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第664話 ガラドミア崩壊


~ガラドミア 地上~

 

 世界はおれにとって、壊れやすい玩具だった・・・。

 

 ハズなのに!!

 

 コイツ等は何だ―――!?

 

 何故、おれの方が見下ろされている?

 

 ナブラの血が沸騰する。

 

 その場の温度がグングン上がり、草木が干乾びる程の熱量。

 

 その様子からまだ闘争の余地ありと進は判断する。

 

 親の仇だから復讐をする?

 

 いや、進はそんなことをしない。

 

 そんなことを父親は望まないと知っているからだ。

 

 地に伏したナブラ―――

 

 動くか?

 

 動いた時のイメージは全てインプットされている。

 

 どこをどう動こうが、ナブラを捉えている。

 

 ナブラもそのことを感じているからこそ動けない。

 

 だからこそ、考えたどうすればいいか。

 

 そして、導き出した結論は・・・。

 

 

 グラグラグラグラ・・・・!!!!!

 

 

 っ!?

 

 

 地面が揺れているッ!?

 

 進達は感じ取った。

 

 ナブラの圧倒的な腕力が大地を掴んでいる。

 

 進は大きく眼を見開いた。

 

 ナブラは既に動いていた。

 

 思いっきり、大地の力を込め、力を街中に広めていたということだ。

 

 ナブラの腕力は簡単に大地を割る。

 

 「みんなっ!?」

 「ここは既に危ないッ!!」

 「離れるんだッ!!」

 

 進は大声で叫ぶ。

 

 「おせェーよ!!」

 

 ナブラがそう云うと同時にガラドミア全体に亀裂が走る。

 

 これほどの生物がいていいはずがない。

 

 進はナブラの両手を切断する為、雪月花を振り下ろす。

 

 神速の太刀筋―――

 

 ドオオォォーーン!!!

 

 まるで大地が泣いているようだ。

 

 「おっと!!」

 「おまえの方が先に動いてくれてたすかったぜェ!!」

 

 今度は反対にナブラが進の動きを読み切り、その剣を避けた。

 

 進の動きがイメージされたということはまた逆も然り。

 

 「進ちゃーーん!!」

 

 未央は空高く飛んで避難する。

 

 進の安否を心配する。

 

 ガラドミアは既に崩壊していた。

 

 民家は全て地に飲まれ、エルフ達は全て逃げていた。

 

 カンカンカンっ!!

 

 砂煙の中、両者は激しい攻防を繰り広げていた。

 

 進 VS ナブラ―――

 

 天才 VS 鬼神。

 

 ナブラも既に本気モード。

 

 手を抜く要素がない。

 

 全神経を集中させた両者の攻防は他の者の立ち入りを許さない。

 

 「ふんっ!!」

 

 ナブラが光速の拳打を放つ。

 

 ナブラの攻撃は当たれば、必殺。

 

 回復魔法での治癒は出来ない。

 

 長期戦は自殺行為。

 

 さらにスキルによる攻撃は全て効かない。

 

 この鬼神に通じる技は天童流剣術のみである。

 

 天童流剣術はシンが開発したスキルという枠から外れた技術―――

 

 スキルの効かない者に対する対策。

 

 だからナブラにも通用する。

 

 「天童流剣術:新月!!」

 

 「天童流剣術:十六夜!!」

 

 進は天童流剣術を連打する。

 

 ナブラを追い詰める。

 

 しかし、途中で違和感を感じていた。

 

 刃の通りが明らかに悪くなっている。

 

 最初はナブラの身体を深く斬りつけられていた剣術も段々通用しなくなっている。

 

 まさかっ!!

 

 「ははははははっーーー!!!」

 

 狂喜乱舞したナブラの剛拳を進は背面ジャンプで躱す。

 

 上下左右変幻自在に立ち回る進を未だにナブラは捉え切れていない。

 

 しかし、進もあることに気付く。

 

 ナブラに唯一通用する天童流剣術ですら同じ技は二度通用しない。

 

 「ヤツこそ、正真正銘の化物だな―――」

 

 攻撃の当たらない進、攻撃を当ててもダメージの無いナブラ―――

 

 一見すると膠着状態・・・

 

 しかし、どちらがやられるかは明白。

 

 「どうしたァ!!!」

 「小僧っ!!もっとおれを楽しませろッ!!」

 

 ヤツはついさっき敗北感を味わった。

 

 そして、それももう"慣れた"。

 

 それすらも楽しんでいる。

 

 どうするか、進は考えていた。

 

 そんな二人の膠着状態を変えた者がいた。

 

 空間に亀裂が入る。

 

 パリッ・・・パリパリっ・・・!!

 

 まるで窓ガラスみたいに空間が割れた。

 

 そして、そこから出てきた男?がいた。

 

 まるでドロドロに溶けている人型のスライムのような者だった。

 

 「アレフ・ノートさん!?」

 

 上空から祝呪が驚いた表情を見せた。

 

 そして、何かを察する。

 

 「アンタは誰だ?」

 

 進はそう云った。

 

 明らかに人を超えたそれに警戒心を抱く。

 

 「アレフ・ノート―――」

 

 「おい、いまいいところだ!!」

 「邪魔ァすんなよ!!」

 

 ナブラがそう云ったが、アレフ・ノートはシンの命令だと撤退を促す。

 

 ナブラが睨みつける。

 

 今にも襲い掛かりそうな感じだ。

 

 「仕方がないな―――」

 

 そう云ってアレフ・ノートはゆっくりと空へ上昇した。

 

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