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第43話 それぞれの夜



 マリーがエリアさんたちのテントに連れていかれた。

 

 俺自身も寝ようかと思っていた頃―――

 

 「ススム君せっかくだからウチのパーティのテントに遊びに来ないか?」

 

 フラムさんがこんな提案をしてくれた。

 

 せっかくのお誘いだから無下にもできないし、このまま寝るのもなんだかなと思って、誘いに乗ることにした。

 

 「お言葉に甘えてお邪魔させてもらいます。」

 

 そう言ってレッドカーネーションの男性陣たちがいるテントに案内された。

 

 「ススム君を連れてきたぞ!」

 

 フラムさんが大きな声で紹介をしてくれた。

 

 「君がススム君か!」

 

 顔に数多の傷がある大柄な男がそう言ってきた。

 

 「いい機会だし、レッドカーネーションのメンバーを紹介しようか。」

 

 フラムさんにレッドカーネーションの人たちを紹介してもらった。

 

 「こちらはレッドカーネーションの前衛のジャン。」

 

 「俺はナイトのジャンだ。よろしく!」

 

 「で、こちらが後衛の魔術師セブランさん」

 

 「セブランじゃ、老体には少々きつくなったが、まだまだ若いもんには負けてられん。」

 

 「ここにはいないけど、女の子はシーフのエリア、アイテム士のエマがいる。」

 

 進は、ジャンとセブランに握手をして挨拶をした。

 

 「ススム君には"あの事"は話してある。」

 

 「今日は、レッドカーネーションのことを知ってもらいたいから連れてきた。」

 

 「おいおい、固い話は後にして、もう一杯飲もうぜ!」

 

 「オレはまだ未成年ですよ。」

 

 進はまだ15歳、日本では未成年の飲酒は法律で禁止されている。

 

 「そうなのかい。とても落ち着いていて大人みたいに見えるが。」

 

 フラムさんはとても驚いていた。

 

 「なので、今日はこれを飲みます。」

 

 そう言って、進は自家製のお茶を収納のスキルで取り出した。

 

 「それって"収納"のスキルじゃないか?」

 

 さらにフラムさんは驚き、開いた口が塞がらなくなっている。

 

 「ええ、そうですけど―――」

 

 「君にはいつも驚かされる。」

 「アイテム収納できるスキルなんて最高クラスのレアスキルだよ。」

 「どのくらい凄いかというと、商売なんか始めれば確実に巨万の富を得ることができるくらいには凄い。」

 

 レッドカーネーション面々は進の持つ収納のスキルに感嘆していると、だんだん進は恥ずかしくなってきた。

 

 「僕は料理が趣味なんで皆さんもお茶をどうぞ!」

 

 少し強引だが、話題を反らす為に3人にお茶を振る舞った。

 

 「ちょっとエールに似た色だな。」

 

 「これがお茶ってやつか。」

 

 「では頂こうかの。」

 

 

 「「「ニガッ!!!!」」」

 

 三人の感想は一緒だった。

 

 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 [マリー視点]

 

 一方その頃マリーのいる女子のテントでは。

 

 レッドカーネーションのエリア、エマ

 

 今回同行しているBランクパーティ:ブルーイーグルの女戦士ジゼール。

 

 そして、進と一緒に参加したマリーであった。

 

 テントの中では今まさに女子会が行われようとしていた。

 

 「マリーちゃんってススムちゃんと一緒に旅をしてたん?」

 

 いきなりエリアが聞いてきた。

 

 「そうですけど、知り合ってまだ日が浅いですよ。」

 

 「やっぱ惚れてたりするの?」

 

 「ぶはぁ!!?」

 

 唐突な質問だったため、マリーは驚いて噴き出してしまった。

 

 「ススムさんに惚れてたりなんかしませんよ!」

 

 マリーは照れながらブンブンと両手を振り精一杯否定する。

 

 「本当かな~?」

 

 「ほらススムちゃんってうちのフラムちんといい勝負するじゃん。」

 「フラムちんといい勝負する男なんてほとんどいないよ?」

 「マリーちゃんにその気がないなら私がコクっちゃおうかな~?」

 

 「止めてくださいよ!?」

 

 「おい、エリア新人を虐めるのはその辺にしておけ。」

 

 茶化してくるエリアを制止したのはジゼールだった。

 

 「私は断然フラムの方がタイプだぞ!」

 

 いやいやこの人もエリアさん以上にアレだった。

 

 「やはりあの紳士的な態度に私以上の実力、惚れない方が可笑しい。」

 

 「う~んまぁそうだよねぇ。」

 「じゃあジゼールちゃんもうちのパーティに来る?」

 

 「それは嬉しい誘いだが、ムリだ。」

 「私はウチのリーダーに恩があるんでな。それを返さん内は他のパーティに移る気はない。」

 

 「あ~そっかジゼールちゃんにはあの件があったか。」

 

 「ねぇねぇエマは惚れてる男とかいないの?」

 

 「・・・・。」

 

 「私は―――、ジャン君かな?」

 「いつも元気で私には無いものを持ってる。」

 

 内気な少女はか細い声で言う。

 

 「ああジャン君ね。」

 「確かにいい奴だし、エマとはお似合いだと思うわ。」

 

 冒険者の女性もやっぱりそういう恋愛の話って好きなんだ。

 

 ロレーヌの村にいたときは、ほとんど同年代の女の子がいなかったため、そんな風に思うマリーであった。

 


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