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【完結】エレベーターに乗ったら異世界に来てしまった件 ~大切な幼馴染を追いかけて異世界に来た天才少年は聖女しか使えないハズの治癒魔法の才能を開花させる~  作者: ゆに
第6章 エレベーターに乗ったら異世界に来てcarnivalをカーニバルと読まされた件

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第433話 【第肆回戦】不正天使 朝霧 鏡花 VS エンタメの仕事人 円能寺 律哉⑬


アーク内部 第肆階層 炎上する円状レッド・サークル

 

 追い込まれる鏡花はついに遊戯領域ゲームテリトリー-もう一つアナザーフォームを破った。

 

 円能寺が隠していたゲーム機を破壊したことで奪われた天使の力も鏡花に戻った。

 

 

 「ぐわああアアァーーーッッ!!」

 苦しそうに叫ぶ円能寺。自らが仕掛けた罠を逆に利用され、果てしない苦痛を受けていた。

 

 「もう終わりよ・・・。」

 

 「グウうううぅ―――、っ―――!!」

 

 「天使の力・・・返してもらったわ―――」

 

 鏡花は自らの身体に再び取り返した天使の力を感じる。

 

 炎上リングを二つ装着していても天使の力があれば、戦闘面では心強い。

 

 「これで俺は・・・・終わり?死ぬ?」

 「苦しい、苦しい、苦しい・・・・面白い?面白くない・・・!」

 「助けて・・・!!社長―――!!」

 

 その瞬間、円能寺の炎上ポイントが10加算された。

 

 『社長』が鏡花の設定した三つ目のNGワード。

 

 現在炎上ポイント

 円能寺:70ポイント

 鏡花:60ポイント

 

 三つ目の炎上リングを装着する円能寺が、今はそれどころではない。

 

 心の臓を手で押さえ、呼吸を荒くする円能寺。

 

 「残念だけど・・・これで貴方はお終いよ―――」

 「天童君たちの目的を達する為、私は勝たなければならない。」

 「これは私自身の贖罪でもあるのだから―――」

 

 闘いの決着は近い―――

 

 「そんな・・・?」

 

 

 苦しい時こそ、誰も助けてくれない。そんな当たり前のことが円能寺の頭を支配していた。

 

 締め付けられるような苦痛の中、円能寺の頭の中で傾きかけていたスイッチがついにカチッと音を立てた。 

 その瞬間、鏡花が見ていた数秒後の未来が書き換わる。

 

 

 「ッ―――!?」

 

 今、確かに未来が変わった―――

 

 どういうこと?

 

 今まで私の《天眼》で視えていたものが急に視えなくなるなんて。

 

 「っ―――、―――・・・」

 「も・・・かい?も・・・よ―――」

 

 それまで痛みのあまり叫び声を上げていた円能寺の声が止み、その顔には陰りが出てきた。

 

 円能寺の髪は逆立ち、まるで別人のような気配を身に纏い、鏡花の前へと立った。

 

 それはこの勝負で時折見せていた、別人格の円能寺の気配。

 

 それが完全に表へと出てきた。

 

 「少し―――」

 「昔のことを思い出していた・・・。」

 

 「俺は大切な人を失った・・・」

 「とても大切な人だった―――」

 「人は何故いつかは死ぬ?何故、病気や事故で命が消える?」

 「永遠を生きられない?」

 「お前ら神々のような存在が人間を恐れたが故にその存在を完璧にしなかった。」

 「死というデメリットを付与したおかげで悲しみが生まれる。」

 「だから俺はゲームの世界に憧れた。」

 「設定一つで周りから称賛され、やりたいことをやれ、誰も死ななくなる。」

 「そこは誰もが輝ける平等な世界―――」

 「俺達がやろうとしてることは現実世界をゲームみたいな世界に変えること!!」

 「死んでもやり直せる。セーブできる!!そんな世界を創る!!」

 「そうすれば、人間は死を克服できるんだッ!!」



 「死を克服ですって―――?」

 「別に神々が人間に死を与えたわけじゃないわ―――」

 「神だって、天使だって、いずれは死ぬ。」

 「誰だって、本当の死を克服した者なんて存在しないわ。」

 「貴方が理想としてる世界は偽りの世界!」

 「全ての人間が力を持てばそこで起こるのは争いや戦争。」

 「貴方だって本当は理解してるんでしょ?」

 「そこでまた力のない者達が犠牲になる世界ってことを!!」

 「本当の平等なんて神にだって、誰だって作れはしないのよッ!!」

 

 

 「そんなこと認めないッ!!」

 「認められるわけないじゃないかッ!!」

 

 円能寺は鏡花に襲い掛かる。

 

 人格が変わったことで痛みが消えたのか。

 

 しかし、痛みを感じなかろうと、人体へのダメージが消えたわけではない。

 

 元々パフォーマンス能力がそこまで高くない円能寺の攻撃を天使の力を取り戻した鏡花が避けることはそこまで難しくなかった。

 

 

 「ぐおっ!!」

 

 鏡花は円能寺の刃を華麗に避け、背後から蹴り飛ばす。

 

 「もう貴方は詰みなの・・・。」

 

 

 

 「俺は負けないッ!!」

 「負けたくないッ!!」

 「俺は数あるゲームを勝ち抜いてきた円能寺 律哉だぞ!!」

 

 円能寺は歯を強く噛み締め、鏡花を睨みつける。

 

 

 「いいえ。」

 「貴方は誰でもない―――」

 「誰でもないのよ・・・」

 

 「神法術:天地神命霊光波!!」

 

 円能寺のを取り囲むように光の柱が出来上がる。

 

 「せめて、相打ちに・・・!!」

 「相打ちにさせてもらうぞ・・・!!」

 「『熱い』!!『イカサマ』!!『社長』!!」

 

 円能寺は立て続けに鏡花が設定した3つのNGワードを声にした。

 

 「ッ―――!?」

 

 その行為に何の意味があるのか。

 

 鏡花の理解が追い付かない。

 

 +10、+10、+10

 

 円能寺の炎上ポイントがついにMAX値100となった。

 

 その瞬間、円能寺の全身が紅く燃えた。

 

 「『炎上モード』!!」

 円能寺はそう口にした。

 

 「どういうことかしら・・・。」

 

 「今から一分間だけ、俺は最強になる。」

 「だが―――」

 「それを超えたら、俺は燃え尽きるだろう。」

 

 「それを耐えることが出来たら、アンタの勝ちってことだ!!」

 

 そう、この第肆回戦炎上する円状レッド・サークルの隠されたルール。

 

 円能寺はその隠されたルールに気付いていた。

 

 炎上ポイントは基本的に境界値を超えたら、自分のステータスが半減し、スキルがいくつか封印されるデメリットしかない。

 

 しかし、炎上ポイントをMAX値100まで溜めた場合、その者は『炎上モード』といって、一分間だけ自分の身体の限界値を遥かに超える力を得ることが出来る。

 

 いわゆる無敵になることができる。

 

 円能寺はこのゲームの仕組みを内から盗み見たとき、そのことに気付いていた。

 

 鋭いッ―――!!

 

 円能寺の燃える拳が鏡花の頬を掠る。

 

 「さぁ、終曲フィナーレは始まったッ―――!!」

 

 「最期まで楽しもうぜッ!!」

 

 円能寺と鏡花―――二人の闘いが終わりを迎えようとしていた。

 

 

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