6話
俺は彼女が人ではなくアンドロイドなこと、手違いで管理者になってしまったこと、彼女がボディーを洗うために何故かリビングで脱ぎだしたことを説明した。それを聞いた妹はちゃんと話を理解してくれたようで、リビングまで下りてきてくれた。
ちなみにエゴには風呂に入ってもらっている。
「なるほど。そうゆうことだったんだ」
「わかってくれて良かった」
「状況は把握した。けど、おにぃの行動はいまだに理解できてないかな」
「どうしてだよ!」
「だって、こうゆう身に覚えのない時って普通すぐに警察呼ぶのが常識じゃない? なのにどうしてこうなったの?」
「確かに俺もそう思ったよ。思ったけど、あいつ俺の名前言ったんだぜ。もしかしたら父さんか、母さんがあまり家に帰れないからって買って今日届いたってこともあるかもしれないだろ」
すると妹はため息をついて心底残念そうな顔をする。
「な、なんだよ。なんでそんな顔すんだよ」
「だって、よく考えてみてよ。宅配物にそのまま届け先に行ってもらうことなんてあるわけないじゃん」
「た、確かに……」
「それに、たとえお父さんたちが買ってくれていたとしてもこんな大きな買い物をして連絡がこないわけないじゃん」
確かにそうだ。俺が咄嗟にこの考えた言い訳だと矛盾が生じる。
ではなぜあいつは、エゴはここにいたんだ?
完全に論破され、何も言えなくなっている俺を見て妹は「しょうがない。今日だけはあれを泊めることを許可してあげる」とかなり上から目線なのが気になったが許してくれるようだった。
「今日はいいとして、明日はどうするの?」
「明日はもちろん警察に連絡して引き取ってもらうよ」
「なら、今のうちに管理者? の登録解除しておきなよ」
「それが……」
ここで管理者登録をその場で解除できたであろう端末が壊れたことを話した。
「おにぃ。何やってんの?」
「いや。正確には俺が壊したんじゃなくて、あいつが勝手に壊したんだよ」
「一時的とはいえ管理者になったんだからちゃんと管理しないと」
年下の、それも妹にここまで言われるとは面目ない……。
そもそもこんなお金持ちでもない家にアンドロイドが来るなんてことがあるのが驚きで、冷静な判断ができなかった。だってアンドロイド一体で高級車一台は買える値段だぞ。そんなの実際に持っている人でないと驚かないはずがない。
とりあえず時間も遅いので中断された晩飯づくりを再開しようと台所へ向かう。
するとドアが開きエゴがバスタオルを巻いただけの状態で入ってきた。
だから俺はまたエゴが視界に入らないように目をそらした。
「エゴ! お前またかよ。服を着てから入ってこいよ」
「なぜそんな反応をされるのですか? わたしは――」
「物だって言いたいんだろ? 分かってる。わかって入るけど……」
そして俺は妹をちらちら見る。
すると妹はエゴの手を握り「欲情してるおにぃは置いといてわたしの部屋にれっつごー」と言ってリビングを出ていった。
「してねぇから!」と叫ぶが聞こえているのかも怪しい。
しかし妹よ。察しがよくて助かる。我ながらよくできた妹だと感心したぞ。
ようやく一安心できた俺は晩飯づくりをやっと再開した。
こんにちは、深沼バルキです。
うーん。進め! 私の指! お願いだから思考するスピードと同じ速度で動いてくれ……というのが今の一番欲しいものですかね。
ここまで読んでいただきありがとうございます。