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第512話 【ガラドミア遠征組】タイアン①


自動機械オートマタ製造工場 内部~

 

 新達が自動機械オートマタ製造工場に侵入してから約5分が経過した頃。

 

 「新様―――、こちらの声聞こえてますか?」

 

 「あー、バッチリ聞こえてらァ!!」

 

 徳川、新に《念話》のスキルで会話する。

 

 「心様―――、こちらの声聞こえてますか?」

 

 「聞こえているの―――」

 

 徳川、キルに《念話》のスキルで会話する。

 

 音声は問題なく聞こえる。今は、お互い耳にインカムを付けたような状態だ。

 

 「そちらの状況を教えてください―――」

 

 「人の気配はないの―――」

 「周りは動かない機械カラクリでいっぱいなの。」

 裏から侵入したキルのグループは、見つからずに動けているようだ。

 

 「こっちは手厚い歓迎を受けてるとこだよ―――!!」

 

 「そうですか―――」

 「では、思う存分暴れてください―――」

 

 徳川は新にそう云った。

 

 

 正面の門をブチ破って、派手に突入する新、フラム、メルクロフの3人。

 

 まずは、フラムの爆発系魔法で分厚い門を破壊し、走って入る。

 

 現代チックなパスワード認証するゲートもその先にあったが、新がその拳で扉ごと勢いよく破壊してしまう。

 

 もはや人間技ではない―――

 

 天井の至る所には自動連射機能を備えた銃がいくつもあり、弾丸の雨が3人を襲う。

 

 「完璧な障壁パーフェクトガード!!」

 

 メルクロフの盾が全ての弾丸を防ぎ切る。

 

 「アラタ、フラム―――、ケガはないか?」

 

 メルクロフはそう云う。

 

 「サンキュー!!」

 「メルクロフ!!」

 

 新達は走る。それも敵に気付かれ、自分達に注目が行くように敢えて派手に壊しまくる。

 

 こうすることで、裏から侵入したキル達が動きやすいようにする。

 

 いや、新の場合、ただ純粋に暴れたいという欲望からなのかもしれない。

 

 「見たこともないゴーレムだ―――」

 「アラタ君は、あんなの見たことあるのかい?」

 フラムはそう聞いてきた。

 

 ここに来るまで様々な自動機械オートマタと遭遇した。

 

 人型の物もいたし、四足歩行の魔獣のような物もいた。

 

 空中に浮いているアパッチのような物もいた。

 

 それぞれが共通して、意思を持たない人形―――、所謂ゴーレムのような動きをしている。

 

 新達だからここに来るまでそれほど苦戦していないが、間違いなくここで造られている兵器は一級品。

 

 一国の軍隊にも匹敵する。

 

 そんなものが何故こんな辺境の地で造られているのか?

 

 それも結界で隠したりして。

 

 「映画とかでならみたことあるけどよ・・・。」

 「俺も実際に見たのは初めてだぜ!!」

 新はそう答える。

 

 奴らの作りはとても現代チックにできている。

 

 しかし、その動力は魔石―――、いわば現実世界とこっちの世界の融合技術の結晶の存在。

 

 天童 真の創り出した人間を超えた人間も同じように現実世界とこっちの世界の技術の融合だったが、それとはまた別の存在であるようにも思える。

 

 

 そんなことを新が考えていると、フラムが前を指差す。

 

 「アラタ君―――、前に誰かいる―――」

 

 フラムはそう云った。

 

 「ア"ァ"―――っ!?」

 

 これまでとは違う感覚―――

 

 なんだこの感覚は・・・!?

 

 新は一瞬、走るのを躊躇した。

 

 3人の行く先に一人の人間?がいる。

 

 「侵入者発見―――、排除します。」

 

 青い髪に眼鏡を掛けた少年。手には革のグローブを付けている。

 

 この自動機械オートマタ製造工場の責任者 P3の配下タイアン。

 

 新達3人を始末する為、彼らの前に立つ。

 

 「そこどけやァァーーーッ!!」

 

 新、飛び跳ねる―――、地から足が離れる。

 

 走り幅跳びみたいにスローモーションで殴る為のフォームへ。

 

 目の前の少年を敵だと判断。

 

 あまりにも早い判断。

 

 「アラターーっ!!」

 

 そのあまりにも早い判断にメルクロフは新の名前を呼んで止めようとする。

 

 しかし、止まらない。止められない。

 

 新の判断は間違っていない―――

 

 タイアンは新達にとっての敵。

 

 「オラアアアァーーーッッ!!!」

 

 「角度70°、大振りの右腕のよる打拳―――、速度は1km/s・・・約マッハ2.5。」

 「もっと速くなる傾向有り―――」

 「固さ・・・硬度10―――、ダイヤモンドと同等。」

 「並の機械兵器では歯が立たないと推定。」

 「生物兵器である可能性有り。」

 タイアンはブツブツと言っている。

 

 そのブツブツ言っている間も新の拳は止まらない。

 

 「迎撃します―――」

 

 タイアンも新の拳に合わせて、手に握り拳を作り、打ち放った。

 

 ぶつかり合う力―――

 

 衝撃波が少し距離の離れたフラムとメルクロフの二人の肌にも伝わる。

 

 「ぶっ壊れろーーーッ!!!」

 

 新は気合の入った声で叫ぶ。

 

 「―――、気合で結果が変わることは決してありません。」

 「必要なのは傾向と対策です。」

 

 タイアンは極微少だが全身を震わせていた。

 

 そうすることで新の一撃の衝撃を逃がしている。

 

 真っ向から新の打拳を受けたならば、五体満足ではいられないだろうと判断しての行動。

 

 そして、ただ新の拳に合わせて打ち込んだだけじゃない。

 

 タイアンは新の拳と自分の拳を一本の線にした。

 

 そうすることで、自分の身体をアースにして、衝撃を地面へと移す。

 

 だからタイアンの代わりに地面がガタガタと音を立てて崩れていく。

 

 これまでの機械兵と明らかに違うタイアンに新は後ろへ退いた。

 

 「テメェー何者だ!?」

 

 「タイアン―――」

 「この工場を治めるP3様の配下。」

 

 タイアンは感情の籠っていない機械的な声でそう答える。

 

 タイアンが3人を迎え撃つ。

 

 

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