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【完結】エレベーターに乗ったら異世界に来てしまった件 ~大切な幼馴染を追いかけて異世界に来た天才少年は聖女しか使えないハズの治癒魔法の才能を開花させる~  作者: ゆに
第4章 エレベーターに乗ったら異世界に来て魔王軍とバトルすることになった件

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第186話 それは意外にもあっさりとした決着


~クロヴィス城 中央区~

 

 「さてと...あっちの方はどーなってかな...」

 新は興味津々にフラムとメルクロフの闘いを観戦することにした。フラムが剣術と爆炎の魔法に対して、メルクロフは盾で防御を固めつつの魔法主体の戦闘、バトルであった。

 

 「ふ~ん...やっぱりな...」

 

 新はあることを確信していた。それは、新がメルクロフの闘いをフラムに譲ったことに関係する。

 

 

 (勝てる...勝てるぞ...!)

 フラムは闘いながら、そう確信めいた何かを感じていた。フラムは最初に城門付近でメルクロフを見た時、もっととてつもないオーラ、威圧感のようなモノを感じていた。だから、メルクロフと一騎打ちを新に提案した時もっと苦戦するものだと勝手に思っていた。しかし、実際に闘ってみると、思ったほどの手ごたえを感じていなかった。

 

 "こんなモノなのか..."と

 

 思ったより苦戦していない自分に驚いていた。いくら自分が進と修行を行っていて、レベルだって進と初めて出会った時より上がっているとはいえ、ジャハンナムといえば、六魔将モレクの直属の部下―――S級ランクの冒険者よりも同レベルかそれ以上の存在になる。そんな相手なのに思った以上に苦戦をしていないのだ。

 

 勿論、新にメルクロフの戦闘を代わってくれと頼んだことには理由がある。自分なら新より楽に勝てると踏んだからなのだ。

 

 「紅魔法:プロミネンスウェーブ!!」

 

 「完璧な障壁パーフェクトガード!!」

 

 「ユニークスキル:上限無しの反撃アンリミットカウンター!!」

 「全ての衝撃を貴様に与えてやる!!」

 

 「フッ、無駄さ...俺には《熱完全無効》のスキルがある...!」

 「自分の炎にやられることはないのさ...!」

 

 「チッ、やるな、紅き剣士...!」

 

 

 (もう少しで、ケリが着くな...)

 新はニヤリと笑みを浮かべ、戦局を予想する。ただ、この後の展開は何となく想像ができていたが...

 

 「ハァハァ...!」

 メルクロフは段々と息が荒くなり、明らかにパフォーマンスが落ちていることが傍から見ても丸わかりだった。先の新との決闘でのケガはヴィクトルの特性ポーションで治っている。しかし、内的なケガまでは完全に完治していなかったのだ。新の一撃《諸刃の等価交換》―――この一撃によって、メルクロフは顎を砕かれ、その衝撃は脳にまで達していた。早い話、脳震盪を起こしていたのだ。本来なら立つことすらままならぬ状態なのにそれでも闘いを続けている。

 

 《諸刃の等価交換》によって受けたダメージはヴィクトルのポーションでも完治していなかった。それは新の右腕が再生しないことと同じ理由だった。

 

 自分だけでなく相手も一定時間はどんな治癒魔法、ポーションも受け付けない状態にする。まさに諸刃の技なのだ。

 

 新はそのことをメルクロフの呼吸音や挙動、心臓の音などから分かっていたのだ。だからフラムにメルクロフに譲った。自分が闘えば間違いなく勝つと確信したからこそ、フラムに譲ったのである。

 唯我新は、絶対に勝てる勝負を嫌う。理由はただそれだけである。

 

 「どうした...息が荒いようだが...?」

 

 フラムは剣を構えながら、足を震わせるメルクロフへと尋ねる。

 

 「ハァ...ハァ...貴様には関係がない!」

 「私は守らなければならないんだ...仲間を...!誰が相手でも関係ないッ!」

 「そのために力をつけたッ!モレク様の下で鍛えた力と技、それで今までどんな敵だろうと絶対に死守してきたのだッ!!」

 「それが、貴様らには調子に狂わされっぱなしだッ!!」

 

 

 「俺からしてみたらメルクロフ、貴様は勝負を焦っているように見えるぞ!」

 

 「当たり前だ!そこにいるアラタを確実に殺すッ!!」

 「そのためには貴様程度の剣士早々に葬らなければならないからなッ!!」

 

 

 「どうやら、相当俺は...いやは舐められているようだな...!」

 突如としてフラムの一人称が変わった。いや、進たちに会う以前に戻ったのだ。

 

 元々は天才剣士として若いうちにAランク冒険者として有名になったフラム―――そこからさらに進との修行や戦闘訓練により飛躍的なレベルアップを果たしていた。今や手負いとはいえ、ジャハンナムのメルクロフと対等に闘えていた。

 

 「次で勝負を終わらせよう...!」

 

 「何だと...?」

 

 フラムは勝負の決着を宣言した。

 

 「紅魔法:プロミネンスウェーブ!!」

 フラムの両手より高温の熱線が放たれる。

 

 「何度やっても無駄だ!!」

 「完璧な障壁パーフェクトガード!!」

 メルクロフはガードの構えを取る。

 

 メルクロフがガードを行っているその時だった。フラムはメルクロフの懐へと飛び込んだのだ。

 

 「何だとッ!近づいたとて、私の完璧な障壁パーフェクトガードは破れんぞッ!!」

 

 「それはどうかな...?」

 

 (僕が身に着けたユニークスキル今こそ使う時だ!)

 

 「ユニークスキル:融解接触メルトコンタクト!!」

 

 フラムはメルクロフの盾に触れると、あっという間にドロドロに溶けていった。

 

 「なッ―――――!!!」

 

 メルクロフは自身の防御に絶対の自信があった。どんな斬撃もどんな打撃もどんな衝撃も耐える自負があった。しかし、フラムの触れた箇所はどんどん溶けている。融解しているのだ。

 

 「コレは僕のユニークスキル...融解接触メルトコンタクトはどんな物でも僕が触れば溶けるようになるというスキルだ!」

 「どんな堅い防御壁でも関係ないッ!!」

 「これで君は絶対の防御を失った!!これで終わりだッ!!!!」

 

 「黄魔法:インクローブエクスプロージョン!!!」

 フラムの前方は空気が爆発を起こし、メルクロフを爆風が襲う。その爆発は街の家々まで半壊に追い込むほど強烈な一撃だった。

 

 「グオオオォォッッ!!!!!!」

 

 フラムの爆発魔法をダイレクトに受けたメルクロフのその焼け爛れた身体は爆風と共に宙を舞った。

 

 「やはり...一人称はサンドルを殺すまでの方がいいな...」

 

 (まずい...このままでは意識が飛んでしまう...!!)

 

 「私は守らなければいけないんだ...守るんだ...」

 「守らなければ...仲間は死んでしまうッ!!」

 

 メルクロフは走馬灯のように自身の過去を思い起こしていた。

 

 「勝手に回想に入ろうとしてんじゃねーよッ!!」

 

 宙を舞うメルクロフのさらに上空に新は跳んでいた。

 

 「アラタッ...!!!!」

 

 メルクロフの怒号が辺りに響く。

 

 「テメェはさっさと寝てろッ!!」

 新の右の拳がメルクロフの腹部に叩きこまれ、そのまま地面に激しく激突した。

 

 「ガハァッ!!!」

 

 激しく地面に叩きつけられたメルクロフは、口からドロドロと血を流し、気絶していた。辛うじて息はあるようで死んではいなかった。

 

 「やっと右腕が使えるようになったぜ...」

 新は自身の右腕が自由になったことを確認するため、手を開いたり握ったりを繰り返す。

 

 「アラタ君...最後は結局君が決めるんだね...」

 フラムは少し笑いながらそう言った。

 

 「浮かれんのはまだはえーよ!」

 「まだメインディッシュは食べてねーだろ!!」

 新はクロヴィス城を眺めながらそう言い放つ。

 

 「まぁその前にジルダちゃんを助けねーとな!!」

 

 「場所は分かるのかい?」

 フラムは尋ねる。

 

 「大体の位置は分かってる、急ごうぜ!!」

 

 こうして、フラムと新 対 ジャハンナム メルクロフ、ヴィクトル、ベリヤとの闘いに決着がついたのであった。

 

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