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【完結】エレベーターに乗ったら異世界に来てしまった件 ~大切な幼馴染を追いかけて異世界に来た天才少年は聖女しか使えないハズの治癒魔法の才能を開花させる~  作者: ゆに
第5章 エレベーターに乗ったら異世界に来て父親が勇者として召喚されていた件

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第237話 天才と魔王の闘い その後②


~亜空間内 魔族の街 民家~

 

 未央に連れられ、オレ達はこの亜空間で生活をしている魔族を紹介させてもらうことになった。

 

 「さぁ~~て、まずはどこの人達から紹介しようかな・・・。」

 

 未央はどこから紹介するか悩んでいた。そんな未央の視界にチラッと扉の前で腕を組んで待っているリカントが入った。

 

 「リカントちゃんの所から行こっかな!!」

 その未央の言葉に反応するようにリカントの瞳がパッと開いた。

 

 「ハッ!!かしこまりました!」

 「この者達を案内いたします!!」

 リカントは跪いて、未央の指示を待った。

 

 「う~~ん、私も行くよ!なんか面白そうだし!!」

 

 「分かりました!!ではこれから案内いたしましょうか!」

 スッと立ち上がり、オレ達はリカントの後を付いて行くことにした。

 

 

~亜空間内 魔族の街~

 

 「へェ~~ここよく見たら、色んな店とかやってんだな~!」

 リカントについて行く中、新が街中をキョロキョロと見て、そのことを呟いた。

 

 「そそっ!この街は魔族の人達で作ったの!!」

 「スゴイでしょ!!」

 未央が手を広げて、嬉しそうに語る。この亜空間は初めてオレが発見した時、本当に何もない無人の大地だった。それを一カ月半余りでここまでの街へと発展させたのが、ここに住む魔族たちなのだ。

 

 オレもその街づくりには協力したが、実際に動いてくれたのは、リカント達だ。

 

 「でもよ~あのクロヴィスでの闘いで城にいた魔族ってこんなにいなかったよなーー??」

 新が首を傾げて、疑問を上げた。

 

 「それはだな・・・。」

 「サンドルがクロヴィス城を去った後、すぐさま魔族領にいる私の配下の者達に連絡をして、亡命の意思のある者達を集めて転移のスキルで脱出させたのだ。」

 「どの道、サンドルにあの大地を支配させたらロクな事にならないのは容易に想像がつくからな。」

 そんな新の疑問にリカントが答えた。

 

 「ふ~~ん、アイツもあんまり人望ってヤツがねェ―のかね。」

 新は何となく理解したようで言葉を続ける。

 

 「いや、私が言うのもなんだが、サンドルはカリスマ的な人望がある。」

 「元々、魔族は好戦的な者の方が多い。私たちのような穏健派の方が珍しいのだ!」

 「この街はそんな穏健派の魔族たちを集めた!!それ故、ここまで特に何も問題なく、街の発展を行うことが出来た。」

 

 リカントは丁寧にオレ達に説明をしてくれた。まぁ勿論、オレはそのことを知っていた。なぜならその話を持ち掛けたのはオレの方なのだから。

 

  "未央を保護する土地が必要だった。"

 

 そのため、オレはこの亜空間に目を付けた。ここなら他の種族の者達が来ることはまずない。ジャハンナムのベリヤに空魔法で亜空間に繋がることを聞き、この亜空間を開拓する案をリカント達に持ちかけた。

 

 最初は考え込んでいたヤツだが、オレと同じで未央を守りたい気持ちは変わりなかったため、この条件を飲んだ。

 

 サンドル達を討つまでオレ達は協力体制を築くことにした。

 

 「へェ~~そいつはご苦労なこった!もぐもぐ・・・。」

 新はいつの間にか街の出店で購入した焼いた魔物の肉を食べてながら話を聞いていた。

 

 「何だが、リカントさんって思ったより怖くないですね。」

 そんなことをポツリと呟いたのはマリーだった。

 

 リカントは一瞬、チラリとマリーの方を一瞥する。

 

 「そうなのよね~~!!リカントちゃんはあんまり怖くないのよ!!」

 未央はマリーの言葉に応える。

 

 噂話が好きな女子特有の感じを出しながら。

 

 「そ、そうなのか・・・確かにリカント殿については、ルーガルの村で伝説を聞いたが、良い武人だったぞ!!」

 リオンも二人の会話に参加する。

 

 「えっ、リオンちゃん達もリカントちゃんの過去話知ってるんだ~~!!」

 

 「~~!!」

 

 何やら、後ろの方で女子トークが盛り上がってしまっている。

 

 前を先行するオレ達、男性陣は何とも言えない気持ちになっていた。

 

 

 うん、コレはアレに似ているな。

 

 教室で複数の女子が誰かについて噂話をしている時のアレに似ている。自分の事ではないが、割と近しい者についての話なので、反応するか困って、結局何も言えなくなるアレだ。

 

 で、結局その話が本人の耳にまで入り、その本人もどう反応していいのか分からなくなる現象。

 

 決して陰口ではないのだが、反応に困るのだ。特に気にしていないのは今ももぐもぐと肉を貪っている新だけで、オレとフラムさんなんて既に後ろの女子トークによってお通夜状態だ。

 

 きっとリカントも今、後ろの女子トークを聞き流してはいるが、内心反応に困っているのだろうな。

 

 

 「着いたぞ!!」

 そんなこんなで、女子トークは花を咲かせつつも目的の場所へと到達する。

 

 「オォーーーッ!!スゲェな!!」

 

 「こんな広い農場は見た事ない・・・!!」

 

 フラムさんと新は目の前に広がる雄大な耕地。

 

 規則正しく帯状に区画された農地―――この農地は実験的に三圃制を採用している。コレはオレの提案だが、この広い耕地を活かし且つ、生産力を上げる方法として、この方策を提案した。

 

 三圃制とは簡単に言えば、耕地を3つに分け、それぞれを豆や大麦を栽培する春耕地、小麦やライ麦を栽培する秋耕地、放牧を行い農地を肥やす休耕地として運用していく農法だ。

 

 それを魔族の人達に運営してもらっている。

 

 この方法が上手くいけば、食料に困ることはなくなるだろう。

 

 ここの地は幸運なことに土壌も悪くはないしな。

 

 「コレはコレはリカント様!!」

 「今日はどういった御用でしょうか!?」

 

 奥の小屋から厳格そうな魔族の男が現れた。頭にはヤギの角、そしてヤギの尻尾をしてはいるが人型の魔族だ。

 

 オレは念のため、魔眼で男のステータスを確認しておく。

-----------------------------------

名前:ケルベル

種族:サテュロス

性別:男

Lv.70

クラス:演奏家

残SP: ??SP

◆状態◆

◆パラメータ◆

体力:523

筋力:411

魔力:661

物理抵抗力:469

魔力抵抗力:822

精神力:721

器用さ:640

素早さ:621

◆装備◆

武器:?

防具:?

◆アクティブスキル◆

《演奏Lv.Max》《鑑定Lv.Max》《草魔法Lv.Max》《羊飼いLv.Max》《笛Lv.Max》《魔力制御Lv.Max》《呼吸Lv.Max》《熱死線Lv.Max》《音波Lv.Max》《精神支配Lv.Max》《飛翔Lv.Max》《復元Lv.Max》《楽器整備Lv.Max》《楽器生成Lv.Max》《楽器操作Lv.Max》《音色操作Lv.Max》《音響反射Lv.Max》《空間把握Lv.Max》《音可視化Lv.Max》

◆パッシブスキル◆

《自動体力回復Lv.Max》《自動魔力回復Lv.Max》《精神支配耐性Lv.Max》

◆ユニークスキル◆

《人生のハーモニー》

◆称号◆

魔界の演奏家

-----------------------------------

 

 「今日は未央様の命によりこの者達を案内しに来た!!」

 

 「おおっ!!貴方は確か、我々にここを紹介した・・・"テンドウ ススム"様!!」

 「私はリカント様の忠実なシモベであり、魔界の演奏家 ケルベルと申します!!」

 「何か奏でる機会があれば、ぜひ私を御呼び下さい!!」

 男は一瞬、名前を思い出すような仕草をした後、自己紹介をした。

 

 確かにこの者のスキルには演奏というスキルがある。恐らく、楽器を操ることに長けているのだろう。

 

 「あぁ分かった!!その時はぜひ頼むよ!!」

 オレは握手をして、挨拶を済ませた。

 

 後ろにいたマリー達もケルベルと順に握手をしていった。

 

 「実際のここで作業をしている者は他にもいるのですが、今は私一人ですね!」

 「まぁ私がここの責任者ですので、あまり問題はないとは思いますが・・・。」

 

 リカントによると、このケルベルという男は、元々魔族領でも穏健派の代表のような男で、無為な争いを好まず、音楽による自己表現に研鑽を積んできたらしい。

 

 そんな、ケルベルの挨拶も一通り済んだその時、野原を猛ダッシュで走ってくる者が現れた。その後ろにはよく見ると、全長3メートルは超える黒い巨大な羊が追いかけているではないか。

 

 「オイ、オイ、オイ!!ヤベッェーーーよ!!アイウーーート(助けてくれェーーー)!!」

 

 アイウート?

 

 イタリア語で助けてくれか。

 

 なんでイタリア語?

 

 オレはそう思ったが、その者を助けることにした。

 

 「空魔法:短距離転移ショートワープ!!」

 

 オレはショートワープを使い一瞬で、その巨大な羊の懐へと入り込んだ。

 

 「ハァーーッ!!」

 懐にぶら下げていた鞘から刀を抜き、柄部分を思いっきり羊の腹へと叩き込んだ。

 

 筋力値800を超えるオレが思いっきり、攻撃しているのだ。羊もタダでは済まない。

 

 羊の図体は僅かに宙へと浮き上がる。

 

 「殺すのはマズいか・・・。」

 

 オレは両手に気を込め、羊の腹を数回殴った。

 

 羊はバタリとその場で倒れ込んだ。

 

 「いや~~助かった!!」

 「グラッツェ(ありがとう)!!」

 

 だから何でイタリア語?

 

 オレは心の中でツッコんだが、特に言葉には出さなかった。

 

 その者も魔族でどうやらこの農場で働いているようだ。

 

 名前をシルクというらしい。

 

 シルクも一通り挨拶を澄ますと、オレ達はまた別の魔族の所へと行くことになった。

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