1年D組の運命
中学校。
それは学びを育む場所であり、少なくとも「命」が狙われる場所ではない。‥‥‥と思っていた。あの時までは。
俺は中1の小林時馬。得意科目は国語。苦手科目は理科。バリバリの文系である。趣味とかはあまりないが、強いて言えば音ゲーぐらいだろうか…
5月28日、今日も中学校に行く準備をする。学校のあるとこが比較的都会なので、毎日満員電車に乗られている。これぐらいでへばってしまってはいけないが、今年から電車に乗り始めた中1にとって、ダメージは深刻だ。
「おはよう」
中学生になって1ヶ月半。ちょっと友達もできた。まあ陽キャではないから本当に少しなのだが…でも大切な友達だ。感謝しなければ。
ガラッ 扉が開く。
後藤先生が来た。‥‥‥ん? 先生…じ…ゃ…ない?
僕たち36人の前に現れたのは全く知らない女だ。顔は髪でうまく隠れている。
「誰だお前!!」
スクールカースト1軍の男子が叫ぶ。剣幕が凄い。怖い怖い…
「私は、動画配信者です。視聴者のリクエストで、中学生が殺される姿を見たいという人がおり、1年D組を封鎖させていただきました。」
…………? 殺される? この女は何を言っているのだ?
「そんなん担任が許すわけねえだろ!」2軍女子。
「80億」
「は?」
「80億で先生は……後藤優里花先生は、1年D組を殺して良いと言いました。」
「…………………え?」
流石に1軍男子も動揺を隠しきれていない様子だ。まあ当然っちゃ当然だ。後藤先生がそんな人間とは思っていなかったし、第一、先生は4月の初め、「生徒のことを一番に考える先生になろうと思っています!」と言っていたのだ。なのに、どうして……
「そんなことしたら、け…警察が黙っちゃいないぞ!」4軍男子。
「私が逮捕される可能性は少ないです。私が動画投稿しているのは、ちょっとだけグロテスクで有名なサイトです。そこにはい~っぱい殺人動画があります。警察も手に負えないでしょう。まあもし仮に逮捕されたとしても、刑務所で一生暮らすぐらいで住むでしょう。私、一回刑務所入ってみたかったんですよね。あははは。人を殺したことはありますが、中学生を殺すことは初めてです。非常に楽しみですね!」
サイコパス。それが一番彼女に似合う称号だった。狂人といってもいいかもしれない。
「さて そろそろ『death game』を始めましょう」
サイコパスによる「death game」がいま、始まる_____