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【完結】エレベーターに乗ったら異世界に来てしまった件 ~大切な幼馴染を追いかけて異世界に来た天才少年は聖女しか使えないハズの治癒魔法の才能を開花させる~  作者: ゆに
第3章 エレベーターに乗ったら異世界に来てもふもふ姫に好かれてしまった件

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第97話 奇跡を起こすためには人間の体を捨てる必要があった


~神殿騎士第七師団駐屯地 西棟~

 進とガリアが再び剣をぶつけ合っているいる一方で、基地内の地下室で大爆発を起こしたフラムたちはと言うと、マリーは奴隷として囚われていた人の救出に成功して無事に地下室から脱出していた。

 

 「皆さん、もう大丈夫ですよ!」

 「私、フラムさんから渡されたもう一つ転移石を持っているんでこれで皆さんアクアマリノまで、送ることができます!」

 マリーは囚われて神殿騎士たちに酷いことをされてきた人たちの不安を少しでも紛らわせてあげようと元気を出して言った。

 

 「よし!これでカイル君も喜んでくれるはず!」

 とマリーが小さい声で呟いた。その呟きがある女性の耳に入った。

 

 「カイルを知っているんですか!」

 その女性はマリーの元に駆け寄って、聞いた。

 

 「は、はい!私たちカイル君の宿屋に泊まっているんですよ」

 「もしかして貴方がカイル君のお姉さん?」

 とマリーはカイルの姉らしき人に聞いた。

 

 「はい、そうです!カイルの姉のアンナです!」

 「良かった...あの子は生きている!」

 アンナはとても安堵したような様子でホッと胸をなでおろしているようだった。

 

 「カイル君が生きているって?なんでそんなことを?」

 マリーは不思議に思ってアンナに聞いてみた。

 

 「ああ、そうですよね...いきなりそんなことを言っても分からないですよね」

 「ここの神殿騎士...アリオールが言っていたんですよ」

 「大人しくしないとお前の弟を殺すぞって!」

 「それで私不安だったんです...」

 アンナは胸に手を当てながらマリーに事情を話した。

 

 「それは可哀想な...でも大丈夫です!」

 「今ススムさんが悪い神殿騎士をやっつけているんで!」

 「あっ!ススムさんていうのはとっても強い私の憧れの人で...師匠みたいな人です!」

 マリーはアンナを安心させるために進のことを説明しだした。普段人に進の話をすることがあまりなかったためだろうか慌てて説明しているようだった。

 

 「ぷっ!あなた面白い人ね!」

 マリーのその慌てっぷりにアンナはプッと吹き出して笑ってしまった。

 

 「分かったわ!今あなたの大事な人が私たちを救出するために戦っているのね」

 「転移石を貸して頂戴!それでみんなをアクアマリノまで連れて帰るから、貴方はその進って人の所に行きなさい!」

 

 「えッ!でも大丈夫ですか?」

 

 「任せなさいよ!私こう見えても強いのよ!」

 アンナは胸を張って自信満々のアピールをする。

 

 「分かりました!皆さんをお願いします!」

 

 「私達の宿屋で待っているから!必ず戻ってきなさい!」

 「美味しい料理を作って待っているから!」

 アンナはマリーを進の元へ送り出そうとしていた。するとそこへ、獣人の国クロヴィスの姫リオンが会話に割って入ってきた。

 

 「話は聞かせてもらった!」

 「勝手で申し訳ないが私もその進という男の元へ行きたいんだが、いいか?」

 

 「ひ、姫様!?」

 マリーは突然のリオンに声を掛けられたことに驚いた。

 

 「姫だからと言って、そんなに気を使わなくてもいい」

 「それと、私はここの団長ガリアという男に恨みがある」

 「奴だけは私が殺さなければ私の気が済まない!」

 リオンはとても怒りを感じているようで、ここに連れてこられるまでの経緯をマリーたちに話した。

 

 「ってことはそのガリアって人に無理矢理連れてこられたんですね」

 「ホントそのガリアって奴許せないね」

 マリーとアンナはリオンに同情の気持ちを示す。

 

 「ここでも奴に拷問じみた行為を受け、身体を甚振られ、こんな惨めな格好をさせられた...」 マリーにはリオンのガリアに対する憎しみは本物だと感じられた。それはかつて自分が故郷のロレーヌ村で賊に母親を殺されたときの自分と重なって見えたからであった。

 「分かりました!それじゃあ私についてきてください!」

 「さっきまたあっちの方で爆発が起こったのが聞こえたので、あっちで戦っているハズです!」

 とマリーは訓練場の方を指差して言った。

 

 「私たちは先にアクアマリノで待っているから!」

 「気を付けるんだよ!」

 囚われていたアンナたちは転移石を使って、一足先にアクアマリノに帰った。マリーとリオンはそれを見届けた。

 

 「それじゃあ私たちも行きましょうか!」

 とマリーが言った、その時突然地面からガラガラと音を立て、瓦礫が吹き飛ばされた。咄嗟にマリーは武器を構えたが、そこから出てきたのはマリーと共に来たフラムだった。

 

 「フラムさん!無事だったんですね!」

 マリーは嬉しそうにフラムの元へ駆け寄る。

 

 「ああ、熱系のダメージは無効だが、流石に瓦礫の物理ダメージは防げなかったけど...」

 「姫様も無事で何よりです!」

 フラムはリオンの無事な姿に安堵する。

 

 「ああ、君たちの戦いぶりは見ていた!」

 「相当な実力者だと感じたよ!」

 リオンは虚ろな意識の中、先のベルデとの戦いを見て、フラムたちのことを素直に実力者と認めていた。

 

 「奴は、最悪の魔の探究者だ!」

 「私たちを奴隷にするときに皆に、この奴隷紋を付けた」

 

 「奴隷紋?何ですかそれは?」

 フラムですら聞いたことのない名前であり、それをリオンに聞いた。

 

 「奴隷紋とは、奴隷にしたい人に刻み込む呪術による刻印の事だ!」

 「奴によって私の胸元にもそれが刻まれた!」

 リオンはいきなり自身の胸元をフラムたちに見せた。豊満な胸を恥じらいもなく見せる彼女であったが、その少し上の首の付け根あたりに見たこともない不気味な文様が確かに刻まれていた。

 

 「グッ、これは非道い...」

 フラムは手を口に当てながら言った。

 

 「これを刻まれた者は、ここに魔力を流した者の命令を必ず聞くようになる」

 「これによって、ここに居た人たちは皆奴らに逆らうことが出来なくなっていた...」

 

 「だが、今日貴方たちが現れたことで状況が一変した!」

 「今なら、奴をガリアをこの手で倒すことができる!」

 

 「そうですね...ではみんなでススム君の加勢に行きましょう!」

 とフラムが二人を連れて行こうとしたその時、とてつもない魔力を感じてしまった。

 

 「なんだこの魔力は...」

 フラムと同じく、瓦礫からあの男が現れた。そう...あの不気味な老人ベルデ-ヴァ-ファルマールだった。しかしその姿は初めに会ったときとはまるで違う偉業の姿だった。その姿は漆黒のローブを身に纏い、顔は骸骨のような顔をしており、曲がった腰はすらっとなり、フラムと同じくらいの身長に変わっていた。

 

 「おいおい、ネクロマンサーてのは若返りの術か何かあるのか...?」

 「明らかにさっきより、魔力が強大になっているじゃないか...」

 フラムはその禍々しさに身震いした。

 

 ベルデはその禍々しさを放ちながら、言葉を発した。

 「奇跡を起こすためには人間の体を捨てる必要があったンデスヨ...」

 

 「見てますか?これが転生デス!」

 「成功したんデスヨ!」

 

 「私は魔導の極み、魔の探究者とも言われているあの"リッチ"へと転生が成功しました!」

 

 「リッチだと...あの魔導の象徴、闇の魔導士か...」

 フラムは唖然としていた。人間からリッチへの転生はお伽噺だけかと思っており、人間には到底無理だと考えていたからである。

 

 

 「これで、妻を...娘を生き返らせることができるかもしれない...」

 ベルデは唐突にそんなことを呟いた。

 

 「妻と娘を生き返らせる?お前はその為に今まで研究をしてきたのか?」

 フラムはベルデに聞いた。

 

 「知ってマスよね?我が国ランジネットは百年間隣国と戦争をしているということを」

 「妻と娘はねその戦争に巻き込まれて命を落としたんデスヨ...」

 

 「妻と娘を殺した奴も許せなかったけどね、何より自分の無力さが許せなかったんデスヨ...」

 「だから、私は魔導を極めた...妻と娘の魂を霊界から呼び戻し、死者を蘇らせるため死霊術も極めた...魔力を強化するため古今東西伝説の宝具の事も調べた...」

 「元々魔導の才能はあったのですが、ここに来るまでに30年かかりました...そして私はついにこの"死神の指輪"を手に入れた!」

 「こいつはね自身の魂と引き換えにリッチになることが出来るんデスヨ!」

 

 「こいつを手に入れるために神殿騎士に近づいた...そして手に入れた!」

 「だけど使用する覚悟が今一つ持てなかった...けれど今日貴方たちと戦い決心が着きましたヨ!」

 「その点に関しては感謝の言葉すらあげたいデスヨ!」

 

 誰かを救うことが出来ず、無力感でいっぱいになる気持ちは3人とも理解はできた。何よりもこのベルデと言う男は戦争により理不尽に奪われてしまった妻と娘の命を蘇らせるために今まで行動をしてきたんだなと思うとフラムたちにはそれも答えの一つなんじゃないかと思えてきた。違法とされている奴隷の斡旋に協力していたという点を除けば。

 

 

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