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【完結】エレベーターに乗ったら異世界に来てしまった件 ~大切な幼馴染を追いかけて異世界に来た天才少年は聖女しか使えないハズの治癒魔法の才能を開花させる~  作者: ゆに
第3章 エレベーターに乗ったら異世界に来てもふもふ姫に好かれてしまった件

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第61話 魔王城へ帰還【未央side】


挿絵(By みてみん)

 

 魔坑道でサンドルを発見したリカント。

 

 一早く未央の元へとサンドルを連れていくために転移をスキルを使用していた。

 

 ~魔王城へ転移中~

 

 「サンドル!さっきお前と戦っていた少年は何者だ?」

 「未央様を知っているような風だったが?」

 

 「はて?そうですかね?ただの少し強い程度の男でしたよ。」

 

 サンドルは進がアドミニストレーターと繋がっていることを、黙っていた。

 

 リカント自身もまさか彼がこの世界の神と通じているとはこの時思いもしなかったので、それ以上の詮索はしなかった。

 

 「何故、あの剣があの場にあったのか、そしてあの少年が持っていたのかが気になる。」

 

 リカントのこの言葉に対して、サンドルは理解が出来なかった。

 

 サンドルはリカントと500年以上前からの知り合いで、共に様々な国を亡ぼしたり、戦争に加担しており、リカントという男のことをそれなりには理解しているつもりではいた。

 

 そして、この男が魔王アリスや六魔将以外に興味を持つこと等ほとんどないと思っていた。

 

 「あの剣が何か気になったのか?」

 

 サンドルは余り深く考えるようなことでもないと思い、直接聞いてみることにした。

 

 「そうかサンドル、お前は鬼人族の異端児で、同じ鬼人族からほとんど隔離され情報を隠蔽されて、お前が六魔将に加入したのもアリス様が世界統一にほぼ王手を掛けていた時期だったな。」

 「それじゃああの剣のことを知らなくても無理はないか。」

 

 サンドルは、鬼人族の間では珍しい灰魔法の使い手で幼少期の頃は同じ鬼人族からさえ恐れられ、ほとんど軟禁状態が続いていた。

 

 同年代の鬼人族からは苛めを受けていたこともあったが、本人としては、あまり気にしていないようで、同じ鬼人族に対してどうでもいいと思ってい た。

 

 「あの剣はな、太古の昔私たちがアリス様に使えていた500年以上前から存在しており、当時の神殿騎士団元帥が使用していた剣なのだ。」

 

 「500年前の神殿騎士団元帥と言えば、六魔将と同等かそれ以上の実力とも言われていたような―――」

 「そんな奴が使用していた剣だったのかあれは。」

 「道理で人間の剣にしては異常に強力なハズだ。」

 

 「あの剣の真の力をまだあの少年は引き出せていないようだったが、もしあの剣の力を完全に引き出すことができているなら、いずれ我々いや未央様の障害となるだろう。」

 

 「だったら、さっき殺しておくべきだったんじゃないのか?」

 

 サンドルは悪戯っ子のような顔でリカントに問う。

 

 「そんなことをしたらお前が止めそうだったんでな―――」

 「それにお前―――、相当あの少年が気に入っているだろう?」

 「お前と私が争ったらどうなるかお前だって分かっているハズだ。」

 「それにお前を未央様の元に一刻も早くお連れするのが、今の私の役目だったから、あの少年には手を出さなかった。」

 

 リカントは圧倒的強者であるが故に、その余裕から進をあえて殺すことはしなかった。

 

 しかし、その選択が後にリカントを後悔させることになるがそれはまだ先の話である。

 

 「まぁ、お前にアイツを殺すのを、止めていたかと聞かれたら止めていただろうな。」

 

 「それと、未央様の前であの少年のことを言うのは禁止だぞ!」

 

 「何でだよ?」

 

 「もしかしたらあの二人は知り合いかもしれない。」

 「そんな奴の名前を出してあの方に動揺を与えてはいけないからだ!今は世界征服の大事な時期だぞ!」

 

 「・・・分かった。」

 

 最初から進たちのことを他の奴らに知らせることはしないと決めていたサンドルは好都合と思い、リカントのその提案を受け入れた。

 

 そんな話をしている間に二人は魔王城に帰還した。

 

 ~魔王城 魔王の間~

 

 二人が帰還し魔王の間へ入ると、そこには未央が玉座に座っていた。

 

 「待ってたよ~二人とも~!」

 

 未央がニコニコ笑顔でリカントとサンドルを出迎える。

 

 「サンドルのヤツ、元気なようだな。」

 

 先代の魔王アリスがサンドルの様子に対して安心したかのようだった。

 

 昔からよく争ったって聞いていたけど、なんだかんだ心配していたようね。

 

 当然、霊体であるアリスの声は未央以外には聞こえていなかった。

 

 「ハッ!ただいま戻りました!未央様」

 

 リカントは未央の前で跪く。

 

 その光景にサンドルは開いた口が塞がらなかった。

 

 「うおおおぃ!リカントなんだコイツは!ただの若い人間の女じゃねーか!」

 

 サンドルから見たら、それはとても異常な光景だった。

 

 500年以上前より魔王アリス以外に絶対に跪くことのなかった男が、ただのこんな若い娘の前で跪いていたからである。

 

 「貴方がサンドルさんね!わぁホントに鬼なんだ!角が生えてる!触ってもいい?」

 

 未央が、サンドル相手にも関わらず、普段と変わらないように人間でない特徴に興味を出す。

 

 「止めろ!なんだ貴様!人間だろ!」

 「貴様のような奴がアリスの後継者?新しい魔王?ふざけるな!」

 

 「おい!サンドル未央様に向かってなんてことを言う!」

 

 未央に対しての言葉が気に入らなかったため、リカントがサンドルに向かって殺気を飛ばす。

 

 「止めて!二人とも!」

 

 「ハッ!申し訳ありません未央様!みっともない所をお見せして。」

 

 「サンドルさん!」

 

 「ア""ッ―――?なんだよ?」

 

 少し不機嫌なサンドルに未央は呼びかける。

 

 「私はこれから、この世界を征服しようと思うの!だから手伝ってくれないかな?」

 

 「ハハハ!何を言い出すかと思えば、貴様のような小娘が世界征服?笑わせるな!」

 

 サンドルは未央の発言を子供の夢物語か何かと思い、笑い飛ばした。

 

 「私は本気だよ!この世界には、来たのも何かの縁!」

 「私がこの世界を征服することによって助けられる命があるなら、助けたい。」

 「私の知り合いが同じ状況なら、今の私と同じ行動をとっていたと思うの!だから力を貸して頂戴!」

 

 未央自身は世界征服をするつもりはあるが、その実自身の魔王の力を活用し、速攻で国を落とし極力敵も味方も誰も傷を受けないで征服を行おうと考えていた。

 

 そして、自身が世界を征服することで、この世界から種族間での差別、争いを完全に排除しようと計画を立てていたのである。

 

 「おい、それって矛盾していないか?戦争を仕掛けるってのに誰かの命を助ける?意味が分からない。」

 

 サンドルは思ったが、その昔アリスも同じようなことを言っていたのを思い出す。

 

 「チッ!俺様はアリスのそういうところがムカつくんだ!」

 「まるで自分は全てを知っていますみたいなその態度。」

 「お前たちにはいったい何が見えてるんだ―――?」

 

 

 サンドルは少し考えてある結論を出した。

 

 「分かったよ!お前たちの協力してやるよ!」

 

 サンドルは渋々協力を受け入れたように見えたが、頭ではある計画を考えていた。それも未央を殺す計画である。

 

 「ところで、未央!お前黒髪で自分のことを天才とか言っている少年を知っているか?」

 

 「!?」

 

 もしかして、進ちゃん!?

 

 「それって、す」

 

 「おいサンドル!」

 

 未央が聞き替えそうとした瞬間、リカントが大声で止めた。

 

 その声で未央は我に返り、冷静に考えたらここは元の世界とは違うため、進がいるわけないという結論になった。

 

 「うんん!知らないよ!だって私この魔王城から出たことないもん!」

 

 もしこの時、未央が進の名前を出していたら、この先の未来はもっと別の物になっていたかもしれない。

 

 未央はこの時の選択を後に後悔することになる。

 

 

 

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