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第281話 【親子対決!?】天才 天童 進 & 天才 スターリン-キル VS 天災 天童 真④


~シュトリカム砦内~

 

 さっきまでオジさんは《剛力》のスキルなんて持っていなかったの・・・!!

 

 まさか、スキルを生み出したの・・・!?

 

 何が原因か分からないが、今はそれよりも真に捕まっていることをどうにかしないといけない。

 

 万力の如き握力で、自分の足首が掴まれる。真の握力なら簡単に骨を砕くことだって出来るのにまだそれはしていない。

 

 その気になれば、真の刀剣で自分の身体を切り刻むことだって出来るのに、それすらしていない。恐らく、まずは自分を痛めつけてから、斬るつもりなんだろう。

 

 だが、そんなことはさせない。

 

 「クッ・・・抜けないの・・・!?」

 

 ギュッと掴まれた足は血管が浮かび上がるくらいの強い力で掴まれている。

 

 掴んだ手が離れないなら、向こうから離したくなるようにすればいいだけなの!

 

 キルは収納のスキルで、弩を取り出し、真の脳天を目掛けて発射する。

 

 スンっと軽い音がして矢が放たれる。

 

 この超至近距離―――どう対処するの?

 

 いきなりの弩に手を離して後ろに後退すると思っていたが、真の動きはその真逆だった。

 

 「ウソ・・・なの!?」

 

 「いい動きだった!流れるような達人レベルの所作。」

 「恐らく私でなかったら、今のでやられていただろうなッ!!」

 

 真はなんと左手で放たれた矢を掴んでいた。真にとって止まったくらい遅いスピードの弩の矢を掴むことなど難しくもなんともない。

 

 どうやったらこの化け物を殺せるの?

 

 キルは思案するが、グッドな答えは出ない。

 

 だったら、いっそのこと自分の最大魔法をぶつけた方がいいのではという考えに至る。

 

  「極大影魔法―――」

 

 キルが魔力を込め、自分の持てる最大限の影魔法を行使しようとする。

 

 が、真はそんなことはさせない。

 

 ただでさえ極大魔法は発動までに多少の時間が掛かる。

 

 真は目の前で獲物が最大火力の攻撃を仕掛けるのをただ待っているような男ではない。

 

   "斬る"

   

   ただ斬るだけ―――

 

 右肩から斜めのバッサリと斬った。

 

 所謂、袈裟斬りでキルを斬り伏せる。

 

 「122番―――やはり、貴様は廃棄だッ!!」

 「もっと楽しませてくれるかとも思ったが、私の目の前でそんなに時間の掛かる・・・・・・技を使うようではダメだな!!」

 

 キルは肩から激しく流血をして倒れる。

 

 臓器も腹部から飛び出ている。

 

 今すぐにでも治療をしないといけないレベルだ。

 

 「キルに何をすんだよォォォーーーッ!!!!」

 

 それは意外だった―――

 

 お互いがお互いの事を嫌っていながら、キルが危なくなった時真っ先に飛び出してきたのは、他でもない進だった。

 

 自分でも驚いている。

 

 キルはこれまで大勢の人間・・・人間だけじゃない他の種族の生命をその手で奪ってきた。

 

 それも己の愉悦の為、奪ってきた。

 

 進はそんな輩に対して容赦はしない。

 

 慈悲はかけない。

 

 まして命を助けるなんてことは絶対にしないハズだった。

 

 だが、本能的に動いていた。

 

 キルの事を自分の妹だと本能に認めていた。

 

 だから見捨てない。

 

 絶対に助ける。

 

 思えば、クロヴィス城―――そこで既にその血がキルを殺さなかった―――いや、殺せなかった。

 

 進はキルとの死闘の末、キルの事を本気で殺そうとした。

 

 しかし、それは出来なかった。

 

 それは自分の妹だったから、自分と同じ血を引いた存在であることを本能的に感じ取っていたからなのだ。

 

 親族だから助けるのか?

 

 自分と同じ血を引いているから助けるのか?

 

 自分の妹だからといって、今まで自分の快楽の為に他者の生命を奪ってきた者を助けるのか?

 

 こんなものは自分がこれまで信じてきた正義には反する。

 

   "そんなことは分かっている!!"

 

 頭では理解している。

 

 だからこそ、自分でも分からない。

 

 何故か、キルの事になると身体が勝手に動いてしまう。

 

 助けないといけないと身体が動いてしまった。

 

 

  "オレの信じてきた『正義』って一体何なんだ??"

 

 「そんなに自分の妹が大切か?」

 「そんな能無し・・・を助ける為にわざわざ危険を冒す必要があるのかね?」

 

 真は尋ねた。自分の娘だろうが利用価値が無ければ簡単に斬り捨てる真からしたら不思議だった。

 

 最強の細胞が本当にそんな解を出したのか興味深いところだった。

 

 「能無しだと・・・?」

 「アンタにとって、この子はそうだって言うのかよ?」

 

 「―――??」

 

 「それ以外に何があるって言うのだ?」

 真は首を傾げながら、再度進に聞き返した。

 

  その態度はさらに進の堪忍袋の緒が切れさせた。

  

  

   「オレ達は・・・家族だろうがアァァーーーッ!!!」

   

   「何で殺し合う必要があるんだよォォ!!!」

 

 

 進と真―――二人の親子の対決は終わりが近い。

 

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