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第711話 【デルタ∴タンジェント】リアルファイト


~アダムス 立体武器庫~

 

 

 新とタイアンの二人の勝負が勃発。

 

 初手を制したのはタイアン―――

 

 新の頬にその拳がヒットする。

 

 「おい、テメェ、そんなもんかよ―――」

 

 新が恐い目つきでそう云った。

 

 その威力からタイアンが全然本気を出していないことを知る。

 

 「これはほんの挨拶代わりだ。」

 「前菜のようなもの。」

 

 「へェ、そうかい!!」

 

 新が思いっきり、頭を突き出し、タイアンにヘッドバット。

 

 タイアンの身体が後方へと吹き飛ばされる。

 

 ボキボキ―――

 

 新が拳を鳴らす。

 

 「どうしたよ、坊ちゃん随分軽いみたいだが―――?」

 

 二人の体格はそれほど変わらない。

 

 強いて言えば新の方が少し大きく、筋肉質な位だ。

 

 「まさかヘッドバットとは―――」

 「新、やっぱり君は面白い。」

 

 そう云って、タイアンは壁に飾ってあった刀身が曲がった剣を手に取る。

 

 「テメェ、そんなもんまで―――」

 

 「これは中国を代表する刀でね―――」

 「呉鉤ごこうって言うんだ。」

 「日本人の君は実物を初めて見るだろう。」

 

 

 タイアンは両手にその曲刀を持ち、使い慣れたように回している。

 

 「何でもありの勝負―――」

 「やってみたかったんだ―――」

 

 そう云って、タイアンは新を斬りつける。

 

 それも物凄い速度で―――

 

 「うおっと―――!?」

 「あっぶねェー!!」

 

 

 新はそれを紙一重で躱す。

 

 タイアンは連撃を繰り返す。

 

 その最中、新を足払いし、新のバランスを崩す。

 

 「いッ―――!?」

 

 新は倒れそうになるが、自分の身体を手で支え、そのまま跳ね上がる。

 

 その無防備な状態をタイアンは見逃さない。

 

 新の身体を真っ二つにするつもりで曲刀を振り下ろす。

 

 「クソっ!!」

 

 新はその一刀を両手で受け止める。

 

 白刃取りってヤツだ。

 

 「うおりゃあっーー!!」

 

 刀身を持ち、そのまま強引にタイアンの身体ごと投げ飛ばす。

 

 そして、新も飾ってあった武器に手を取る。

 

 手に取ったのは槍だ。

 

 立派な青龍刀―――

 

 勿論、新は使ったことなんかない。

 

 たまたま近くにあったから手に取っただけだ。

 

 「そうだ―――」

 「それでいい!!」

 「本能のまま闘ってこそ、真の闘争!!」

 「リアルファイトだッ!!」

 

 

 タイアンは純度の高い闘争を求めていた。

 

 新とならそれが出来ると直感しており、その直感は正しかったと理解する。

 

 この部屋はたくさんの武器で溢れている。

 

 そのどれも使用していい。

 

 ルールを説明したつもりはなかったが、説明せずとも新は分かってくれた。

 

 相手を倒すのに方法なんてなんだっていい―――

 

 ちゃんと倒せるならどんな武器も手段も取ればいい。

 

 それをこの男はきちんと理解している!!

 

 カンっ!!

 

 両者の刃先がぶつかり、金属音が響く。

 

 手に衝撃が走る。

 

 ここから鍔迫り合いが始まるかと思いきや、二人が武器から手を離す。

 

 そのタイミングほぼ同時―――

 

 二人とも武器に執着はない。

 

 タイアンは懐から自動拳銃を取り出し、新の頭に銃口を向ける。

 

 「そうはさせっかよ!!」

 

 新は小物の刃物、手裏剣のような投擲武器をタイアンの腕目掛けて投げる。

 

 

 一瞬、新の方が早かった。

 

 「ッ―――!?」

 

 いつの間にそんなものまで―――

 

 タイアンは少し驚く。

 

 「よっしゃ、一ヒットだぜ!!」

 

 思わず、タイアンは自動拳銃を落してしまう。

 

 その落ちた自動拳銃はクルクルと転がり、新の足元へやってきた。

 

 「チッ!!」

 

 新は速攻で、その拳銃を手に取り、構える。

 

 バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!

 

 新は初めて、拳銃を使った。

 

 今までの敵、鍜治原やジャックが拳銃を使っていたから何となく使い方は分かった。

 

 しかし、何発も撃ったが肩に一発当たったくらいだ。

 

 命中精度はとても低い。

 

 カチ、カチ!!

 

 どうやら弾切れだ。

 

 タイアンの腕と肩から出血―――

 

 しかし、それもすぐに塞がる。

 

 「やっぱり、テメェーもなんたら細胞っての入れてんのか?」

 

 新は問いかける。

 

 「S細胞か―――」

 「そうだ、私にも多少S細胞が入っている。」

 「だが、S細胞だけではない。」

 「強くなるためにそれ以上の改造を肉体に施している。」

 「ただひたすらに強くなるため―――」

 

 タイアンはそう返答する。

 

 

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