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調和と体と21グラム  作者: 深沼バルキ
序章 Daybreak world front line
10/26

9話

 数十年前。


 まだ個人と個人がネットを通じて繋がっていたころ、この国の東の海をまたいだその先に一つの国が存在していました。


 その国の名を日本。


 日本は海に囲まれた島国であり、そこには約一億人以上が平和に暮らしていました。


 しかし、とある日。以後の世界を大きく変えてしまう事件が起きました。


 それがのちに6.1事件、または運命の日とも呼ばれる事件です。


 6.1事件は他にも呼ばれ方があり、世界同時多発テロ事件とも呼ばれ、その名の通り世界各国の首都を中心に同時多発的にテロが起きました。


 テロの内容は爆破等による破壊工作のみならず、情報放送番組へAIによるサイバー攻撃をして民衆の動きを混乱、又はコントロールするなど多岐にわたりました。


 さらに、テロ活動は第一波で終わりはしなく、数日後には第二波がまた世界を絶望に引きずり込み、その影響で一部の国がなくなりました。


 国々はこの地獄を終わらせようと国と国で協力し合って止めようとしましたが、ネットを通じた協力はテロ側のAIのサイバー攻撃により偽りの情報を提供されたり、さらなる情報漏洩しかねないため使えませんでした。


 しかし大国の首脳らの頭には皆同じ、ある確信に近い推測がありました。


 それは全てのテロ組織を束ねている上の存在がいるのではないかということです。


 そう考え付いた理由として挙げられるのは大国を攻撃するテロ組織が一つではなく複数あったためだと挙げられます。つまりこの6.1事件は複数のテロ組織が上の組織によって同時に引き起こしたものだったのです。


ですが、そのことを突き止めたとしても逮捕されたテロ組織の幹部らは皆一様に、知らせが来たら開始の合図としか伝えられていなかったようで、聞き出そうにもここまで複数の組織と同時にテロ行為を行うことになっていることを当日まで知らなかったと話していたそうです。


 ですが当時実質的に世界の覇権を握っていた世界トップの国が自国のテロ組織の指導者の男を逮捕したのです。


 すぐさま上の組織について取り調べを行うことになりましたが、存在は知っていてもその構成人数やどの人種の人間がいるかは知らないようでした。ですが彼はほくそ笑みながらこう言ったそうです。


 「あー。そういえば俺らの上のがどんな奴らかは知らねえが、俺が捕まったら話せと知らせと一緒に書かれてたことが一つあったな。あーたしか、ワタシはすべてが始まったのなら日本にて世界の傍観者として見届けるとしよう。って英語でさ」


 この情報の確証を得るため彼の使っていたオリジナルの端末を調べると確かに証言通り残っており、このことを知ったこの国は銃口を日本に向けた。


 それでもすぐには引き金を引くことはできなかったのです。


 何故なら自国が引き金を引いて戦争の引き金となった場合の責任があまりにも重すぎたからです。


 そのためダメもとではありましたが日本以外の世界各国の意見を聞こうと、この情報を送信しました。すると多くの返信が届いたのです。


 各国はそれぞれ情報を共有しリモートで会議をした結果とあることが決議されました。


 それは日本国民に気づかれる前に数国同時に日本を攻撃し国一つを消滅させるというものでした。


 一見理解不能とも思えるその決議でしたが、第一波、第二波で疲弊している国々がまたくると予想される第三波に耐えることができる確証もなかったため、これは今できる最善策として決議されたのです。


 この決議に至るまでの経緯を含め、全てを日本最後となった総理大臣に伝えました。


 すると総理の返答はこうでした。実際に首謀者らがいるのかどうか確証のないもので自国が消滅させられるなど理解できないと、もちろん拒否したのです。


 しかし第二波から十日後、例の捕まった彼が証言したのです。


 「今日から五日以内に三波がくるぞ」と。


 この情報もまた共有すると、第三波が来たら確実に国が終わるところまで疲弊していた国がパニックになり、とうとう日本に向けてミサイルが発射されました。


 このミサイルは何故か推定飛行距離よりも短い距離しか飛ばず、爆発もせずに海に落ち、不発に終わりました。


 けれど一度ミサイルが発射されたことでほかの国々もそれに追随するように撃ち始めたのです。その撃ち込まれた中には核兵器もあった影響で今なお元日本領土は立ち入ることを禁止されているのです。


 結果、日本という国は消滅。国民も文化もそのほとんどがある日、ある時間を境に消えました。

でもその後第三波はなく、6.1は収束していったのです。


 この事件は多くの国が収束する代償に、一つの国の多くの人々を犠牲にしたということがあまりにも世界にそのまま報道するには衝撃的なことであるため事実を曲げ、「日本が自国に首謀者がいることを知って自国を消滅させるに至った」としました。



 結果、最後の総理大臣は批判され、国を巻き込んだ最悪の自殺犯や首謀者説を唱える者も出てきてしまいました。


 世界は事後、今後このようなことがないよう、多国間で極力関わりを減らすため、ネットワークの国と国をまたいだ個人、又は企業の使用は禁止され、国内のみとなり、他国の情報は現在のように公共放送のみに限定されたもののみとなりました。


 この国の教育方針では6.1事件は秘匿され、あたかも世界は元からこの形だったかのように子供達には教育をしています。


 なお、首謀者は数十年経った現在でも生死不明、特定にも至っておりません。

こんにちは、深沼バルキです。

日本出ましたー! わーい。これでやっと世界の説明が書けました。はやくしないと私の書く気力がなくなりそうで怖いです。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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