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第437話 【最終決戦】英雄 天童 進 & 天聖 スターリン-キル VS 勇者 天童 真 & 危機管理の仕事人 徳川 将司①


アーク内部 第肆階層 観戦室~

 

 「社長―――」

 「この徳川、勝手なことを言いだしてしまい、申し訳ございません―――」

 

 徳川は目を閉じ瞑想中の真の前で一礼、謝罪の一言。

 

 過ぎてしまったことだが、徳川の心に後悔の念は無し。

 

 彼自身、この親子がどうなるのか、興味は尽きない。

 

 そして、できれば和解というルートを辿ってほしいと心の底から願っている。

 

 徳川自身、真がどういう判断、決定を下そうがそれに従い、付いていくつもりではある。

 

 「徳川―――」

 「私は別にお前のことを責めたりはしない―――」

 「私たちのことを思っての行動―――」

 「そうなのであろう?」

 

 閉じていた眼を開き、徳川に問うた。

 

 「それは勿論、その通りでございます。」

 

 すかさず、返事をする徳川。

 

 「ならば、誰がお前を責められようか。」

 「そこに戦場があるならば、私は闘う。」

 「ただそれだけのこと。」

 

 真はもたれ掛っていた壁から背を放し、前へ出る。

 

 この最終戦の舞台へ転移する為。

 

 「おうおう!!」

 「ついに出てきやがったぜ、俺達の親父オヤジがよぉ―――!!」

 動き出した真を前にガンを飛ばし、睨みつける新。

 

 「ようやくだ―――」

 「ようやく、決着が付けられる。」

 

 

 進は両手に着けているガントレットを締め直す。そして、身に着けている武具に破損がないかチェックする。

 

 最終戦に向けた戦闘態勢を整える。

 

 「進ちゃんは既に第一回戦で戦闘をしているので、お姉さんが特別に体力回復させてあげま~~っす!!」

 

 アドミニストレータが特殊な魔法を進に掛ける。

 

 進の全身が光り、体力と魔力が回復していく。

 

 どうやら、この最終決戦に向けた配慮ということなのだろう。

 

 一人だけ、一回戦で闘い、余計に消耗をしているから。

 

 「おお、ラッキー!!」

 「まさか決戦前に体力回復してくれるなんて―――」

 「天童、よかったな!」

 

 

 真も徳川も別段、アドミニストレータのその行為を非難しない。

 

 不敵な笑みを浮かべながらも、不満は口に出さない。

 

 そんな二人の様子を見た進。

 

 「アドミニストレータ―――」

 「一つ頼みがある。」

 

 

 「んーー、なーに?」

 

 

 「キルや父さん、徳川も同じように体力を回復してやってくれないか―――?」

 

 進はアドミニストレータにそう頼んだ。

 

 

 「ほう―――」

 「自らの優位性を放棄するというのか―――」

 「我が息子よ!!」

 

 真がそう口にした。

 

 「お互いに全力でやりたい!」

 「父さん達だって、ここに来るまで戦闘をしてきたんだろ?」

 「だったら、全員ケガを治療してもらうのが平等(フェア)ってものだ!!」

 

 

 常に正しくありたい。

 

 そう心に、精神に刻み込み、ここまでやってきた進。

 

 たとえ相手が汚い手を使ってこようが、それは勝負の世界。

 

 理不尽の連続、それこそが勝負の世界というもの。

 

 自分にとっての都合の良い展開、妄想など端からありはしない。そんな甘えた考えは最初から持ち合わせてなどいない。

 

 そんな進だからこそ、自分は理想を貫きたいと思っている。横から邪魔はされるかもしれない、それでも、譲れない誇りプライドは持っている。

 

 「進ちゃんがいいなら、私はかまわないわ―――」

 「でも、本当にいいのね?」

 「もしかしたら、今なら貴方のお父さん、勝てるかもしれないわよ?」

 

 「あぁ―――やってくれ」

 「全力でない父さんに勝っても意味はない―――」

 

 そう言い切った進。

 

 アドミニストレータは他の三人にも同様に体力、魔力を回復させた。

 

 「進―――」

 「こんなことを聞くのはアレかもしれないが、勝算はあるのか?」

 

 リオンが心配そうに聞いてきた。

 

 「前に進とあの魔族の二人掛かりであの父上に手も足も出なかったのだろう?」

 「それに今はさらに怪物級の男が相手にいる。」

 「勝てる見込みのある相手なのか?」

 

 「リオン―――」

 「―――心配するな」

 「オレはもう負けない―――」

 「オレには待ってくれている人がいる。」

 「期待してくれる人もいる。」

 「それに背負っているモノもある。」

 「理由なんてそれだけで十分だ。」

 

 

 「進・・・」

 「生きて戻ってこいッ!!」

 「必ず、生きて戻って来るのだぞッ!!」

 

 

 進はリオンを背にして、戦場へ向かう。

 

 

 一方、キルの方はぬいぐるみとなったモレクを肩から降ろし、闘い前の会話をしていた。

 「モレク様・・・」

 「それじゃあ、行ってくるの―――」

 

 妙な落ち着きを見せるキル。

 

 「うむ―――」

 「無事にな。」

 「私はお前の帰りを待っている―――」

 「いや、私だけじゃない、私達、家族・・がお前の帰りを待っているからなッ!!」

 モレクは両腕を組み、闘いに臨むキルを送り出す。

 

 「家族・・・」

 「うん!!行ってくるの!!」

 「絶対、勝ってくるの!!」

 

 こうして、聖王国の王権を巡る最終決戦が始まろうとしていた。

 

 「アプステェア~~~っ!!」

 

 これまでと同じで、アドミニストレータが合図をした瞬間、床が光り動き出す。

 

 ついにこのアークの頂上、第伍層へ階が動き出した。

 

 「それじゃあ、最終戦『現実と理想(リアル or フェイク)』を始めるわね―――」

 

 進とキル、真と徳川の四人は何もない、床も壁も天井も全てが白い殺風景な空間へ転移させられた。

 

 それ以外の者は他の大戦時と同じように観戦室へ転移させられた。

 

 「まるで第零階層と同じだな。」

 

 別に変ったものは何もない。

 

 「それじゃあ、今からこの四人には、理想と現実を賭けて勝負をしてもらいます―――」

 

 アドミニストレータが四人の間に割って出現した。

 

 その瞬間、真は剣を抜いた。

 

 その刃をアドミニストレータの首に向け―――

 

 「真ちゃ~~ん、先走り過ぎよ~~~」

 

 寸でのところで、真は刃を止めた。

 

 他の三人は、微動だにすら出来なかった。

 

 「女神アークよ―――」

 「ここは既に戦場だ―――」

 「その戦場で、この私を前に少し無防備過ぎないかね?」

 

 「あら?そうかしら?」

 「でも貴方は私を斬っていない―――」

 「元より、斬るつもりなんてなかった?違うかしら?」

 「勇者さん―――」

 

 「・・・・・。」

 

 

 真は何も言わずにアドミニストレータに向けていた刃を鞘に戻した。

 

 「それじゃあ、気を取り直して最終戦『現実と理想(リアル or フェイク)』始めて行くわよ~~!!」

 

 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] もしかしたら、今なら貴方のお父さん、勝てるかもしれないわよ?」 ↑ もしかしたら、今なら貴方のお父さんに勝てるかもしれないわよ?」 の間違いですね。
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