11話
「なんだこれ。本当にこれは現実か?」
あまりにも非現実的すぎて頭の中に、もやがかかったように一向に思考がまとまらず、理解ができずにいる。
「マスターこれは現実です。しかしこれは6,1とは違い、この国のこの都市でのみで起きているテロです」
「つまり?」
「私たちを狙った未来からの攻撃です」
「は?」
「約五分もすればこの報道番組も事件のように情報操作されることになるでしょう。ここにいてはすぐに見つかります。逃げましょうマスター!」
エゴが俺の手を取りノックの家から出ようとしたが俺はそれを振りほどく。
「お前、マジでおかしいんじゃねえのか? こんな大掛かりなテロまで起こしてその目的が俺? そんなわけないだろ! だったら最初に俺の家にきて……殺しにく……る……」
あることに気づき、ゾッとするほどの嫌な予感が全身を固まらせた。
「まさか!」
硬直から無理やり体を動かすと俺はすぐにノックの家を飛び出し、自分の家に走る。
お願いだ。俺の考えていることも、エゴの言ってたこともすべて噓であると誰でもいいから言ってくれ!
後ろからノックとエゴのものであろう足音が聞こえるが、構わず走る。過呼吸に近い状態になっても、逃げる人々にぶつかろうが俺は足を止めることはなかった。
最後の曲がり角を曲がると切らした息を整えるように歩く。
この騒ぎでも静かな近所は不思議に思えても良いと思ったけど、この場所だけいつもの日常が流れているようで良かった。
遠くでまた爆発音が聞こえる。
明かりもついていない自分の家の前に立つと、心臓の音が大きな音を立てスピーカーのように聞こえる。
すると俺の肩にぽんっと手を誰かが置いた。
「おい、ソル! お前、大丈夫か?」
大丈夫なわけがない。今にも心臓が破裂しそうなほど息苦しい。
「まだ……決まったわけじゃないだろ。妹さんのこと。心配なのはわかるけ、ど……まずは自分のこと……大切にしないと」
息切れしているのかとぎれとぎれになっているその声はほとんど俺には届いていない。
頭の中にあるのはずっと妹の安否だけになっている。
二日連続で妹の部活が休みだったことは過去にない。だから可能性は低い。でもゼロではない。
玄関に向けてゆっくりと歩いて行く。
玄関ドア前まで来てドアノブを握ると自分の手が震えていることに気づき、同時に整えたはずの息は酷く荒くなっていた。
このままドアを開けていいのだろうか。この先で目にするものは一体どっちなのだろうかと考えてしまう。
実際には数秒の出来事だったが俺には何分も長く感じていた。
俺は唾をのんだ。
そして深く息を吐き、握る手に力を入れてドアをゆっくり開く。
「たっ、ただいま」
震えまじりの声で帰宅したことを告げたが、暗く静かな家には人気が全くなかった。
靴を脱ぐことなく先に妹の部屋のある二階への方へ向かおうとしたが廊下の先にある玄関からリビングへと続くドアに目がいった。
ドアからは少しだけ光があった。
それに違和感を感じ、先にリビングへと向かう。
一歩一歩進むたびどんどん息は荒くなり、心臓の音は大きくなっていく。
なんだよ。この違和感。
ドアノブに手をかけ、またゆっくりと開いていく。
リビングを見渡すと光源はカーテンの開ききった窓からの光だった。
でも案の定、静かで、少しほっとして吐息を漏らす。
するとその瞬間、コツっと足元で音がした。
息を荒らげながらその方へ視線を向けるとそこには壁にもたれかかる赤く染まった妹がいた。
「お、かえり……。おにぃ……」
こんにちは、深沼バルキです。
どんどん序章が終わりが見えてきた……気がする。
ここまで読んでくださりありがとうございます。




