第704話 【第六ゲート】不正天使 朝霧 鏡花 VS 無限零神 アレフ・ノート①
~異次元空間エンドレス~
やけに空気がヒリついてるわね―――
朝霧 鏡花はどことも分からない空間を歩いて進む。
やっぱり、私がここを選んで正解だった。
一つだけ、明らかにおかしい門が存在していた。
みんな気付いていたかしら?
天童君は気付いていたみたいだけど―――
他はまだしもここだけは別格だった。
辺りを見るに上下左右が無いみたいな空間。
足場も不安定、瓦礫が方々に散っている。
闘えなくはないといったところかしら。
「アナタがここの主かしら?」
この男?は確かガラドミアで見たことがある。
一瞬で瓦礫の山を吹き飛ばし、ガラドミアを更地にした者。
問い掛けてなんだけど、この異質な空気を創り出しているのは間違いなくこの男。
「・・・・・、最近、何故かある男のことを思い浮べてしまう。」
「その者が誰かというのは思い出せないのだが―――」
「俺に向かってこう云ったんだ。」
「『君はボクを殺せるかい?』って―――」
「これはどういう意味だと思う?」
何の話をしている?
鏡花は突然の返答を訝しく思う。
男はとても不気味な状態だ。
ドロドロと皮膚が溶けている。
上手く人化できていないスライムみたいな状態。
一見するととても戦えるような状態には見えない。
でも、その奥底に垣間見える生命力は計り知れない。
鏡花は『天眼』でその男の情報を鑑定する。
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名前:アレフ・ノート
種族:霊神
性別:男
Lv.??
クラス:超越者
◆状態◆
発散
◆パラメータ◆
体力:???
筋力:???
魔力:???
物理抵抗力:???
魔力抵抗力:???
精神力:???
器用さ:???
素早さ:???
◆装備◆
武器:???
防具:???
◆アクティブスキル◆
???
◆パッシブスキル◆
???
◆ユニークスキル◆
???
◆エクストラスキル◆
???
◆称号◆
《無限の亡霊》
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最上位の眼を使用してもほとんどのステータス情報が不明となっている。
有益な情報は彼の種族、クラス、状態くらい。
ほとんど不明。
名前はアレフ・ノート。
あと気になるのは彼は崩壊と再生を繰り返している?
鏡花が分析した結果はそれだった―――
原理は分からないが、この男は肉体の崩壊と再生が同時に行われている。
「危険な存在ね―――」
「アナタの相手が私で良かったわ―――」
絶対の女神アークの天使である鏡花。
その戦闘力は圧倒的。
ネオ魔王軍といえども敵になる方が少ない。
しかし、このアレフ・ノートという男、その数少ない"敵"になる存在だと認識した。
「神法術:転輪絶光神柱!!」
高密度の魔力を帯びた光の柱がアレフ・ノートの頭上から落ちてくる。
上級魔族レベルならこれで跡形もなく消し飛ぶだろう。
だが、相手はアレフ・ノート―――
その光を受けても彼の身体は滅びない。
再生速度が上がっている?
鏡花はよく観察していた。
「アンタと戦えば、俺は自分が何者か思い出すかもしれない。」
攻撃を受けたアレフ・ノートも戦闘の意を示す。
「原色魔法:無限火炎!!」
アレフ・ノートは手を突き出し、火を放出する。
ただ、それだけだった―――
その業火は瞬く間に広がり、鏡花を襲う。
「・・・っ!?この炎はっ!?」
鏡花は大きく眼を見開く。
原色魔法などという魔法は鏡花でも知らない。
オリジナルの魔法?
「空魔法:空間断絶!!」
鏡花が手を横に振り払い、炎の全てを消し去る。
しかし、辺りに散った炎からさらに炎が生まれる。
消えない炎?
モレクが使用する黒炎は対象が燃え尽きるまで消えない。
だが、この無限火炎は別物。
宙を舞う、少量の火種から一気に炎が生まれる。
だから無限火炎というわけね。
「裏魔法:コネクトチャンネル!!」
鏡花専用の魔法である裏魔法を発動させる。
こことは別のコピー空間を開き、物理的な事象をそちらに転送させる裏技。
無限に放出する炎をそのダミー空間へと転移させた。
「やはり、この程度は対応してくるのだな―――」
アレフ・ノートはそう云った。
アレフ・ノートにとって今のは挨拶代わり。
『無限を司る力』―――
鏡花がアレフ・ノートに感じた力はそれだった。
少量の炎を無限の炎へ変えた。
極めて危険な男―――
鏡花 VS アレフ・ノート。
Fight It Out!!




