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第661話 世界各地①


~極東の島国 オリエンシャルペイ~

 

 ここは、極東の島国オリエンシャルペイ。

 

 刀を携えた武士が往来する国。

 

 ジャハンナムの一員であるベリヤの故郷。

 

 それも今や数十年前の話だが―――

 

 「せいっ!せいっ!」

 

 「せいっ!せいっ!」

 

 汗が飛び散るほどの鍛錬を行う数十人の武士。

 

 木刀を振るう武士達の熱の籠った声が飛び交う。

 

 そんな武士達の目付け役の武士がいる。

 

 名前は『縁 城五郎』、長年武士として国に仕えた忠義に厚い男。

 

 「もっと声を張れェい!!」

 「そんなことでは修行にならんぞッ!!」

 

 館内には城五郎の声が響く。

 

 これもここでは日常的な光景だ。

 

 「城五郎殿、今日は一層指導に熱が入っておりますなぁ―――」

 

 国の老中が城五郎の傍にいた。

 

 いつのまにやってきたのだろう―――

 

 城五郎ほどの腕の男が老中の気配に気づかなかった。

 

 老中の名前は『紫藤 晴久』、この国を長年支え続けた男。

 

 かつては大将軍と称えられた英雄。

 

 それも齢80を超えてもその腕は落ちていないようだ。

 

 「晴久様!?」

 「何故、このような所に!?」

 

 城五郎は驚いた―――

 

 普段は城内で御茶を嗜んでいるような翁が、若い武士たちの稽古場にやってきたのだから。

 

 「なに、少し―――」

 「妙な胸騒ぎがしたでの・・・。」

 

 「妙な胸騒ぎ・・・?」

 

 老中 晴久は、昔から特殊な力を持っている。

 

 勘が鋭いというのか、常人が感じないようなことを感じることができる御方だ。

 

 このオリエンシャルペイはいつの時代からかずっと鎖国をしている。

 

 もしかしたら諸外国がやってきたとかだろうか。

 

 城五郎は再び、晴久の方へ顔を向けた。

 

 その瞬間、空がいきなり暗くなった。

 

 「何事だ!?」

 

 晴久のその老いて重そうな目蓋が大きく開いた。

 

 「な、なんということじゃ!?」

 「わしも魔法にはそこまで詳しくないが、このような魔法が存在しとったとは・・・!?」

 

 空を見渡す限り、無数の魔法陣が描かれる。

 

 次から次へと連鎖するように魔法陣は空間に穴を開ける。

 

 ゆっくり、空を飲み込むように穴が広がりを見せた。

 

 シンの発動した混沌世界(カオス・ワールド)が世界を飲み込む。

 

 

~エアルベア ロレーヌの村~

 

 ここはロレーヌ村。

 

 初めて進がこの世界にやってきた時に辿り着いた村。

 

 そして、マリーの故郷でもある。

 

 「村長―――」

 「コレが今日の収穫です。」

 

 ルイーズが仕留めた一角ウサギの耳を掴んで、村長に差し出す。

 

 背負っている荷袋には他にも数匹の仕留めた一角ウサギが入っている。

 

 進達がこの村を去った後は新たな脅威もなく、平和に暮らしていた。

 

 村もあれから活気を取り戻し、新たな生命(いのち)が生まれたりもした。

 

 「ねぇねぇ!マリーのお姉ちゃんは今度いつ帰って来るの!?」

 

 村の子供たちだ。

 

 こうやって最近は毎日ルイーズに聞いてくる。

 

 マリーがいた頃は一緒に遊んであげたりもしていたみたいだ。

 

 だから、マリーがいなくなって寂しいのだろう。

 

 「そうだな―――」

 「来年にはひょっこり帰ってきたりするのかもな!!」

 

 明るくルイーズは答えた。

 

 勿論、根拠のない返答だ。

 

 しかし、ここで明るくすることで安心させてあげられるならと―――

 

 喜んでこんなウソは付ける。

 

 ルイーズは聖王国での一件を知らない。

 

 進が知らせていないからだ。

 

 それでもルイーズはどこかでマリーが無事でいることを祈り続けるのだった。

 

 「ねぇ、お空が変!!」

 

 子ども達が上に顔を向ける。そして、指を差す。

 

 辺りが急に暗くなった。

 

 それに少し肌寒い。

 

 確かに何かがおかしい。

 

 ルイーズはその目を疑う。

 

 空一面に高度な魔法陣が描かれている。

 

 そして、それらは空を飲み込もうと渦巻く。

 

 「な・・・何だこれは一体!?」

 

 世界各地で異変が起こる。

 

 シンはゆっくりと世界中に不幸を振りまく。

 

 

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