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第639話 【待機&防衛組】縫合士 ルミナス VS 四元の戦士 サビート①


~王都 教会本部~

 

 四元の戦士との立ち合い二組目―――、ルミナス VS サビート。

 

 「ナデシコ大丈夫かな・・・?」

 

 ルミナスは一人で行ったナデシコを心配する。

 

 「貴方―――」

 「他人の心配をしている場合?」

 

 四元の戦士の一人、サビートがルミナスにそう云った。

 

 「水・・・!?」

 

 ルミナスは眼の前のサビートに目をやる。

 

 彼女の周りに大量の水が生み出されていた。

 

 「青魔法:水流噴出(アクア・ジェット)!!」

 

 噴出される高圧の水撃。

 

 その標的はルミナス―――

 

 「ッ―――!?」

 

 気づいたときにはもう遅い。

 

 でたらめに噴出される水撃がルミナスの片腕を切断した。

 

 ボトっ・・・!!

 

 切断された腕がそのまま地面に落ちる。

 

 発射口を極めて狭くし、勢いよく水を噴出することで切断力を高めている。

 

 現実世界でも水を使って、金属などの硬い物を切る技術が存在する。

 

 サビートも水を使って、それを行うことが出来る。

 

 しかし、その切断力は現代技術の比ではない。

 

 さらにそれを複数同時に可能―――

 

 「心臓を狙ったのに間一髪避けましたね。」

 「しかし、片腕を失っては貴方もまともに闘うことはできないでしょう―――」

 

 サビートにとっては挨拶代わりの魔法。

 

 「えっと・・・確かに貴方の魔法ビックリしました。」

 サビートにとって誤算だったのは片腕を切断したルミナスが平気な顔をしていること。

 

 「・・・!?」

 切断面から血が出ていない・・・!?

 

 サビートはその光景に目を疑う。

 

 ルミナスは切断された腕を拾い上げると、それをあっという間に自分の身体に針と糸を使って縫い合わせた。

 

 「どういうこと・・・!?」

 サビートはルミナスの存在に不気味さを抱く。

 

 「あ、あの・・・次は私の方からいきます!」

 

 ルミナスはその手に小さな針を持ち、サビートの方へ走った。

 

 「馬鹿ね!」

 「私の能力は自由自在に鋭利な水撃を放てる。」

 「無闇に近づいたのは悪手よ!!」

 

 サビートが次々に水撃を放った。

 

 早くこの人を倒してナデシコの様子を見に行かなきゃ―――

 

 ルミナスの頭にはそれしかなかった。

 

 ルミナスは針で水撃の先端を突いた。

 

 ピイィィーン!!

 

 まばゆい光が辺りに輝く。

 

 「な、何っ!?」

 

 サビートが光に手でガードする。

 

 ルミナスの本領が発揮されていた。

 

 針と糸を武器とした戦闘―――

 

 それがルミナスの戦闘スタイル。

 

 魔法の針と糸―――

 

 ルミナスの持つ針と糸はそれぞれが魔道具である。

 

 「水を弾いただとッ!?」

 

 あの強烈な水をたかだかあんな小さい針で弾いたと云うのか!?

 

 「この国の為―――」

 「貴方を倒します!!」

 

 ルミナスが近づいてきた。

 

 縫合士―――

 

 それがルミナスのクラス。

 

 どんなものも縫い合わせることの出来るスキル。

 

 素早い手さばきでサビートを糸で縫い合わせる。

 

 サビートを拘束する。

 

 「これで終わりです!!」

 

 ルミナスの糸と針でサビートの身体はガチガチに固められてしまった。

 

 それはあっという間の出来事。

 

 「えっと、これでナデシコの様子見に行ける・・・。」

 

 そう思って、サビートに背中を見せてその場を後にしようとする。

 

 その時だった―――

 

 後ろから不意打ち―――

 

 サビートの水撃がルミナスの心臓を貫く。

 

 「えっ・・・!?」

 

 「ふぅ~~~。」

 「やっと油断したわね―――」

 

 パンパンと衣服をはたき、身だしなみを整えるサビート。

 

 どうやって、あの拘束を解いたって言うの!?

 

 ルミナスは疑問に思いながら、地面に倒れる。

 

 

 「水滴・・・。」

 

 ルミナスは倒れる最中、サビートの全身が濡れていることに気付く。

 

 「気付いたようね―――」

 「私は水を操れるだけでなく、液体に身体を変えることが出来る―――」

 「だから、どれだけ糸で拘束したって縛ることは出来ない。」

 

 

 「流石にもう無理でしょ―――」

 「だって、心臓を撃ち抜いたんですもの。」

 

 今度はサビートが勝ちを確信する。

 

 不意打ちだって別に卑怯だとは思わない。

 

 勝者とは最後に立っていた者。

 

 それが世の常―――

 

 しかし、そう云った意味ではまだサビートは勝者ではない。

 

 「・・・ま、待ってください!!」

 「貴方を行かせません!!」

 

 

 「ウソでしょ・・・!?」

 「だって心臓を撃ち抜いたのよ!!」

 「何で立っていられるのよ!!」

 

 ルミナスは立ってきた。

 

 それも何事も無かったかのように。

 

 「わ、私、ゾンビなんです―――」

 「だから、これくらいじゃ倒れないんです。」

 

 ルミナスはそう云った。

 

 そうか、だから腕を切断しても血は流れなかったし、すぐさま縫合して動きだしたって訳ね。

 

 サビートは理解した。

 

 「そう、だったら今度は貴方の身体をミンチにして、二度と立ち上がれないようにするだけだわ!!」

 

 サビートは冷たい目をルミナスに向ける。

 

 

 「・・・あの・・・もう止めにしませんか?」

 

 

 ルミナスの口からその言葉が出てきた。

 

 

 「ハァ・・・!?」

 

 サビートは思いもよらないルミナスの言葉に驚く。

 

 

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