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第208話 魔王には第二形態があるって知ってた?


~クロヴィス城 城内~

 

 白熱する進と未央の闘い―――魔王としてのステータスを持つ未央を持ち前の戦闘センスで圧倒する進、押されていく未央はついに真の力を解放しようとしていた。

 

 「うん...このままじゃ私は負けるね...」

 

 進の聖剣技を受け、未央の纏う鎧には一筋の傷が刻み込まれていた。ステータス的には未央の方が高い。しかし、戦闘経験は圧倒的に進の方がある。普通にやっても勝てないことは戦闘の素人である未央にだって分かる。

 

 

  "それでもこの闘いには負けられない"

 

 

 そして、未央にはこの闘いの勝敗とは別に一つだけ必ずやらなければならないと決めていたことがあった。

 

 「進ちゃんはゲームとか得意だったよね...」

 未央は突然、そんなことを口にした。

 

 進は構えていた剣を下げ、未央の言葉に耳を傾ける。

 「突然何かと思えば...オレはドラク〇、F〇、マリ〇から始まってあらゆるゲームをクリアした男だ」

 「未央だって、オレに付き合わされてよく遊んでいただろ...?」

 

 「ハハハ!そうだったね!」

 「いや~進ちゃんに散々付き合わされたっけ...」

 未央は昔の記憶を思い出したかのように腹を抱えて笑い出した。

 

 「そんなゲーム好きの進ちゃんなら分かるよね?」

 「"魔王"には第二形態があるって...!」

 「ユニークスキル:進化の極意!!」

 

 そう言うと、未央の身体を高密度の魔力が覆いつくす。

 

 「ハアアアアァァッ...!!!!」

 

 ビリビリとオレの肌にプレッシャーが伝わる。もしかしたら、これからが未央との決闘の本番なのかもしれない。

 

 全く近づけない―――未央を中心として、大量の魔力が溢れ出ているのだ。栗色でセミロングの髪はドンドンと伸び、黒く染まっていき腰のあたりまで到達していた。さらに、未央の背中からは、黒い翼が生えた。

 

 「進ちゃん...私負けないから...!!」

 

 未央はオレと顔を合わせる。その顔は真っ白でまるで死人のような顔―――そして、口からは牙のようなモノが突き出していた。

 

 

 そう、アレはまるで...

 

 

  "吸血鬼"

 

 そう思った瞬間、オレの目の前に未央の姿が現れた。

 

 「今から、ほんの少しの瞬きも命取りになるから気を付けてね♪」

 

 「グッ...ハァ!!」

 

 

   今何をされた...?

 

 気が付くと、オレは数十メートル先まで吹き飛ばされていた。そして、口からは大量の血が垂れていた。

 

 「ゲホッ!ゲホッ!!」

 

 オレの口の中は苦い鉄の味で満たされている。どうやら、腹を複数回殴られたようだった...

 

 このオレが全く見えなかった...反応できなかった...

 

 それは天童進にとって、初めての経験だった。ここまで全く反応できなかったことなど、今までありはしなかったのだ。

 

 

 「オイオイ、マジかよ...」

 「未央ちゃんの動き全く見えなかったぞ...」

 二人の闘いを後ろから見ていた新も同じように戦慄していた。新は進以上の動体視力を持つ―――そんな彼でも今の攻撃は全く見えなかったのだ。

 

 (未央よ...その力を使うんだな...)

 前魔王アリスは脳内で未央へと語り掛けた。

 

 (うん...ゴメンね...)

 

 (なぜ、謝る?)

 

 (この力は元々アリちゃんの力..."真祖"の力だっけ?借り物の力なのに、何にも持たない私が使っちゃってるんだよね...)

 

 (そんなことか...気にするな!余は既に死んでいる身だ。)

 (その力はもう既に未央のモノだ!それをどう使おうがお前の自由だ!!)

 

 (そう?じゃあ遠慮なく使わせてもらうよ!!)

 未央はニヤリと口角が上がった。未央には進との勝敗依然に他の目的があった。元々は、普通の状態でも達成できると踏んでいたが、予想以上に進の力が強く、この形態にならざるを得なかったのだ。

 

 「やるな...未央」

 「今ので、内臓が少し、ヤバそうだ...」

 「白魔法:ヒー...」

 

 「回復させると思う?」

 

 再び、未央は瞬間移動かの如く、オレの前へ現れた。

 

 「セイッ!!ヤッ!!」

 未央はオレが反応できないレベルのスピードで何度も殴ってきた。

 

 「ウオォォォッ!!!!」

 ガードすらままならない、ヒールを掛ける余裕すらない。

 

 このままでは、間違いなく負ける...

 

 断言できる。

 

 今の未央は全力のモレクなんかよりも遥かにステータスが高い!

 

 「おっと...進ちゃん。気が付いたみたいだねッ!!」

 「私の力がステータス4桁の壁を越えていることに...!!」

 

 「ハァハァ...やはりそうか...」

 何十回、何百回も未央の拳を受け、既にオレは立っているのがやっとの状態だった。

 

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名前:真島未央ましまみお

種族:人間

性別:女

Lv.??

クラス:魔王(真祖モード)

残SP: ??SP

◆状態◆

◆パラメータ◆

体力:1751

筋力:1822

魔力:1918

物理抵抗力:1541

魔力抵抗力:1481

精神力:1675

器用さ:1641

素早さ:1838

◆装備◆

武器:闇黒剣ダークネスブレード(+200)

防具:魔王の鎧衣よろい(+150)

◆アクティブスキル◆

◆パッシブスキル◆

◆ユニークスキル◆

◆称号◆

異世界から来たオカルト好きの少女

魔を統べる者

魔王の後継者

-----------------------------------


 オレの魔眼では、未央のステータスの値しか視えなかった。スキルとレベルの詳細は見えない。

 ただ、圧倒的にオレよりも高いことだけは分かった。

 

 「どう?分かった?」

 「私の力はもう進ちゃんを遥かに超えたの!!」

 「だから、降参してね!」

 

 「ハハハ...オレがそんな簡単に降参するとでも思ってるのか...?」

 

 「うんん?思わないよ!」

 笑顔で未央は返答し、やっとの思いで立っているオレを再び殴り始めた。

 

 「グハァッ!!」

 

 「ウグゥ!!」

 

 「ガハァッ!!」

 

 まるで見えない...光の速度で殴られているんじゃないかと錯覚するほどだ。左右から全身を満遍なく殴られる。軌道すら見えない。オレは殴られる度に盛大に血が流れていた。

 

 「ハハ...このままじゃ...オレは死ぬぞ!」

 「そうしたら、ルール違反じゃないのか?」

 オレは殴られながらも、そう尋ねた。苦し紛れの一言に過ぎない。

 

 「もし死んだら、進ちゃんを私の眷属として蘇らせるから安心して!!」

 

 「ハハハ...冗談だろ...」

 

 (全く、何でオレはこんな女の子を好きになってしまったんだろうな...)

 オレは今までの人生で未央と一緒にいた時間が走馬灯のように蘇って来ていた。

 

  "情けないぞ!!進ッ!!それでも"最強の細胞"を持つ者かッ!!"

 

 先ほどの視えざる者バニッシュマンの声が聞こえたような気がした。もしかしたら、幻聴なのかもしれない。それでもオレには聴こえたんだ。その妖しくも不気味なヤツの声が...。

 

 「最強...の細...胞...」

 オレがそう呟いた瞬間―――オレの中の何かが蠢いた。

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