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未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す  作者: Edf
第二章 最初の大波を越えていけ
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第七話 守る為の暴露

 12月に入ったある夜。


 俺は決意していた、母さんに、自分が未来を生きた記憶を持っている事を打ち明けると。


 理由はいくつもあったが、時期的にも状況的にも、今しかなかった。


「美和子さん……いや、母ちゃん。ちょっとだけ時間をくれないか? どうしても話したい事があるんだ」


 小次郎がすやすや眠っている時間を見計らい、真剣な声で切り出す。


「……何かあったの?」


 母ちゃんは少し警戒していた。けれど、その視線には逃げずに受け止めてくれる温かさもある。


「信じられないかもしれないけど……俺、いや自分には2023年まで、49歳として生きてきた頃の記憶があるんだ」


 息を呑む母さんだったがすぐに、困ったように眉をひそめた。


「……なにそれ? 漫画か何かに影響されたとか?」


 やっぱり簡単には信じてくれないよな。俺は少し迷ったあとに手札を切った。


「これ、今の俺の資産。三千五百万ある」


 紙にまとめた数字を見せる。衝撃を与えるにはインパクトが必要だ。


「ちょ、ちょっと待って! 株で二百万くらい儲けたのは知ってたけど……何よこの金額!?」


「康二兄さんにお願いして、競馬でちょっとね」


 その瞬間、母ちゃんの表情が一変した。眉間に皺が寄り、声に怒気が混じる。


「……投資はまだいいわ。でも競馬は駄目。ただのギャンブルじゃない、そんなの絶対許さないわ!」


「ギャンブルじゃなかったとしたら?」


 俺は目を見据える。


「最初に言ったよね、2023年まで生きた記憶があるって。 それにそもそも、中学生が定期崩して投資に回したいなんて言い出す時点でおかしいとは思わなかった?」


 母ちゃんは黙り込む。やがて、少し苦笑しながら呟いた。


「……そうね〜、半年くらい前まで鼻水垂らしてお面ライダーごっこしてた子が、急にそんなこと言い出すなんて、確かに変だと思ったわ」


 ――グハッ! 止めろそれは俺に効く


「と、とにかく、未来の記憶があるのは事実なんだ。それに……母ちゃんが“来年から日記を始める”って考えてるのも、俺は知ってる」


「――っ! それ……まだ誰にも言ってないのに!?」


 母ちゃんの目が見開かれる。これで少しは信じてもらえただろう。


 俺は一呼吸置いて、本題を口にする。


「その上で、どうしても母ちゃんに伝えなきゃならない事があるんだ」


 母ちゃんは息を整え、真剣な眼差しで続きを待つ。


 俺は腹の底から声を振り絞った。


「現在、母ちゃんが付き合っている沢見匠さん。その人との交際をやめてほしい」


 部屋の空気が一瞬で凍りついた。


 これだけは……何としても止めなきゃならん。

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― 新着の感想 ―
自分の母親をさん付けの名前呼びするのは何かのこだわりなのかなぁ それともまだ描写されてないだけで血縁関係に無いとかなのか
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