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未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す  作者: Edf
第二章 最初の大波を越えていけ
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第九話 家族未来会議①

 今回はちゃぶ台の上に正座し、いつものゲ◯ドースタイルを決めてのスタートだ。


「では始めるとするかね、美和子君!」


「……何その格好と喋り方?」


「えっ? 未来に流行ったアニメに出てくる偉い人のスタイル?」


「はぁ〜……。いいから普通にしなさい!」


「イエスマム!」


 軽い茶番を切り上げ、俺は咳払いして本題に入る。


「今日は未来について、もう少し詳しい説明をする訳だけど。まず――なんで中学生のくせに投資なんて始めたのか、そこから話すべきだよね」


「うん、それは気になってた。中学生が今あわててやる理由なんて、わからなかったし」


 まあ当然だ。普通なら疑って当然。


「実は、去年あたりからなんだけど兆しは出てるんだ、今年から、日本は空前絶後の好景気に湧くことになる」


「へぇ〜……って言われても、全然実感ないんだけど?」


「そうだろうね。わかりやすく言うなら、その辺を歩いてる普通のおじさんが、突然億を持つ金持ちになるような時代に突入する」


「……はぁぁ!?」


 美和子さんの目がまん丸になる。そりゃそうだ。


 実際、その全盛期には二十歳そこそこの兄ちゃんが、フェラーリに乗って夜な夜な銀座を走り回り、高級ホテルに泊まり、海外で豪遊していた。そんな連中がザラにいた時代、それこそがバブルだ。


「二月に俺が狙ってるNTD株もそうなんだけど、株価も土地価格も、一部の例外を除いて、価格が際限なく上がり続ける。そういう“バブル景気”ってのが日本に来るんだ」


「……まだよくわからないけど、そのために中学生から投資して、お金を作ろうとしたの?でも……別に高校を卒業してからでも間に合うんじゃない?」


「いや、それじゃ遅いんだ。永遠に続く好景気なんて存在しない。勘違いして破滅した人間は山ほどいたけどね」


 俺は一呼吸おいて、真剣な声で言う。


「さっき“バブル”って言ったよね。1991年まで、莫大に膨れ上がった好景気の泡はその年を最後に一気に弾けて消える。その瞬間から、日本は“失われた20年”に入る。いや、実際は30年以上だ。俺が49歳になるまでの間、日本が本当の意味で好景気に沸くことは、一度もなかったよ」


 ズシリ、と空気が重くなるのがわかる。


「……」


 美和子さんは、まるで時が止まったみたいに固まって、何も言えないでいる。


 無理もない。彼女はまだ、この国がこれからバブル後に迎える地獄のような有様を知らないのだから。

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