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第676話 セフィロト


~始まりの島 アダムス~

 

 円陣で誓いを立てた進達は島の奥へと歩みを進めていく。

 

 島全体はそれなりの大きさを持っている。

 

 面積は沖縄程度と推定される。

 

 「目指すはあの光の柱の出どころですか―――」

 

 徳川がそう呟く。

 

 既に半刻ほど歩いているが、まだ遠そうだ。

 

 「なぁ?あんな所飛んで行ったらいいんじゃね?」

 

 新が投げやりに口にする。

 

 《飛翔》のスキルを使えば、確かに早く着くだろう。

 

 しかし、今このメンバーで飛翔が使えない者も多い。

 

 花は勿論のこと、ベロニカ、セルフィ、リオン、マリー、メルクロフは飛んでいくことが出来ない。

 

 戦力の分断をここでするのは悪手。

 

 クロの背中に乗せることもできなくはないが、もし戦闘になった時、やり辛さが出てくるだろう。

 

 「我慢してくれ―――」

 

 進はそう云って、歩みを続ける。

 

 「ちぇ、しょうがねぇーか・・・!」

 

 そうして、もうしばらく歩き続けた所で、開けた場所に出てきた。

 

 「コレはなんすか!?」

 

 六谷が驚いた顔になる。

 

 大きな石碑がある。

 

 そして、その石碑を囲うように等間隔に巨大な門が6つ立っている。

 

 さらに奥に大きな扉が立っている。

 

 その先が光のエレベーターの出どころに向かっている。

 

 「どこかに繋がっている転移ゲートみたいっすね―――」

 

 六谷がそう云った。

 

 6つの門はそれぞれ開けた先に何もない。

 

 どこでもドアみたいな感じになっている。

 

 つまり、どこかの空間に繋がったゲートである。

 

 進達は石碑の前に立つ。

 

 石碑にはこう記されていた。

 

 「ようこそ―――、アダムスへ。」

 「オレはお前たちを歓迎する。」

 「この先に進みたければ、その六つのゲートに一人ずつ入るんだ。」

 「そこにはネオ魔王軍の幹部『セフィロト』が待っている。」

 「シンより。」

 

 進はその記された文字を読み上げた。

 

 これはシンからの挑戦状だ。

 

 セフィロト―――、あのガラドミアを襲撃した連中か。

 

 「―――で、誰がこのゲート通るんだ?」

 

 新がそう聞いてきた。

 

 そうだ―――

 

 オレ達は決めなければならない。

 

 それぞれのゲートの先にはネオ魔王軍の幹部『セフィロト』がいる。

 

 「進様はシンとの決戦がある―――」

 「六谷、行ってくれるか?」

 

 徳川がそう云った。

 

 「了解です―――」

 「徳川さんの命令であるなら、俺が行きましょう。」

 

 六谷がそう云った。

 

 「六谷さんが行くなら私も!!」

 

 「花ちゃん・・・!?」

 

 花も手を上げて立候補する。

 

 六谷が驚いた表情を見せる。

 

 「花ちゃんがそんな危険なことをしなくても―――」

 

 「どうせこの奥に進んだって危険なんでしょ?」

 「だったら私もみんなの役に立ちたいっ!!」

 

 花の眼は真剣だった。

 

 しかし、ネオ魔王軍の連中は本気だ。

 

 皆が恐ろしい力を持っている。

 

 一人でなんて危険すぎる・・・!!

 

 「我も行こう。」

 

 クロが花の横に現れる。

 

 しかし、あのゲートには一人しか通れない。

 

 「忘れたのか?」

 「我は花の召喚獣だぞ―――」

 

 そう云うとクロはあっという間に花の手の中に戻った。

 

 そうか!!あのゲートをくぐった後にクロを呼べば・・・。

 

 「クロ・・・花ちゃんを任せたぞ!!」

 

 「あぁ、任された。」

 

 こうして、六谷と花のゲート入りが確定した。

 

 残るゲートは4つ。

 

 「私とリオンに行かせてください!!」

 

 マリーがそう云った。

 

 「マリー・・・!!」

 

 「この先にいるのはネオ魔王軍の幹部なのだろう?」

 「だったらギリギリ私達でも勝てるかもしれない。」

 「正直、あのシンやナブラと言った者達相手では私達は足手まといにしかならないと思うんだ。」

 「だけど、ガラドミアを襲撃してきたネオ魔王軍の幹部クラスなら何とかなるかもしれない!!」

 「だからここは私達に行かせてほしい!!」

 

 リオンがそう云った。

 

 マリーもリオンも二人なりに力になりたいと思っているのだろう。

 

 「分かった―――」

 「ここは二人に任せる!!」

 

 残りは二つ。

 

 「アラタ―――、私も行かせてもらうぞ!!」

 

 メルクロフが腕を上げてそう云った。

 

 「このゲートのどこかにガラドミアを消し去ったヤツがいるかもしれない。」

 「だから私は行きたい。」

 

 メルクロフにとって、ガラドミアはある意味故郷。

 

 そこを壊されたのだから、やり返したいという思いはあるのだろう。

 

 「あぁ、分かった。」

 「死ぬんじゃねぇーぞ!!」

 

 新はそう云った。

 

 「メルクロフ―――、気を付けるのじゃぞ!!」

 「其方がそちらを目指すなら我はあの鬼を潰す!!」

 

 セルフィはそう云った。

 

 眼がやる気だ。

 

 そして最後の一つ。

 

 「私が行くわ―――」

 

 名乗りを上げたのは鏡花だった。

 

 「どうして鏡花が?」

 「お前はシンと闘いたいと思っていたぞ。」

 

 進はそう尋ねた。

 

 「フフン・・・私は貴方達みたいに戦闘好きじゃないの。」

 

 「オレだって闘わなくて済むならそれに越したことは・・・。」

 

 「メインディッシュは譲ってあげるって言ってるの。」

 「私は三下で我慢するわ。」

 

 トンっ!!

 

 鏡花は進の肩に手を当て、こう云った。

 

 「だから絶対に勝ちなさい!!」

 

 「ッ―――!!」

 

 進は大きく眼を見開く。

 

 「あぁ、任せろ!!」

 

 こうして、6つのゲートに向かうメンバーが決まった。

 

 第一ゲート:六谷 五人

 

 第二ゲート:鈴谷 花&クロ

 

 第三ゲート:マリー

 

 第四ゲート:リオン

 

 第五ゲート:メルクロフ

 

 第六ゲート:朝霧 鏡花

 

 六人はそれぞれゲートの方へと歩いていった。

 

 ゲートはゆっくりと開き、彼らを歓迎する。

 

 そして、ゲートに入った途端、ゲートは閉まった。

 

 ガコンっ!!

 

 シンのいると思われる奥の扉が開く。

 

 「これで先に進めるようになった訳か―――」

 

 

 ◆◆◆

 

 

 「ヤツ等来たみたいですね―――」

 

 シーオスが水鏡で進達の動向を監視している。

 

 シンと共にアダムスの奥で進達を待っていた。

 

 「ここで奴等の戦力を分断する。」

 「あそこにはセフィロト達を配置させた。」

 

 セフィロト―――

 

 Δ(デルタ)と∇(ナブラ)を重ね合わせた時、六芒星が出来る。

 

 その六芒星をネオ魔王軍幹部の六人に見立てた。

 

 聖書に出てくるセフィロトの樹のことを六芒星で表すこともある。

 

 そこから名付けられたのが『セフィロト』という訳だ。

 

 

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