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第566話 【ガラドミア遠征組】FIRST END


~ガラドミア宮殿内 玉座の間~

 

 「おーい!!天童オォーー!!」

 「無事かぁ~~!?」

 

 サンドルとの戦闘後、新が駆け寄ってきた。

 

 新達が来た頃には進は今まで通り、虚ろな眼でその場にしゃがみ込んでいた。

 

 

 「クソオォォーーー!!」

 「この俺様があんな小僧にやられるなんてあっちゃいけねェー!!」

 「あっちゃいけねェーんだよオォーー!!」

 

 上半身だけになっても這いずって、移動するサンドル。

 

 未だ、瀕死の状態ながら、生命を保っていた。

 

 何なら、切断された方の下半身も再生を開始しているくらいだった。

 

 だから、切断された下半身を回収しようと動いていた。

 

 だけど、そんなサンドルを放っておくわけがない―――

 

 「チェックメイトだな―――」

 「魔族の王―――!!」

 

 「チッ!!」

 

 戦闘も終わり、従者からのポーションで体力が回復したセルフィ―――

 

 杖をサンドルに向けそう云った。

 

 もはやサンドルに抵抗するだけの力は残っていない。

 

 「貴様をこのまま生かして帰すつもりはないッ!!」

 「我が魔法で葬り去ってやろうッ!!」

 

 セルフィは冷酷な瞳でサンドルに魔法を放とうとする。

 

 「待って下さいッ!!」

 

 フラムがセルフィを止める。

 

 「どうして止める?」

 

 セルフィは尋ねた。

 

 「その役目、僕にやらせて下さい―――!!」

 「その男は仲間たちの仇なんです!!」

 

 フラムがそう云った。

 

 「そう云う理由ならこちらも自国の民をこの男に多く殺されている―――」

 「それにここは私の国だ!!」

 「ここでは私が法律なのだ!!」

 

 セルフィは譲らなかった。

 

 「ッ―――!!」

 

 フラムは悔しかったが、セルフィの言うことはもっともなので、矛を収めた。

 

 既にサンドルは詰んだ状態。

 

 この国に攻めてきた魔王軍も仲間たちが倒した。

 

 魔王軍の危機は過ぎ去った。

 

 だったら、無理に敵討ちにこだわる必要だってない―――

 

  『フラムさん―――、後はお任せしましょう!!』

 

 進がそう呟いた気がした。

 

 「そうだな―――」

 

 「という訳だ―――」

 「最後に言い残すことは有るか?」

 「命乞いでもいいぞ―――」

 

 命乞いをしたところで生き残れるなんて微塵も思っていない。

 

 「ク・・・ククク・・・!!」

 「命乞い?ふざけんじゃねェーぞ!!」

 「俺様がそんなみっともねェー真似するわけねェーだろッ!!」

 「"悪"には"悪"のプライドがあんだよォーー!!」

 「俺様を殺りてェーならさっさとしろッ!!」

 

 サンドルは未だ強い瞳をしている。

 

 死なんて恐れちゃいない―――

 

 これこそが強者なのだと―――

 

 「だが、俺様を殺したって何にも変わらねェーぜ!!」

 「なんて言っても『シン』がいるんだからなっ!!」

 「アイツは魔王アリスの息子だッ!!」

 「アイツが俺様の代わりに残った魔族を支配し、世界を統一するはずだッ!!」

 「テメェーらは精々怯えて暮らすんだなァーーー!!」

 「ヒャハハハハーーー!!」

 

 それがサンドルの最後の言葉だった。

 

 サンドルは最後まで自分の悪を貫いた。

 

 誰かが云ったよ―――

 

 例え悪でも、好き勝手生きていても、自分を最後まで貫き通したあの人はとてもかっこいい人だったって。

 

 「そうか―――」

 「それでは、さらばだ―――」

 「魔族の王サンドルよ!!」

 「極大琥珀魔法:楽園への鎮魂歌(レクイエム)

 

 セルフィはサンドルにだけ聴こえる特殊な音を生成し、彼に聴かせた。

 

 それは一定以下の体力の者を永眠させる魔法―――

 

 苦痛は伴わない―――

 

 潔く死を選んだサンドルに対するせめてもの慈悲。

 

 こうして、鬼人族の王サンドルはこの日安らかに眠った。

 

 魔王軍にもすぐにこの報せは届き、事態は収束する。

 

 そして、魔王の死というニュースは世界中に広まることになる。

 

 人々は喜んだが、まだ悪は潰えていない―――

 

 そう、新たな魔王軍『ネオ魔王軍』が動き出していた。

 


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