第573話 【魔王城潜入組】バラム地区⑥
自分は何の為に生きるのか。
ちゃんと、真剣に向き合って考えてみて欲しい。
どれだけ長く生きたかじゃない。
どれだけ人より優れていたかじゃない。
どれだけ自分が理想を実現できたかなんだ―――
きっと、自分を偽って、ヘラヘラしながら生きるのは"楽"だ。
ただ、何となく周りに合わせて生きるのは"楽"だ。
でも、本心からやりたいと思えることがあるなら手を伸ばすべきなんだ。
周りがどうとか関係ない―――
どれだけ反対されようが、嘲笑されようが、蔑まれようが―――
それが自分の理想なら泥水啜ったって―――、自分の手が汚れたって、突き進まなければならないんだ。
そうしたら、きっと"楽しい"って思えるハズだから。
~バラム地区 スラム街~
風が強くなってきた。
「こちら赤目だ―――」
「これから魔王軍の刺客と応戦する。」
「敵は恐らく、六魔将ハイロンの配下と思われる。」
赤目は淡々と状況を説明する念話をベロニカへ送る。
「ツッーーー!!ツッーーー!!ツッーーー!!」
ベロニカへの念話が通じない。
通信ができる状況じゃない?
それとも通信できる場所にいない?
いずれにせよ、向こうも何かしらの動きがあったということか。
赤目はそう理解した。
向こうの状況が分からないということはもしかしたら助けが必要になるかもしれない。
なら尚のこと、こんな所で時間を喰っている場合でもないだろう―――
敵は感知している範囲で3体。
もしかしたら伏兵がいるかもしれない。
赤目は気配を完全に消し、敵の動向を監視する。
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名前:バーク
種族:アビスホーク
性別:?
Lv.45
クラス:暗殺者
残SP: ??SP
◆状態◆
通常
◆パラメータ◆
体力:420
筋力:250
魔力:530
物理抵抗力:310
魔力抵抗力:290
精神力:510
器用さ:450
素早さ:450
◆装備◆
武器:ハンティングボウ(+70)
防具:黒装束(+50)
◆アクティブスキル◆
《暗殺術Lv.Max》《暗黒Lv.Max》《闇目Lv.Max》《恐怖付与Lv.Max》《集中Lv.Max》《連続射撃Lv.Max》《飛翔Lv.Max》《罠抜けLv.Max》《罠生成Lv.Max》《気配察知Lv.Max》《念話Lv.Max》
◆パッシブスキル◆
なし
◆ユニークスキル◆
無し
◆称号◆
無し
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名前:ブール
種族:アビスオーク
性別:?
Lv.52
クラス:闇拳闘士
残SP: ??SP
◆状態◆
通常
◆パラメータ◆
体力:580
筋力:600
魔力:230
物理抵抗力:410
魔力抵抗力:490
精神力:550
器用さ:400
素早さ:410
◆装備◆
武器:ギガントソード(+80)
防具:黒装束(+50)
◆アクティブスキル◆
《剣技Lv.Max》《暗黒Lv.Max》《連続攻撃Lv.Max》《気配察知Lv.Max》《念話Lv.Max》《集中Lv.Max》《人間特攻Lv.Max》
◆パッシブスキル◆
なし
◆ユニークスキル◆
無し
◆称号◆
無し
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名前:ファイ
種族:アビスナーガ
性別:?
Lv.55
クラス:闇魔術師
残SP: ??SP
◆状態◆
通常
◆パラメータ◆
体力:230
筋力:200
魔力:590
物理抵抗力:250
魔力抵抗力:500
精神力:550
器用さ:350
素早さ:300
◆装備◆
武器:暗黒樹の杖(+80)
防具:黒装束(+50)
◆アクティブスキル◆
《緑魔法Lv.Max》《暗黒Lv.Max》《黄土魔法Lv.Max》《青魔法Lv.Max》《魔力制御Lv.Max》《念話Lv.Max》《集中Lv.Max》《瞑想Lv.Max》
◆パッシブスキル◆
なし
◆ユニークスキル◆
無し
◆称号◆
無し
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レベルは3人とも50前後―――
数字上はこちらの敵ではない。
だが、それを簡単に信じない。
相手を油断させる為にわざとステータスを晒しているだけかもしれない。
実際の数値を隠蔽しているかもしれない。
数値はあくまで目安でしかない。
実際の戦闘経験値が分かるわけではない。
戦ってみたら予想外に手こずるかもしれない。
思いもよらない伏兵が潜んでいるかもしれない。
戦闘に理想を押し付けない。
ただ淡々と敵を殲滅することが仕事人の仕事。
赤目はまだ動かない。観察を続ける。
「例のハイロン様の研究データを盗んだ愚か者がこの辺に潜んでいるハズだが―――」
「もう探すの面倒だから、ファイの魔法で一帯を破壊しまくるか?」
「しかし、逃がしてしまったとなればハイロン様からどんな罰を受けるか・・・・。」
会話の内容から察するに3人はやはりハンクを追っている者のようだ。
ちょうどいい。
1人は生かして、情報を引き出すとしよう。
赤目は心の中でそう決めた。
そして赤目は空気と完全に同化する。
認識阻害―――
本気を出した赤目はもはや誰にも認識できない。
あの天才 天童 進ですら感知できなかった。
そこからはファイが視た光景が全てだった。
突然、後ろにいた二人の様子がおかしいことに気付いたんだ。
「バーク!!ブール!!何をしている―――」
「さっさと行くぞ。」
二人はただ突っ立っているだけ。
何を遊んでいるんだと怒りそうになった。
ちょっと言葉も荒げていたと思う。
「おい!!何を遊んでいるんだッ!!」
バタっ―――!!
バークとブールが同時に地面に倒れた。
流石にファイはこれが異常事態だと認識した。
「敵かッ!?」
ファイは戦闘態勢に入る。
魔法を詠唱しようと自身に魔力を集中させ始める―――
だけど、もう遅かった。
「動くな―――」
「殺すぞ―――」
ファイは自分の首元に冷たい金属が当たっていることに気付く。
血がスッーー!っと流れている。
一体いつの間に・・・!?
人間に背後を取られていることに気付けなかった。
赤目 紫郎は3人の魔族を一瞬で無力化する。