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第647話 交流


~ガラドミア~

 

 サンドルを撃破したガラドミア遠征組―――

 

 エルフ達からは感謝され、祝宴が開かれていた。

 

 「旅の者よ―――」

 「此度は我らエルフの民を助けてくれて感謝する。」

 

 セルフィが新達を前に立ち上がり頭を下げる。

 

 まさかあの女王陛下が旅人に頭を下げるなんてと従者達はザワザワとどよめいた。

 

 新は徳川の方を向き、返答するように合図する。

 

 こういった会話術はこの中だと徳川が一番長けている。

 

 「女王陛下頭を御上げください―――」

 「我々としても進様を迎えに来るという目的があり、魔王軍討伐はついでにしか過ぎませんでしたので。」

 こともなげに話す徳川。

 

 その横には六谷と花、クロが立っている。

 

 セルフィは頭を上げる。

 

 そして、感謝の気持ちだと、豪勢なご馳走を用意していた。

 

 「おぉーー!!これ全部食べていいのか!?」

 

 ご馳走を前に新が真っ先に食いついた。

 

 遠征組はそれぞれテーブルに座り、テーブルの上に用意された飯にありついた。

 

 「うま!うますぎるぜっ!!」

 

 新は巨大な肉を手に取り、頬張った。

 

 それ以外のメンバーは静かに食事を口に運んでいた。

 

 「唯我は相変わらずよく食べるな~~!!」

 

 花は新に向けてそう云った。

 

 まぁ、この豪快さが新らしいとは言えるが。

 

 「ん?まぁ、せっかくだし食っておかねェーともったいねえだろ?」

 

 「六谷さんはあまり食べていないみたいですけど、体調が良くないとかですか?」

 

 花が六谷に尋ねた。

 

 実はボロボロになった六谷を見つけた時は彼のことを一番心配していた。

 

 「・・・・いや、花ちゃん―――」

 「俺のことは心配しなくて大丈夫だよ。」

 「これくらいのこと慣れてるから。」

 「徳川さん―――、今回のこと、俺が不甲斐ないばかりに貴方に迷惑を掛けてしまって申し訳ないです。」

 

 六谷が真剣な眼で向かい側の席に座っている徳川に頭を下げた。

 

 「・・・・・六谷、部下の失敗の責任を取るのが上司の役目です。」

 「貴方が気にすることではないですよ。」

 「寧ろ、魔王軍撃退に奮闘して頂いたみたいで、こちらは非常に助かりました。」

 

 徳川は優しく微笑む。

 

 この男は高い調整力と折衝力を有する。

 

 部下に対して、厳しい叱咤を送ることもあるが、基本的に部下の働きを認めるように努める。

 

 飴と鞭の使い分けが絶妙に上手い。

 

 「シン達との最終決戦が近い予感がしますが―――」

 「皆さん、このままここに残るということで良いでしょうか?」

 

 先ほど、ベロニカ達から連絡が入った。

 

 どうやらエレナの救出に成功し、シン達の本拠地がアダムスにあるということが分かったのだ。

 

 そして、未央達もまたここに向かっているらしい。

 

 皆は頷く中、一人の男だけが手を上げた。

 

 「皆にはすまないが―――」

 「僕はここで一旦抜けさせて欲しい。」

 

 フラムだ。

 

 「ほう、何故ですか?」

 

 「元々、僕の目的は打倒サンドルだった―――」

 「それが果たされた今、リーヨンで眠っている彼女・・・エリアが目覚めたはずなんだ。」

 「僕は今すぐにでも彼女に会いたい。」

 「どうか、許して欲しい。」

 

 フラムが諸手をテーブルに付け、頭を下げる。

 

 「ふむ、そうですか―――」

 「それではしょうがないですね。」

 「愛する者の為に行動する―――、それは必然の行為です。」

 「誰も貴方を咎めたりはいたしませんよ。」

 

 徳川はフラムが抜けることを快諾する。

 

 「トクガワ殿―――」

 「感謝する。」

 

 「未央様もこちらに向かっていると聞きます。」

 「全員揃いましたら改めて、今後について話をしましょうか―――」

 

 そう云って、徳川は事務的な話を締めようとした。

 

 結局の所、彼もビジネスマンという職業が染みついているだけなのだ。

 

 それからは皆が交流を深める為の会話が行われた。

 

 「其方が、聖王国の聖女で間違いないか?」

 

 セルフィがキルに向かってそう云った。

 

 「??」

 「そうだけど、なんなの?」

 

 キルはいきなりセルフィに話し掛けられて頭に?を浮かべる。

 

 ちょっと悔しそうな顔のセルフィ。

 

 自分は何もしてないハズなのに何か敵対心のような物を感じていた。

 

 

 この子が・・・鏡の言っていた聖女スターリン-キル。

 

 私より美しい女―――

 

 こんな小娘より我の方が絶対に美しいに決まっているのじゃ!!

 

 ライバル心を燃やすセルフィだが、そのことをキルには話さない。

 

 話してしまったら負けてしまうような気がしたからだ。

 

 

 「そういやさぁ、そっちの二人―――」

 「誰なん?」

 

 新が花に向かってそう云った。

 

 六谷とクロのことが気になっていたらしい。

 

 まぁ、花からしても進と新以外のメンバーは知らない。

 

 だから、せっかくなのでみんなで自己紹介をすることにした。

 

 「そうか、其方、リオン姫なのだな―――」

 

 セルフィは自分と同じ世界五大美女に数えられているリオンに挨拶をする。

 

 「あぁ、リオンだ―――」

 「あまり、堅苦しいのは苦手でな。」

 「こんなんだが、仲よくしてくれると嬉しいよ。」

 

 リオンはセルフィに握手を求める。

 

 セルフィもこの握手に応じる。

 

 「なるほど―――」

 「みんなつまり"超能力者"なんだね?」

 

 花は眼を輝かせながらそう云った。

 

 「まぁ、平たく言えばそういうことでしょう―――」

 

 徳川は冷静に答える。

 

 超能力に異常な魅力を感じている花はみんなの傍に近寄り一人一人、そっと身体を触り始めた。

 

 「ほうほう・・・コレが能力者の出で立ちですか?」

 「実に興味深い―――」

 

 「いや、自分だって、そのドラゴン召喚したんだろ?」

 「充分、超能力者じゃん!」

 

 新が花にツッコむ。

 

 「確かに・・・でもさ、私の能力ってなんか安定しないのよね。」

 「使える時と使えない時があるっていうか―――」

 

 「それは花様がまだ自分の能力を制御できていないからでしょう―――」

 「訓練すれば自由に使えるようになりますよ。」

 

 徳川がそう云った。

 

 「へぇ~~じゃあ、誰か一緒に練習してよ!!」

 「あっ、クロ付き合って!!」

 

 「承知した―――」

 

 クロは快諾する。

 

 「あの・・・セルフィ様―――」

 「ダークエルフについてこの後、お話を伺ってもよろしいでしょうか?」

 

 思いつめた顔のメルクロフとモロトルフ―――

 

 二人にとって、この地は故郷。

 

 幼い頃のことだからあまり覚えてはいないが、ダークエルフというだけで迫害されたこともある。

 

 正直、あまり思い出したくもないし、エルフに対していい感情はない。

 

 それでも、同族だからか、こうしてピンチには助けたいとも思った。

 

 だから、今回魔王軍と敵対したことを後悔しているわけではない。

 

 でも二人は知りたかった―――

 

 何故、我々はダークエルフというだけで迫害されなければいけなかったのか。

 

 そして、今もなおそのような行為は続いているのか。

 

 もし、今もそう云ったダークエルフが迫害されているのであればこれを機に変えたいと思ったのだ。

 

 「・・・其方らはもしやアルニアの子か?」

 

 「母を知ってるんですね?」

 

 「知っているさ―――」

 

 「あとであの母について話を聞かせてもらっても良いでしょうか?」

 

 「・・・・・・いいだろう。」

 「この後、時間を取ろう。」

 セルフィはメルクロフのお願いを了承する。

 

 こうして皆の親交が深まった所で、祝宴は終わっていった。

 

 

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