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調和と体と21グラム  作者: 深沼バルキ
序章 Daybreak world front line
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10話

 エゴが話し終えると俺もノックも驚きのあまり、黙ったままだった。


 「これが世界に起こった悲劇と日本が消滅した出来事についてのお話です」


 「で、でもさ。たった数十年前の話なんだろ? 仮にその話が本当だったとしたら俺らが住むこの国はかなりハイスピードで復興したってことになる。さすがにそれは不可能なんじゃないのか?」


 「ではマスターはこの国の、この首都を中心とした一帯以外の町をその目で直接見たことはありますか?」


 「えっ……」


 ここで何かに気づいたノックがぎゅっと思いきりこぶしを握った。


 「つまりまだ都市部しか復興できていないってことか」


 「はい。テロの攻撃は都市部中心ではありましたが他にも国全体に大打撃を与えられるような場所、発電所等にも攻撃があり、地方といえどテロは免れませんでした。そのため新たな場所、テロに荒らされることを免れた場所に新たな都市を作ることに決定。そしその中でも日本人の生き残った方々を受け入れ、人口の多くなっていたこの新都市が最優先に都市化が進んでいったのです」


 「生き残りがいたのか」


 「はい。そしてお二人もその日本人の血を受け継いでいるのです」


 確かに昔から違和感があった。近所の人とは違う自分の名前の発音の違いに。


 でも学校に行けば生徒は皆自分と似た発音の名前の人ばかりだったためさほど気にはしていなかったのだが、これで納得がいった。


 「もしかして俺ら、長谷部に通う者たちはあの学校で一つの場所に集められて管理されているのか?」


 「否定はしません」


 一気に明らかになっていく自分の世界の本当の姿を知って少しでも否定したくなるような感情が出てくるかと思ったがそれも特になく、いたって冷静な自分が不思議に思えた。


 「それで? 肝心のどこから来たって話なんだが、まさかその日本から来たってわけじゃないんだろ?」


 「はい。わたしは未来から来ました。そしてわたしがマスターに求めることはたった一つ。このテロの悲劇を防いでもらいたいのです」


 「待て待て、ちょっと待てって! お前何言ってんだ? 小説とかじゃあるまいし、未来からやって来ただ? さっきまでリアルな話をしていたのに、何急に現実味のない話しだしてんだよ。さらにはテロを防ぐとか……不可能だ。真面目に聞いて損した」


 「まぁまぁ。エゴ……さん? の未来から来たって話、あながち噓とは言えないかもしれないよ? 今ワルキューレの検索が終わったんだけど、個人製作アンドロイドの話はいくつか出てきたけど、まだ試作段階にないみたいだし」


俺はノックになだめられ、ノックがそう言うのならと一旦心を落ち着かせた。


 「マスターの理解が追い付かないのは予測済みです。ですがマスターはすぐに思い知ります。自分の使命の重大さに」


 「はっ。すぐっていついつかも分からないじゃないか」


 「今です」


 「は?」


 「ですから、今すぐにマスターは身をもって体験されるのです」


 「使命ってやつにか?」


 「はい。それともう二つ。テロの恐怖と悲しみもです」


 「それってどういう……っ?」


 答え合わせはすぐにやって来た。


 町全体に大きな衝撃が走り、俺は驚いた。


 「今の衝撃はなんだ?」


 「地震……ではないよね」


 さらに二度目三度目の衝撃が体を揺らす。


 『マスター大変です! この都市で爆発が起きています!』


 「すぐに報道番組をつけてくれ!」


 ノックの指示でワルキューレが報道番組をつけるとライブ中継画面が画面いっぱいに映される。


 「なっ……」


 画面には国の重要な建物や周辺の建物が燃えているのが映し出されていた。


 ここで俺はエゴの言葉を思い出した。


 「まさか。これはテロ……なのか?」


 すべてエゴの言うことは正しかったのだ。


 もうこの時には俺の足は使命に向かって歩き出していたのかもしれない。

こんにちは、深沼バルキです。

短めですみません。でも明日も投稿するのでよろしくお願いします。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

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