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【完結】エレベーターに乗ったら異世界に来てしまった件 ~大切な幼馴染を追いかけて異世界に来た天才少年は聖女しか使えないハズの治癒魔法の才能を開花させる~  作者: ゆに
第7章 エレベーターに乗ったら異世界に来て困惑していたらいつメンが揃った件

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第587話 【魔王城潜入組】魔王城攻略戦①


~絶望の谷~

 

 バラム地区から出発したベロニカ達一行―――

 

 赤目が得た情報を元にこの絶望の谷にやって来ていた。

 

 「この辺りのハズだ―――」

 

 赤目は辺りに注意を巡らせる。

 

 伏兵の可能性を考え、周囲の警戒を怠らない。

 

 「百鬼―――!!」

 「注意は怠るな―――」

 

 「ハイ、赤目さん―――」

 

 無表情な赤目に対して少し頬を赤らめる百鬼。

 

 二人は微妙な空気感を出す。

 

 「この辺のようね―――」

 「赤目!あとどれくらいかしら?」

 

 ベロニカはそんな微妙な空気など感じてすらいない。

 

 「地図によると、このまま直進で200メートルほどだ―――」

 

 「ヴィクトル―――!!」

 「もうヘばってるんじゃないわよ!!」

 

 「う~~う、もう無理~~!!」

 

 ヴィクトルはその場にへたり込む。

 

 ここまでの道のりも大分険しかった。

 

 きちんと休息や食事は取っていたが、ここ一週間くらい野宿が続いた為、みんな疲弊していた。

 

 しかし、そんなことをヴィクトル以外は微塵も顔に出さない。

 

 多分、この中でボクが一番体力ないんだよなーー。

 

 ヴィクトル自身もその自覚はあった。

 

 「ヴィクトル殿―――」

 

 ベリヤがしゃがみ、膝を付いているヴィクトルの前に背中を差し出す。

 

 「ベリヤン・・・!?」

 

 どうやら背負ってやるという意思表示のようだ。

 

 思わず、ヴィクトルは嬉しくなってしまう。

 

 「・・・ったく、しょうがないわね―――」

 「ベリヤ!!しっかりヴィクトルを背負うのよ!!」

 

 ベロニカはベリヤの行動を許可する。

 

 そのままへたり込まれても士気に関わる。

 

 ベリヤは空間転移系の魔法を使用できるが、それを使用してしまえば魔王軍の者に気付かれる可能性がある。

 

 だから彼らは徒歩で険しい道を進む。

 

 「ベリヤン・・・重くない?」

 

 「このくらい平気でござる―――!!」

 「それよりもしっかりと掴まっているでござるよ!」

 

 ベリヤは常日頃から肉体を鍛えている。

 

 誰かを背負って険しい山道を登るくらい容易い。

 

 「ここが目的地だな―――」

 

 赤目は地図と見比べて目的地に達したことを確認する。

 

 「魔導大全・・・これからあの結界を破壊するわよ―――」

 「力を貸しなさい!!」

 

 勿論、僕は約束を守るよ!!

 

 

 すっかり、ベロニカの中が気に入った様子の魔導大全。

 

 ベロニカの全身はこれまでとは比べ物にならない程の魔力を纏っていた。

 

 「す・・・スゴイ・・・!!」

 

 思わず、見とれてしまうヴィクトルとベリヤ。

 

 「七星魔法:強制解放開錠(アンデッドアンロック)!!」

 

 ベロニカが集中していた魔力を上空に浮いている魔王城へ放つ。

 

 パリイイィィーーーーンッ!!!

 

 窓ガラスが割れるような音が周囲に響く。

 

 ベロニカ達は思わず、耳を塞ぐ。

 

 「ベリヤ・・・!!」

 

 「もうやっているでござるよ!!」

 「空魔法:短距離転移ショートワープ!!」

 

 ベリヤの空間転移魔法で5人は魔王城の入り口までワープする。

 

 ヒューン!!

 

 気づいたら地上から遠く離れた上空に着地する。

 

 「ここまで無事に来れたようね―――」

 

 結界を破壊して、魔王城の入り口まで来ることは出来た。

 

 「でも、油断しないで―――」

 「今の音でこの中の魔族達も異変に気付いたはず―――」

 

 「エレナの居場所は分かるのか?」

 赤目はベロニカに尋ねた。

 

 「私とエレナ御姉様は繋がっているから居場所なら分かるわ・・・と言いたいところだけど、御姉様の位置はコレで分かるわ!」

 

 そう云って、ベロニカは一つのコンパスを取り出す。

 

 どうやら特定の人物の魔力を検知してその方角を指し示すアイテムらしい。

 

 「ずっと上を差しているな・・・」

 

 2人はさらに上空を眺める。

 

 魔王城は13階―――

 

 少なくとも1階や2階にはエレナはいなさそうだ。

 

 「ここからは極力戦闘を回避して進むわよ―――」

 

 ここは魔王軍の本拠地ともいえる場所。

 

 敵兵がわんさかいる。

 

 赤目と百鬼なら大抵の敵は屠れるだろうが、敵である魔族だって生きている。

 

 無理やり戦わされているような者だっているはずだ。

 

 無駄な戦闘は行わない方がいいに決まっている。

 

 「そうだな―――」

 「その為に我々が今回のメンバーに選出されている訳だからな。」

 

 まずは赤目が分厚い扉を切り裂いた。

 

 「ちょっと―――、何をしてるの!?」

 

 大きな音を立てて、ガラガラと石造りの扉が崩れていく。

 

 周囲には砂埃が立ち、少しの光が薄暗い屋内に入る。

 

 アレだけ隠密行動をすると言ったのに―――

 

 いきなりの赤目の行動に唖然とする。

 

 「暫くしたら、魔王軍の者がここに駆けつけてくるだろう―――」

 「今のうちに上に行くぞ!!」

 

 「《静寂の暗殺者サイレント・キル》」

 

 赤目の姿が消える。

 

 いや、赤目だけじゃない。

 

 百鬼もヴィクトルもベリヤも姿が消える。

 

 「えっ―――!?」

 

 

 ベロニカは誰かに触れられた気がした。

 

 その瞬間、自分の姿が消える。

 

 「今、みんなの姿を認識できないようにした―――」

 「これで大きな声を上げても大抵は感知できないだろう―――」

 

 「貴方ねーー!!そういうことが出来るならそうと言いなさいよ!!」

 

 ベロニカは赤目に怒る。

 

 「・・・・・・すまなかった―――」

 「次からは先に言うようにする。」

 

 少しの沈黙の後、赤目は謝る。

 

 「でも、コレは凄いわ―――」

 「これなら誰にも気付かれずに移動できる!!」

 

 そう、移動は可能だが、誰かに触れてしまえば魔王軍の者に気付かれてしまう可能性がある。

 

 だからこそ、赤目は敢えて大きな音を立てることで、この入り口に兵士たちを誘導するようにした。

 

 その隙に上階へ行く算段だ。

 

 「走るぞ!!」

 

 赤目はそう云った。

 

 その言葉でみんな一斉に駆け出す。

 

 

 

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