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第737話 【デルタ∴カラミティ】オリエンシャルペイでは③


~極東の島国 オリエンシャルペイ~

 

 ベリヤはかつての師『バティン』と交戦することになる。

 

 バティンは周囲半径30メートルの空間を操ることのできる上級魔族。

 

 「ベリヤン!?」

 

 ヴィクトルは心配でベリヤの名を呼ぶ。

 

 「拙者のことは心配無用でござる―――」

 

 「それより、ヴィクトル殿は小春姫の所へ行って欲しいでござる。」

 「今の一撃で、他の魔族達の侵入を許してしまったでござる。」

 

 バティンの先ほどの魔法一発で一気に戦況を変えられてしまった。

 

 対複数の戦闘において、この男は無類の強さを誇る。

 

 「ここは拙者が食い止めるでござるッ!!」

 

 ベリヤは声を荒げる。

 

 そして、覚悟を決める。

 

 その眼に闘志を浮かべて―――

 

 その顔を見て、ヴィクトルも振り返ることなく、天守閣へ昇り始めた。

 

 「お前がこの私に勝てると本気で思っているのか?」

 

 「思っているでござる―――」

 

 バティンの問いかけに清々しい程、勢いよく答える。

 

 それがバティンをイラつかせる。

 

 「空魔法:空間掴み!!」

 

 ベリヤの周囲の空間が歪む。

 

 「空魔法:空間転移!!」

 

 ベリヤはバティンの背後へテレポートする。

 

 その手には刀を握り締めて、振り下ろす為。

 

 両手で力強く、振り下ろした。

 

 「空魔法:空間圧縮!!」

 

 バティンは振り返ることなく、魔法を発動。

 

 ベリヤの前に空間の渦を創り出し、ベリヤを飲み込もうとする。

 

 「空魔法:次元刀!!」

 

 ベリヤはその渦を切り裂く。

 

 そうしなければ、やられるのは自分だから。

 

 「空魔法:空間転移!!」

 

 バティンはベリヤから距離を取る。

 

 「ふむ・・・あの次元を斬る刀が厄介だな。」

 

 バティンは冷静に状況を判断する。

 

 そして、闘争の流れを頭の中でシミュレーションする。

 

 ベリヤも自分も空間転移で短い距離なら一瞬で詰めることが出来る。

 

 自分は遠距離の魔法攻撃を得意とするのに対して、ベリヤは近距離の斬撃を得意とする。

 

 「距離を詰められるとやや不利か。」

 

 「空魔法:固定空間」

 

 バティンは空中に視えない立方体の足場を創る。

 

 「空魔法:空間転移!!」

 

 再び、ベリヤがバティンの眼の前までワープする。

 

 相手に考えさせる暇を与えない。

 

 「暗黒武技:静寂の刃―空蝉!!」

 

 ベリヤは己の最強剣技を繰り出す。

 

 「チッ・・・!!」

 「空魔法:空間絶壁!!」

 

 空間を圧縮して、自分を守る盾にする。

 

 「無駄でござる!!」

 「空蝉なら次元の壁を切り裂けるでござる!!」

 

 「ッ―――!?」

 

 ベリヤの刀がバティンの胸部を切り裂く。

 

 バティンは驚いた表情を見せる。

 

 「どうやら・・・腕を上げたみたいだな・・・。」

 

 バティンが知っているベリヤは数十年も昔の記憶。

 

 そこからベリヤは数々の戦場でその腕を磨いてきた。

 

 もうバティンの知っているベリヤじゃない。

 

 「ならばこちらも本気でやるしかないみたいだ。」

 

 「・・・・本気でござるか?」

 

 ベリヤは生唾を飲む。

 

 バティンの本気は自分も見たことがないからだ。

 

 

 一方、天守閣内は―――

 

 いくらかの魔族が入り込み、こちらもサムライ達と激戦を繰り広げていた。

 

 内部は陰陽師たちの張り巡らせた結界で、衝撃を大分緩和している。

 

 ここで大暴れしても大抵の威力では崩れはしないだろう。

 

 ヴィクトルもここに昇って来る途中、何体か魔族と交戦した。

 

 大した奴らではなかったので、瞬殺だった。

 

 しかし、これより先に濃い魔力を感じる。

 

 下の階の魔族とは比較にならない位の。

 

 ヴィクトルは小春姫のいる階まで昇ってきた。

 

 持ち前のスライムになれば、ここに来るのにそんなに苦労はしない。

 

 「アレは・・・城五郎?」

 「それと・・・。」

 

 縁 城五郎はこの国でも屈指のサムライ。

 

 その男と交戦している魔族は・・・。

 

 「アガレスじゃん!?」

 

 アガレスという魔族は最強の四角にギリギリ入れなかった男である。

 

 最強の四角はヌル、ディアブロ、ベロニカ、キルの4名からなる六魔将候補のことである。

 

 しかし、それ以外の魔族の中ではかなり秀でた実力の持ち主。

 

 油断はできない。

 

 「アイツもここに来てたんだ~~」

 

 などと見入っている場合ではない。

 

 ヴィクトルは城五郎のヘルプに入る。

 

 「お前はヴィクトルか!?」

 

 「そだよ♪」

 

 アガレスがヴィクトルに気付いた。

 

 アガレスもシンに操られているのか、バティンと同じく目が赤い。

 

 「アンタもシン様絶対とか云うつもりなん?」

 

 ヴィクトルが尋ねる。

 

 「??」

 「それが辺り前だろ?」

 「何を当然のことを―――」

 

 やっぱり、コイツも操られている。

 

 そうか、目が赤いとシンに操られているのか。

 

 ヴィクトルはそのことに気付く。

 

 コイツの能力知らないんだよな~~。

 

 どうしよ―――

 

 ヴィクトルは頭を悩ませ、城五郎の方をチラリと見た。

 

 所々、傷はあるが、まだまだ戦えそうだ。

 

 「しょうがない―――」

 「僕も覚悟を決めるよ―――」

 

 こうして、二人でアガレスを討伐することを決める。

 

 

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