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【完結】エレベーターに乗ったら異世界に来てしまった件 ~大切な幼馴染を追いかけて異世界に来た天才少年は聖女しか使えないハズの治癒魔法の才能を開花させる~  作者: ゆに
最終章 エレベーターに乗って異世界に来たオレ達は現実世界に帰る

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第758話 【デルタ∴サイン】正弦


 サインは、直角三角形における角度の関数として定義される。

 

 三角形ABCにおいて角Cが直角だった時、角Bをθとして辺AC(対辺)、AB(斜辺)に対して以下のように定義される。

 

 sin(θ)=AC/AB

 

 サインは縦の長さ(比率)を示し、正弦とも呼ばれている。

 

 正弦の語源は、「弦」を意味するjivaと呼んでいたが、アラビアに伝わるときに「入り江」を意味するjaibに誤訳され、それが再びヨーロッパで湾曲を表すsinusに訳された。

 

 さらにそこから英語の「sine」が生まれ、日本に伝わるときに正弦と訳されたと言われている。

 

 

~アダムス エデンの園~

 

 黒穴にエネルギーを吸わせて消さないとオレも危ないか―――

 

 どうする?もう一度、混沌魔法を使うか?

 

 不老不死のシンでさえ、未央の黒穴には警戒をしていた。

 

 あの魔法は何もない暗黒空間へ飛ばされ、術者が解除する以外で抜け出すことが難しい。

 

 その空間で死ぬことはないだろうが、封印されるのと同義であるため、オレの自由は奪われる。

 

 そういう意味でオレはあの魔法には一定の警戒を敷いている。

 

 「混沌魔法:黒淵の慟哭!!」

 

 シンは黒く、そして鋭い稲妻を纏った波動を黒穴目掛けて放つ。

 

 黒穴はその波動を飲み込むと満足したかのようにシュルシュルと音を立てて、虚空に消えた。

 

 「混沌魔法を2つも使用させられるとは・・・。」

 「完全にお前のことを舐めていた―――」

 「真島 未央―――」

 

 シンの眼が本気になる。

 

  "どうする?もう一度黒穴で攻めるか?"

 

 「ううん―――」

 「多分、これじゃあ埒が明かないと思う。」

 「ほらあれ―――」

 「アリちゃんも気付いてるでしょ?」

 

 未央の指さす方には天空の果てへと続く光のエレベーター。

 

 

  "あの光の柱か―――"

 

 アレはこの地に王権が集まったことによる現象―――

 

 あの光の先に女神アークがいるだろう。

 

 シンの目的はあの光のエレベーターに乗り、女神アークのいる場所へ行くこと。

 

 そして、女神アークを倒し、自分がその存在になり変わる。

 

 自分が全知全能の神になろうとしている。

 

 アリスはそう考えていた。

 

 未央はそれを阻止したいと思っている―――、であれば協力は惜しまない。

 

  "未央―――、代ろうか?"

 

 「ううん―――」

 「まだその時じゃない―――」

 「アリちゃんが私の身体に入れる時間はそんなに長くない。」

 「ここぞって時にお願いするよ。」

 

  "分かった―――"

  "必要になったら遠慮なく呼んでくれて構わんぞ"

 

 

 このままではシンに勝てない。

 

 ではどうするか?

 

 「ユニークスキル:進化の極意!!」

 

 未央の身体を高密度の魔力が覆いつくす。

 

 未央の背中からは、黒い翼が生え、その身は魔力の塊と云っても差し支えない存在へと至る。

 

 髪もドンドン長く伸びていき、その髪色も真っ黒へと変わる。

 

 口からは小さな牙のようなモノが視え、顔は死人のように色白になる。

 

 未央は吸血鬼の頂点である真祖へと変貌を遂げた。

 

 「真祖か―――」

 「オレがかつて、忌み嫌ったその力をオレに向けてくる気か―――」

 

 シンは過去の自分を思い出す。

 

 あの手も足も出なかったイヤな記憶だ。

 

 「行くよ♪」

 

 未央が地面を強く蹴って飛び出す。

 

 武器も持たずに。

 

 それだけ自分の今の力量に自信があるということだろう。

 

 「相手はあのシンよ・・・★」

 

 エレナも未央の行動に動揺する。

 

 未央はシンの刀の間合いに入った。

 

 「接近戦とは馬鹿なヤツだ―――」

 「先ほどのオレと進の闘いを見ていなかったのか?」

 

 シンは村正を水平に構える。

 

 「天童流剣術:雨月!!」

 

 雨月は人体の急所を的確に狙い撃つ超高速の突き。

 

 さぁ、これをどう躱す?

 

 未央は考えていた―――

 

 ステータスが高いだけで勝てる程、この世界は甘くない。

 

 自分は進のように長い年月を掛けて武術を学んできたことは無い。

 

 そんな自分がどうやって、シンの技を受けることができるだろうか―――

 

 「未央様・・・★」

 

 「何故、貴様がこの技を避けれる!?」

 

 未央はシンの雨月を華麗に躱していた。

 

 達人クラスでもこの技を避けることは困難。

 

 それをこんな武術の経験もないような小娘に避けられるハズがない。

 

 「進ちゃんと貴方の闘いを見ていたから―――」

 

 未央はそう答える。

 

 「・・・そうか!?」

 「アリスの魔眼の力か!!」

 

 アリスの魔眼は過去を視るという能力がある。

 

 それで過去の進とシンの闘いを映像として見て、その動きをトレースした。

 

 ただ、見たからと言って再現することは難しい。

 

 そこは真祖の身体能力のお陰ともいえる。

 

 つまり今の未央は武術の能力も得たと云っても過言ではない。

 

 「吸血!!」

 

 未央はシンに噛み付いた。

 

 「なっ―――」

 「コイツ!?」

 

 チューチューとシンの中に流れる血液を吸い取る。

 

 

 ゴクゴク・・・ごっくん―――

 

 

 「シンの血を吸った・・・★」

 

 「やってくれるぜ―――」

 

 「女の子に血を吸われて、喜んで欲しいくらいなんだけど―――」

 

 未央はそう返す。

 

 この血を飲むことによって、得られるのは血液だけではない。

 

 真祖である未央は、この血液から相手の能力や感情、思考までも読み取ることが可能。

 

 「なるほど、なるほど♪」

 「シン、貴方このままだと私に敗けるよ!!」

 

 「なんだとォ~~~!?」

 

 挑発めいた言葉にシンはイラつきを覚える。

 

 この未央の言葉が冗談なのか、虚勢なのか―――

 

 それはこの闘いを終えた先に分かるだろう。

 

 

 

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