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第636話 【待機&防衛組】豚は今日も誰かの糧になる為に元気に走り回る


~王都 教会本部~

 

 太陽が真上にあり、街全体を照らすほどの快晴。

 

 少し暑いくらいだ。


 ウィルは魔族が強襲してきたとの知らせを受ける。

 

 「魔族がここを襲ってきただって―――!?」

 「一体、誰なんだ!?」

 

 ウィルは動揺する。

 

 ここ数カ月、未央が連れてきた魔族達とは親睦を深めてきた。

 

 確かにいきなり、種族間で仲良く出来たかといえばウソになるが、それでもこの数カ月未央の仲介もあり、驚くくらい彼らは人間たちの生活に溶け込んでいた。

 

 それなのに何故?

 

 「ウィリアム様!!」

 「外は危険です。」

 「ここにいるのが良いかと思います。」

 

 シーオスはそう云った。

 

 しかし、ウィルはその言葉を聞かなかった。

 

 無言で立ち上がると、そのまま外へ出ていこうとする。

 

 「ウィリアム様!?」

 

 シーオスが呼び止めるが、その足は止まらない。

 

 

 どういうことです―――!?

 

 外は危険だと言っているのに―――

 

 ここの方が圧倒的に安全だというのにあの王様は―――!!

 

 シーオスは眼を大きく見開き、困惑。

 

 ウィルの行動を理解できなかった。

 

 

~王都 教会本部 正門前~

 

 教会本部を魔族が3人で攻めてきた。

 

 教会の騎士達を屠りながら、ここまでやってきた。

 

 「やっぱり、このぬるま湯のような世界の騎士の力などたかが知れているみたいだな。」

 

 3人のうちのリーダ格の男がそう云う。

 

 聖王国を魔族が襲った一夜があったとは言え、教会を守る神殿騎士達の力はこの世界でもトップクラス。

 

 それをまるで雑兵を相手取るかのような3人の魔族達。

 

 「ブシシシっーーー!!」

 「騎士なんて言ったって所詮はただの人間!!」

 「俺達の相手じゃねぇーンだよ!!」

 

 おどけた様子で魔族の一人が口にする。

 

 「ちょっと、二人とも油断しないで―――」

 「もし失敗したら、私達の兄弟の命が危ないのよ。」

 

 女の魔族が2人に厳しく云った。

 

 この3人は皆、四元の戦士。

 

 シーオスによって、家族が人質に取られている。

 

 そして、その任務はこの教会本部にいる聖王国の王様―――、ウィリアムの殺害。

 

 「邪魔するヤツは皆殺しにしていいと聞いたからな―――」

 「遠慮はいらん!!」

 「やるぞっ!!」

 

 既に教会本部の入り口は近い。

 

 そして、その入り口から一人の男が出てきた―――

 

 

 「誰だ?」

 「また新しい騎士か?」

 一人が訝しんだ。

 

 騎士にしては軽装過ぎる。

 

 それでいて、高級そうな衣服を身に纏っている。

 

 「どっちかというとアレは貴族だな~!!」

 

 

 「いえ、違うわよ!!」

 「アレは標的のウィリアムよ!!」

 

 まさに飛んで火にいる夏の虫だった。

 

 向こうから出てきたのだから―――

 

 こちらから探す手間が省けた。

 

 「アンタがウィリアム王か!?」

 

 魔族の一人がそう尋ねた。

 

 「そうだ!!」

 「私がウィリアムだ!!」

 「貴様たちか―――」

 「この教会を攻め込んだという魔族は!!」

 

 「フン・・・。」

 

 3人の魔族は互いに顔を見合わせた。

 

 正々堂々?

 

 内心嘲笑った―――

 

 どこまで平和ボケしているのだと。

 

 敵が攻めてきているのに大将自らが敵の眼前に立つなんて。

 

 これじゃ、この国の未来はないとそう思ったものだ。

 

 3人は何も言わずに襲い掛かる。

 

 

 後に倒れていた兵士はこう語る。

 

 この時のウィリアム王はすごかったと―――

 

 彼は3人の魔族が襲い掛かってきているにも関わらず、瞬きせず、しっかりと目を見開いていた。

 

 「ウィリアム王は覚悟が出来ていたんだよ―――」

 

 「そのまま死ねェーーーッ!!」

 

 3者の魔手がそれぞれウィリアムに迫る。

 

 「「「キンッ―――!!」」」

 

 それぞれの武器がウィルに届くことはなかった。

 

 「ご無事でしたか!?」

 

 ウィルの危機に駆けつけたのはアルマン、ルミナス、ナデシコの3名だった。

 

 「助かったぞアルマン!!」

 「それにルミナス殿、ナデシコ殿!!」

 

 「ウィリアム王―――」

 「貴方、ここで自分が死なないこと分かっていたでしょ。」

 

 アルマンがそう云った。

 

 「そんなことはないさ。」

 

 これは半分ウソだ。

 

 ウィルもこれまで数々の死線と遭遇して、王としての才覚に目覚めつつあった。

 

 ここで自分が死ぬことはない。

 

 何となくだが、彼は確信していたのだ。

 

 「だが、ここに来てよかった―――」

 「やはり、ここを襲った魔族は未央さん達が連れてきた穏健派の方々ではない。」

 

 「アルマン!ルミナス殿、ナデシコ殿!!」

 「私は非力だ―――」

 「だから私に力を貸してほしい!!」

 

 「任せてください!!」

 

 アルマンは元気に答えた。

 

 「はい!」

 

 ルミナスもそれにつられるように返事をする。

 

 「不要!」

 

 ナデシコも少し照れているのか小さく頷く。

 

 「邪魔者は消していいんだったよなァ!!」

 

 「えぇ、ただ気を付けなさい。」

 「敵もどうやら魔族のようね―――」

 

 四元の戦士とアルマン達が衝突する。

 

 

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