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第736話 【デルタ∴カラミティ】オリエンシャルペイでは②


~極東の島国 オリエンシャルペイ~

 

 小春姫に連れられ、天守閣に招かれた。

 

 そこでは多数のサムライが既に集まっており、作戦会議が開かれていた。

 

 そこでベリヤとヴィクトルが聞いた話だと、敵戦力は、下級モンスターが数千に加え、下級魔族、中級魔族が数百。

 

 中には上級魔族も数体確認されたらしい。

 

 対するオリエンシャルペイ側の戦力は新人、ベテランのサムライが延べ数千人。

 

 数ではそこまで劣っている訳ではない。

 

 しかし、敵は空からやって来る。

 

 それに魔法を主体とする者が多数。

 

 剣を武器として闘う彼らにとっては相性が悪い。

 

 「数ではそこまで違いがありません―――」

 「しかし、彼らは我々が苦手とする魔法を多用してきます。」

 

 作戦を指揮する指揮官のような者がいる。

 

 彼の名前は『山本 法助』

 

 この国を支える有能な軍師。

 

 「軍師殿―――」

 「我々はどうしたら・・・!?」

 

 「方法はあります。」

 「陰陽師の力を借りるのです―――」

 

 法助はそのように口にする。

 

 「陰陽師・・・!?」

 

 ヴィクトルは聞き慣れない言葉に首を傾げる。

 

 「大陸でいう所の魔法使いのような方です。」

 「ただ、術式の系統が大陸由来のものとは異なります。」

 

 小春姫が優しく教えてくれた。

 

 「おぉ、それはいいアイディアだ。」

 

 サムライ達はその考えに賛同する。

 

 魔法が発展していないこの国でも独自の術があり、それらを習得しているのが陰陽術師。

 

 彼らの協力を借りることにした。

 

 

 「それに此度の世界会議で他国から戦力も派遣されることになった。」

 

 「それが、この二人だ。」

 

 法助はベリヤとヴィクトルを皆に紹介した。

 

 「魔族・・・!?」

 

 他のサムライ達は動揺する。

 

 これから魔族と戦おうと云うのにその助っ人が魔族なのだから。

 

 動揺するサムライ達を前に小春姫は冷静に説明する。

 

 彼らが邪悪なる者でないと―――

 

 小春姫がそこまで言うならと、サムライ達はベリヤ達を受け入れた。

 

 それに彼らも感じている。

 

 ベリヤ達が並の魔族ではないことを。

 

 「助かったでござる―――」

 

 ベリヤは小春姫に礼を言う。

 

 「いえ、大したことではないです。」

 「それに私は本心を言っただけ―――」

 「貴方達が悪い魔族ではないと分かってますから。」

 

 優しく微笑む。

 

 この笑顔だ―――

 

 いつかの彼女を思い出させる。

 

 ベリヤはそう思った。

 

 

 この国に派遣された戦力はベリヤとヴィクトル達だけではない。

 

 暫くすると各国から魔術師や戦士、武闘家などが転移門を使ってやってきた。

 

 個の力で言ったら、人間より魔物達の方が強い。

 

 人数が同じでは逆に勝てない。

 

 だが、戦力が増えたことでやっと、魔族達と一戦交えることができる。

 

 国を守る陰陽師たちが協力して天守閣に結界を張る。

 

 これで空からの侵入・攻撃を防ぐ。

 

 闘いは基本的に籠城戦。

 

 天守閣にいる姫の王権を奪われれば、それは負けになる。

 

 だからそれを死守することがベリヤ達の目的。

 

 そこからさらに時間が経過すると、魔族達がやってきた。

 

 上空から天守閣に入れないことを悟ると、彼らは地上へ降り立つ。

 

 「やっと敵さんのお出ましって所か―――」

 

 警戒心の高い、力の強い魔族達はまだ空で様子を伺っている。

 

 地上へ降り立ったのは知能の低い魔獣や下級魔族だけ。

 

 「奴ら、指揮官がいる訳ではなさそうだな。」

 

 法助は上空から来る魔族を観察してそのことに気付いた。

 

 「これなら何とかなるかもしれない。」

 

 サムライ達は勇ましく戦った。

 

 地上戦において、彼らに匹敵するウォーリアは少ない。

 

 力の強い魔獣たちとも互角以上の闘いを繰り広げた。

 

 「皆の者、サムライの意地を見せろオォォーー!!」

 

 「姫様を護るぞ!!」

 

 士気も高い。

 

 「魔法も使えないサルが喚いてますね。」

 

 そんな戦況に痺れを切らした一人の魔族が地上へ降り立った。

 

 その名前は『バティン』。

 

 上級魔族の一人。

 

 「《空間掴み》!!」

 

 彼は空気を掴むようなモーションを繰り出すと、辺りのサムライ達を全員弾き飛ばしてしまう。

 

 「ねぇ、ベリヤン―――!!」

 「アレ、バティンじゃん!?」

 

 ヴィクトルが指を差す。

 

 それはかつて、魔王軍にいた時、ベリヤが空間を使う空魔法を教えてもらった先生のような存在だった男。

 

 ヴィクトルとも知り合い。

 

 彼も温厚な性格で、こんな計画など絶対に乗らないと思っていた。

 

 シンに操られている・・・?

 

 魔王軍が二分割された時に離れ離れになり、消息は分からなかったが、まさかここで再会するなんて。

 

 「拙者が行って来るでござる―――」

 

 ベリヤはそう云うと、バティンの前に立ちはだかる。

 

 「バティン殿―――」

 「拙者のことを覚えているでござるか!?」

 

 「ベリヤか・・・。」

 

 バティンは反応を示す。

 

 ベリヤのことはハッキリ覚えているようだ。

 

 「何故、お主がここにいるでござる!!」

 「シンはこの世界を滅亡させようとしているのだぞ!!」

 

 そうだ、世界が崩壊してしまえば、自分達だって助からない。

 

 こんなことに協力するなんて馬鹿げている。

 

 「シン様の命令は絶対だ―――」

 「お前といえども邪魔をするなら、容赦はしない!!」

 

 

 ダメでござる・・・拙者の声はバティン殿に届いていない!!

 

 

 狂った目で、バティンはベリヤに攻撃を仕掛ける。

 

 

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