。


『バカな!崙老師と互角にやり合うだと!』


『嘘でしょ、信じられない!』


 両雄の戦いを見守っていた張俊瑋と、護衛の龍を立ち上がらせた玉玲も信じられないと驚愕する。


 数刻が過ぎ、数多の攻防を繰り広げ緊張感も限界まで高まる中


『ふむ、コレでは中々決着がつかんの、そろそろお互い本気の殺し合いを始めるとするかね?』


『付き合いたくはないが、やむを得ぬか……』


 マジかよ、今まで本気じゃなかってか?


 お互いの気配が、今までの比じゃない程に膨れ上がる、コレはヤバい


「ちょっとタンマ!」


 俺はこのとんでもない修羅場の中、口を挟むという暴挙にでる


「しゃしゃり出てくるな、大輔、いくらお主でもタダでは済まんぞ!」


『……』


「悪いが爺さん、これ以上は藪蛇だ、本当に引き返せなくなる、お互いに」


「知った事か、引っ込んでおれ!」


 やはり無理か、この手は使いたくなかったが仕方ない


「爺いが戻ってこなかったらさ、さやかちゃんが悲しむぞ?」


「……卑怯じゃろ、それは大輔よ」


「わかってる、悪いな爺さん、それにそろそろだと思うんだ」


 張り詰めた空気の中、扉から慌てた様子で張家の執事らしき人物が入ってくる。


『申し訳ありません主よ、緊急の連絡が』


『何だ後にせよ、今は』『それが、◯◯様からでして』


『何?』


 何処からか急遽呼び出しを受けた張俊瑋が電話に出ると


『なんだと、この件は3家合同で決めた事の筈だ……なに馬鹿な、日本政府は兎も角、米国側からもだと!』


 どうやら上手くいったらしい


『…わかった、この件からは手を引く、それで良いだろう、ああ、後程連絡する』


 電話を切ると、徐に受話器を叩きつける張俊瑋


『小僧、貴様一体何をした!』


 いや喚かれても中国語はわからんし?


 見かねた大吾さんが、足を引きずりながらも仲介して通訳してくれる


『こちらとしても面倒毎はごめんでしたのでね、知り合いにお願いして日米両国のお偉いさんに伺いを立てて釘を刺して貰いました』


 そう、泰子さんとビルにお願いして日米両国に今回の顛末を暴露してやったって訳


 両国共に、C国にT国が飲み込まれるのは看過出来ないのが未来の知識でもわかっていたしね、快く協力して貰えたよ


 後が怖いけど……


『小僧貴様何者だ! いや、名を聞こう』


『風間大輔と申します、ただの一般人ですよ』


『……名を覚えておく、崙老師ここは引くぞ』


『承りました主よ』


 お互いを見合った、爺さんと崙老師は無言で分かれる


 こうして、かつてない程の大騒ぎとなった黒玉事件は、いくつかの謎を残したまま、ひとまず閉幕する事となる。


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