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第438話 【最終決戦】英雄 天童 進 & 天聖 スターリン-キル VS 勇者 天童 真 & 危機管理の仕事人 徳川 将司②


アーク内部 第伍階層 観戦室~

 

 「うっ・・・」

 

 最終決戦を前に重たい目蓋を開き、起き上がる赤目。

 

 巨大なモニターに映し出される真と進の姿を目の当たりにしてすぐさまコレが最終戦だと察する。

 

 「とうとう、社長と進様が闘うのだな―――」

 

 未だ痛む腹部を抑え、何とか立ち上がろうとする赤目。

 

 「赤目さん―――!!」

 「安静にしていなきゃダメですッ!!」

 

 立ち上がろうとする赤目を必死に押さえつける百鬼。

 

 「いいところでお目覚めみてェーだな!!」

 「天童とクソ親父がこれから闘う!!」

 「天童には重たい一発かましてもらわねぇーと気が済まねぇぜ!!」

 

 新は拳を擦り合わせ、眼をギラつかせる。

 

 

アーク内部 第伍階層 現想~

 

 「早速、最終戦『現実と理想(リアル or フェイク)』のルールを説明するわね。」

 

 アドミニストレータは両手を広げ、その長い黒髪をなびかせる。

 

 アドミニストレータへ早く説明しろと無言の圧力を掛ける真。

 

 「ルールと言っても物凄く分かりやすく、単純。」

 「この何もない空間で闘ってもらう。ただそれだけ。」

 

 

 「なんだそれは?」

 

 あまりにも拍子抜けするようなルールに進が突っ込んだ。

 

 これまで、極寒地、大量の兵士を使った戦略戦、アークが落ちてくるリング、炎上する金網の上とバラエティ豊かなフィールドやルールだったのに、この最終戦ではもっともシンプルなフィールドで、もっともシンプルなルール。

 

 拍子抜けするのも無理はない。

 

 「お互いが戦闘不能になる、もしくは降参を宣言する。」

 「それが敗北条件。今回は2 VS 2だから二人とも戦闘不能、もしくは降参することで勝負が決まるわ。」

 「まぁ、一人に対して二人で襲い掛かるも一対一で闘うもいいでしょう。」

 

 

 「本当にそれだけか―――?」

 

 

 「それはどういう意味かしら?」

 

 

 「性格の悪い貴様のことだ―――」

 「たったそれだけのハズがない―――」

 「私に虚偽の報告は意味をなさない。」

 「それくらい分かっているだろう?」

 

 

 真がアドミニストレータに対して確認した。

 

 これまでの傾向からアドミニストレータの用意する勝負がそんな単純ではないことくらいこの男にはお見通しだった。

 

 

 「フフフ・・・よく分かってるじゃない。」

 「まぁ、この殺風景。」

 「ただ、殺し合いをするだけじゃ、物足りない。」

 「そこで、このフィールドでは一つだけ特別な仕様が存在する。」

 「とは言っても試合の展開に直接影響するわけじゃない。」

 

 

 「ほう。なんだ―――」

 「言ってみろ―――」

 

 真が見下すような眼でそう云った。

 

 「ここは現実と理想を魅せるフィールド。」

 「つまり、この何もない床、壁、そして天井に、勝負の最中、幾度かある映像を映す。」

 「その映像が何か貴方達に直接、危害を加えることはないわ。」

 「無視して闘うもよし、皆で鑑賞するもよし―――」

 「別にその映像が流れている間勝負が中断するというようなことはないわ。」

 

 

 「その映像とはどのようなものでしょうか?」

 

 徳川がアドミニストレータへ尋ねる。

 

 余裕のある表情で、とても紳士的だ。

 

 「それは今は言えないわ。」

 「勝負の最中のお楽しみってことで―――」

 

 不気味に笑うアドミニストレータ。

 

 そういえばこの女、本当に性格が悪かったんだ。

 

 どうせロクでもない映像に決まっている。

 

 と、そう思う進であった―――

 

 

 「フフフ・・・そろそろ勝負を始めましょうか。」

 「制限時間は他の試合と同様、この空間における一時間。」

 「それで勝負がつかない場合は私のジャッジによる勝敗判定を行います。」

 「異論はないわね―――?」

 

 

 「あぁ―――勿論だ!!」

 

 「問題ないなの―――」

 

 

 「私も問題ございません―――」

 

 「さっさと始めろ!」

 

 四人の承諾を得たところで、アドミニストレータの開戦の合図が送られた。

 

 全てを決める。

 

 全てが明らかになる。

 

 そんな最終決戦が開始された。

 

 まずはキルが動き出す。

 

 「影魔法:影移動シャドームーブ

 

 床に這いずる影に同化し、真を狙う。

 

 「ッ―――!!」

 

 「徳川―――」

 「任せるぞ!!」

 真は徳川に命令を下す。

 

 

 「かしこまりました―――」

 

 徳川は背面に隠していたソハヤの剣を抜き出す。

 

 ぬるぬると動くキルの影を斬りつけようとその刀身を振るう。

 

 「私の眼は毎秒100発放たれるガトリングガンの弾道も容易く見切ることが可能です。」

 「それに比べたら心様の動きなどまさに止まって見える。」

 「心様とはいえ、社長の命令です。容赦はいたしません!!」

 

 キルの動きを捕捉し、完全に捉えた徳川。

 

 その一閃がキルへ向けられる。

 

 「進様ッ―――!?」

 

 「残念だったな徳川―――」

 「オレもいるぞ!!」

 

 雪月花でソハヤの剣の一撃を受け止める。

 

 「オレもこうして戦場で相対している以上、容赦はしないッ!!」

 「いくぞ!!徳川ッ!!」

 「天童流剣術:満月まんげつ!!」

進は地面を蹴り上げ手に持った剣で円弧を描くように一回転し、鋭い斬撃を徳川へ放つ。

 

 「逆回転の太刀筋。」

 「人間技ではありえない領域―――」

 「そんな技をこの私に、何とも光栄でございます!!」

 

 嬉しそうな笑みを浮かべる徳川。

 

 天童流剣術が身に降りかかろうとするその時、ここまで嬉しそうにしている者はこの男くらいであろう。

 

 徳川はソハヤの剣を縦に持ち、満月と1ミリもずれることない全く同じ軌道上に刀身を構えた。

 

 キキィィーーーンン!!

 

 金属同士が擦れ合う、高い音が響き、徳川は衝撃で勢いよく靴底を引きずり、後退する。

 

 「天童流剣術を受けて、五体満足な男もそうはいない―――」

 「徳川・・・やはり侮れない男だ。」

 

 徳川 将司、あの歴史上の徳川家康の子孫。


 幼いころより、徳川家の者として剣術を修めてきた。その腕前は天童家にも引けを取らない。


 「お褒めのお言葉ありがたき幸せでございます―――」

 

 「フフン・・・」

 

 進と徳川が斬り合いをするなか、キルは真の首を狙い、迫る。

 

 「この間の借りを今返すの!!」

 

 影の中から飛び出すゴスロリの少女。

 

 その手には漆黒の鋭利な大鎌。

 

 「先の戦いでお互いの実力差は分かったであろう―――?」

 「何故、まだ戦おうとする?」

 「まだ反抗しようとする?」

 「"天災"である私に噛み付くということがどれほど愚かであるか、まだ分からないというのか。」

 

 「オジさんがどれだけ強いかなんて関係ないの―――」

 「貴方は私の家族を傷つけた!!」

 「貴方が"天災"だって言うなら、私は"天才"なの!!」

 「この闘いで絶対に貴方なんて超えてみせるの!!」

 

 

 キルの大鎌が空を切る。

 

 優れたアスリートを遥かに凌駕する真の体幹。

 

 胴体の動きだけでキルの攻撃をいなす。

 

 それでもキルは攻撃を止めない。

 

 次第に鋭くなるキルの攻撃。

 

 「ふむ。貴様・・・私の動きを学習し、予測しているな―――」

 

 キルは間違いなく戦闘の"天才"。

 

 幼少期から敵を殺すことで、強くなってきた。

 

 彼女は天才であるが故に戦闘中に強くなる。

 

 相手の癖や動きを感じ取り、先回り、精密は攻撃を行うことが出来る。

 

 そんなキルの進化を感じ取り、真も剣を抜く。

 

 「いいだろう―――」

 「我が娘よ―――」

 「所詮貴様など、ただの実験体に過ぎんッ!!」

 「進という人類の希望を生み出す為の踏み台にしか過ぎんのだよ!!」

 「そんなに死にたいのなら、貴様を殺してやる!!」

 

 真の眼に殺意という炎が浮かび上がる。

 

 

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