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第706話 【第六ゲート】不正天使 朝霧 鏡花 VS 無限零神 アレフ・ノート③

 

 古代の錬金術師たちはエリクシールという不老不死の薬を創ることに目指していた云われている。

 

 現代の者からしたら荒唐無稽、絶対に不可能だと感じるかもしれない。

 

 しかし、人は誰しも不老不死でいたいと願う。

 

 それこそが『無限』への追及―――

 

 誰もが願うことは『無限』に通じているということだ。

 

 そして、そんな荒唐無稽な願望を叶えた一人の魔女がいた。

 

 彼女はその『不老不死』を嘲笑い、偽りの生だと謳った。

 

 『不老不死』を望む愚かな人類を彼女はバカにし続けたのだ。

 

 その持論が事実であるか彼女は一人の若者を使って実験した。

 

 その若者を不老不死にして、観察することにした。

 

 若者は数千、数万の時を生き、生に絶望した。

 

 そして、強く死を望んだ。

 

 自殺したって死ぬことはできない、永遠を生きることがこんなに苦しい事だったんだと理解した。

 

 その様子を見た魔女は自分の考えが正しかったと歓喜した。

 

 

 アレフ・ノートの無限の力もそう云った、願望に通じている。

 

 彼の無限は『0で割る』ことによって生み出すことが出来る。

 

 正確には極めて0に近い数値で割ることで無限のエネルギーを生み出すことが出来る。

 

 小数点以下の数字で割るということはとても不思議だ。

 

 考えたことはあるかい?

 

 1÷0.1は10になる。

 

 1÷0.01は100になる。

 

 本来、割り算とは元の割った数より小さくなるハズなのに、1以下で割った時は元の数より大きくなる。

 

 つまり、0に極めて近い数字で割ることでどんな物も無限にすることが出来る。

 

 それがプラスの無限―――

 

 さらに不思議なことにこの割るという行為、マイナスを割った時、逆のことが起こる。

 

 (-1)÷0.1は-10、(-1)÷0.01は-100といった具合に小数点以下で割った時、元の値はどんどん小さくなる。

 

 コレがマイナスの無限―――

 

 アレフ・ノートの身体はこのプラスとマイナスの無限がそれぞれ働き続けている。

 

 極めて0に近い数字で割ること―――

 

 それが彼の生み出す無限の力の正体なのだ。

 

 

~異次元空間エンドレス~

 

 

 鏡花はアレフ・ノートが持つ無限の正体に気付きつつある。

 

 物理法則を無視しているのはお互い様―――

 

 それを卑怯だとは一切思わない。

 

 だからこその"ラフプレー"。

 

 結果こそが全ての世界。

 

 「前の戦闘の時は使わなかったのだけれども―――」

 「今回はそうも云ってられないわね―――」

 

 鏡花は異空間より、自分専用の武器を取り出す。

 

 「そんな物で俺を倒す気か・・・?」

 

 鏡花が取り出した武器は『鞭』。

 

 「『愚者の鞭』―――」

 「アナタを倒す為の武器よ♥」

 

 私は天童君達とは別の意味でチート性能だと自覚している。

 

 彼らがゲームバランスを崩壊するレベルであるなら、私はゲームその物ぶっ壊すレベル。

 

 でもそれをフルで解放することは固く禁じられている。

 

 それをすれば私はこの世界にいられなくなる―――

 

 だから、フル解放はできない。

 

 だからこうして、武器に頼って敵を制圧するという場合も考慮していくつか武器を持ち合わせている。

 

 この『愚者の鞭』もその一つ。

 

 

 鏡花が動き始めた―――

 

 腕を振り上げて、アレフ・ノートを叩く。

 

 スパンッ―――!!

 

 風を切った鞭が当たる音が聴こえる。

 

 鏡花の攻撃を一切避けない。

 

 肉体的なダメージはアレフ・ノートに意味がない。

 

 だからアレフ・ノートは避けなかった。

 

 痛い・・・?

 

 アレフ・ノートは不思議と痛みを感じていなかった。

 

 「そんなことをして何になる?」

 

 「アナタに肉体的な攻撃は効かない。」

 「でも状態異常は別―――」

 「この『愚者の鞭』はそう云った頑丈な相手にこそ真価を発揮するのよ。」

 

 

 どういう意味だ・・・?

 

 アレフ・ノートは考えたが、すぐに事象として明らかになった。

 

 反撃してやろう―――

 

 アレフ・ノートがそう思った次の瞬間。

 

 「俺は何をしようとしていた?」

 

 脳裏に浮かんだ魔法の詠唱を忘れる。

 

 「気付いたようね―――」

 「この鞭は相手に肉体的なダメージを与えるものではない。」

 「相手の記憶にダメージを与えるもの。」

 「一度打たれれば、3分の間一定量の記憶が飛んでしまうの。」

 

 本来はコレともう一本の鞭を使用することで敵を制圧することが出来る。

 

 しかし、この男に肉体的なダメージは意味がない。

 

 だから、今回はこの『愚者の鞭』だけで臨む。

 

 「忘却・・・だと・・・?」

 「記憶を取り戻そうとしている俺にその仕打ちは許せないッ!!」

 

 アレフ・ノートが初めて鏡花に敵意を向きだした。

 

 使用したいと思っていた魔法が使えないのなら別の魔法をすればいいだけ―――

 

 「原色魔法:無限弾丸(エンドレスバレット)!!」

 

 アレフ・ノートが右手でピストルを構えたようなジェスチャーをする。

 

 何故か、これはしっくりくる。

 

 自然と出た構えだ。

 

 「発射(ファイヤー)ッ!!」

 

 アレフ・ノートがそう云うと同時に彼の背後から無数の銃口が現れ、鏡花へ一斉射撃が始まる。

 

 無限の弾幕が鏡花に放たれる。

 

 「リオン姫、技借りるわよ。」

 「銀魔法:銀鏡の障壁ミラーウォール!!」

 

 鏡花は眼の前に銀の盾を出現させ、全ての銃弾を防ぐ。

 

 一発一発の威力が通常の銃弾の比じゃない。

 

 上位ドラゴンですらものの数秒でハチの巣になりそうだ。

 

 それが無限に続くなんて―――

 

 えぐいわね。

 

 どうにかして近づいて、この鞭を当てないと・・・。

 

 

 

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