第648話 ネオ魔王軍
~始まりの島 アダムス~
ここは始まりの島『アダムス』。
ここはヌバモンドで初めて生物が生まれたとされる島。
天候の変化や地理的な理由でここに住むことが難しくなり、人々は広くて住みやすい大陸に移住したと言い伝えられている。
そんな場所をシン達『ネオ魔王軍』は本拠地にしていた―――
「タイアン―――」
「なぜ真を逃がすようなマネをした?」
シンの協力者が一堂に会した広間でシンはタイアンに尋ねた。
シンは真を監禁し、徳川達との交渉材料にと考えていた。
その狙いを狂わされたのだ。
平静を保っているが、多少イラついていた。
「彼と一度手合わせしてみたいと思ったからです―――」
そう、タイアンは答える。
「答えになっていないんだが―――?」
「シン―――、貴方だって分かっているのでしょう?」
「あの男は私が接触しようがしまいが、いずれは逃げ出していただろうことを。」
「私との戦闘において、彼はスキル、魔法、手足が封じられた状態から自らの拘束を解除していました。」
「それはつまり、彼がその気になれば何時だって逃げ出すことが出来たことを意味します。」
「・・・・・確かに、真ならいずれそうしたかもしれないな。」
シンはタイアンの言葉で納得した。
そして、先ほどまでのイラつきが消え去った。
不幸を受けることに快感を覚えているシンにとって、寧ろ真に逃げられた方がより不幸になれると思った節もある。
「せっかくネオ魔王軍の幹部が揃ったのです。」
「私の知らない顔もいることですし、自己紹介などどうでしょうか?」
シーオスがそう云った。
この部屋にはシン、シーオス、タイアン―――、そしてナブラの他に6名がいる。
「確かにそうだな―――」
「お互いの顔合わせはコレが初めての者もいることだしな。」
シンも同意する。
「では、そちらの可愛らしいお嬢さんお二方からお願いします。」
シーオスが司会進行する。
向けられた手の先には黒と白のドレスを着た二人の少女―――
クォーク「私はクォーク、そしてこっちはレプトン、私達二人は双子の姉妹で~す(≧ω≦)」
レプトン「よろしくで~~す(≧ω≦)」
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名前:クォーク
種族:魔族
年齢:14歳
性別:女
身長:140cm
クラス:プリンセス
特徴:絵文字の使用
備考:レプトンの双子の姉、どこかの国の元王女
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名前:レプトン
種族:魔族
年齢:14歳
性別:女
身長:140cm
クラス:プリンセス
特徴:絵文字の使用
備考:クォークの双子の妹、どこかの国の元王女
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「とても可愛らしく元気があり、よいですねー。」
シーオスがクォークとレプトンを褒める。
二人も満更でもなく嬉しそうだ。
「次はそちらの着物の御方お願いします。」
「オイラの名前は『祝呪』っす。」
「"祝い"と"呪い"って書いて『祝呪』っす。」
「って、この世界でそう云っても伝わらないのか―――」
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名前:祝呪
種族:不明
年齢:不明
性別:男
身長:185cm
クラス:神官
特徴:万物に祝福または呪いを与える
備考:隠された素顔を見た者は誰もいない
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祝呪の顔は薄い布で隠されており、その素顔は分からない。
『祝呪』という名前も恐らく本名ではないだろう。
陽気なキャラとは裏腹にどこか掴みどころがない、不気味な男だ。
祝呪の自己紹介が終わり、次はどこかネガティブなオーラを出している男が指名される。
「ぼ、僕ですか!?」
「えっ、えっーと、一応、モブ山モブ太郎と申します。」
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名前:モブ山モブ太郎(仮)
種族:人間
年齢:25歳
性別:男
身長:170cm
クラス:ダークヒーロー
特徴:口癖が一応、多分、~思います等
備考:自分は他人の人生を歩んできたと思っている
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「はぁ?」
思わず、シーオスがそんな反応をしてしまう。
その男があまりにも普通で、この場には似つかわしくない為である。
「シン―――」
「この人は大丈夫なのですか?」
どう見てもただの人間、いやもしかしたらそれ以下かもしれない。
「フフ・・・あまり侮らない方がいいぞ。」
「このオレがスカウトしてきたのだ。」
「強さはオレが保証する。」
「はぁ・・・そうですか。」
「貴方がそう云うのでしたら、信じましょう。」
モブ山モブ太郎―――、この男も恐らく本名ではない。
本当の名前は公表しなかった。
そして、次の紹介が始まる。
「・・・・アレフ・ノートだ。」
「思い出せるのはそれ以外にない。」
「自分が一体何者なのか、俺はそれが知りたい。」
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名前:アレフ・ノート
種族:霊神
年齢:不明
性別:不明
身長:176cm
クラス:超越者
特徴:無限の力を有した神のような存在
備考:自分が元は何者だったのかも覚えていない
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「・・・・この人も大丈夫なのですか?」
モブ山モブ太郎に続き、アレフ・ノートという者も完全に常識を逸脱している。
容姿も人間のそれとは異なり、ドロドロと液化した人間という感じ。
人化しているスライムという表現が近いかもしれない。
まぁ、それにしては不完全な感じがしてるが。
「アレフ・ノートは霊神―――」
「時空の狭間で霊魂と化しているのを見つけて、ここに連れてきた。」
「自分が何者かも分かっていないが、恐らくこの6人の内一番の力を持っている。」
確かに力というファクターで見れば、その内に秘めている物は絶大。
それはシーオスも感じていた。
「そして、最後は彼ですか・・・。」
シーオスが少しメンドくさそうにする。
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名前:ヴィシニス
種族:竜人族
年齢:250歳
性別:男
身長:195cm
クラス:ドラグーン
特徴:赤いフルプレートに身を包んだ戦人、深紅の槍を使いこなす
備考:シーオスに故郷を滅ぼされた男。彼の命を狙う為、彼の近くにいる
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「シーオス、貴様の好きにはさせんぞ!!」
シーオスに対して強い敵対心を向ける男。
男の名前は『ヴィシニス』―――
かつて、故郷の世界をシーオスによって抹消された男。
シーオスに強い恨みを抱き、ここまで追ってきた。
そしてシーオスの命を自由に狙う条件の元、シンに協力している。
「中々、濃いメンツが揃っていますね―――」
ここにいる者は様々な時空からシンが協力者として集めた人材。
実力は皆、折り紙付きだ。
「さて、早速だが―――」
「ナブラ、貴様に頼みごとがある―――」
「ん?なんだ?」
「貴様の頼みなら聞いてやるぞ。」
「それは天童 真の抹殺だ!!」
「ッ―――!?」
その言葉を聞いた部屋にいた他の者は驚きの表情を浮かべる。