第73話 秘密会談③
「やはりそうでしたか!」
総理は俺の告白を聞き納得した様子だが
「ちょっと待ってください、本当に大輔君がネクストを動かしてたって言うのかい?」
信康さんが驚くのも無理はない、現在風間本家の資産管理は泰子さんがネクストの意見を参考に運用しているのだから
「なんと! 政治だけじゃなく経済にも造形が深いのかの?」
金角さんの目が爛々と光始めていて怖すぎる、さっきの政治に関わらせないって約束忘れないで下さいよ
「だから語弊が有りますって、指針を打ち出していただけですから、ネクストは社員の頑張りによって大きくなったんです、そこは誤解しないで下さいよ!」
話を大きくしないで欲しい、だが3人は興味深々の様子で俺を見ている勘弁してくれ
「話はわかりました、その上でお聞きしたいのですが、現在ネクストでは平成景気は既に終わりを迎えたと顧客に説明しているとの事ですが事実ですか?」
総理からネクストの現在の指針について説明を求められる、かなり厳しい目線だ、そりゃあ不景気が始まったと宣言したようなもんだからな。
「事実ですね、正確に申しますと昨年の2月に平成景気、私達の言うバブルは弾けたと判断しました」
俺が断言すると、総理は沈黙し信康さんはネクストの顧客としてある程度聞いてたので唸っている、ただ何も聞いてない金角さんは驚いたようで
「ちょっと待ってくれ大輔君、経済の波は現在落ち込んではいるものの、もうすぐ底をうちいずれ回復すると言うのが経済の専門家達の総意のはずじゃ!」
俺は溜め息を吐きつつも意見を述べる事にする
「ふ〜、あくまで一個人の意見として述べさせて頂きますが、底どころかまだ入り口にさしかかったばかりでしかないと判断してます」
俺の余りの意見に全員が絶句する
「そんな馬鹿な既に2年も景気が落ち込んでいるんだよ大輔君?」
「そうじゃの、これが入り口でしかないと言うのかね? 流石に信じられんよ」
2人は流石に信じられないと意見を否定しているが総理は無言のまま何かを考えてるらしい
「そうですね、今まで不景気があったとしてもいずれ好景気の波が戻ってくる、これが歴史の流れでしたからね、ですが……」
俺が口を開く前に総理が答える
「銀行が抱える債権の問題、ですね」
総理の答えに、残る2人が思わず総理に視線を向けるが俺は総理に頷きを返す
「はい、今後バブルの崩壊により銀行が抱える債券のデフレ化は加速度的に進みます、銀行はその不良債券を処理できなくなり先送りし始めると考えられます、その結果、各金融機関の経営は悪化し貸し剥がしや貸し渋りが始まり日本の経済サイクルは更に悪化、この時点で破綻する企業や銀行が雪崩をうちはじめ未曾有の本当の危機がやって来ると判断します」
「もういいよ大輔君、わかった、この問題を解決しない限り日本の破綻は免れないという事だね!」
金角さんと信康さんが絶句する中、俺は頷く事で同意するのであった
お読み頂きありがとうございます、皆さんの閲覧励みになっております
後もしよろしければいつでも結構ですのでブックマークの登録や↓欄の☆☆☆☆☆にご評価して下さると大変嬉しいです